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サーチナニュース 2014-12-30 22:23
http://news.searchina.net/id/1555592?page=1
香港でなお「民主的選挙」求める動き
・・・議会近くの歩道を占拠、テント120あまり、人民日報が警戒
中国共産党機関紙の人民日報(海外版)は30日付で、「香港の過激勢力は今なお“占領”の夢を見ている」と題する記事を掲載した。香港立法会大楼(議事堂)の道路向かいの歩道で、120あまりのテントが並べられているとして、警戒感を示した。 テントが並べられているのは幅のかなり広い歩道だ。記事は香港「文匯報」の取材活動をもとに「歩道の両側(建物側と車道側)には120あまりのテントが並んでいる。日中は“占領”者は比較的多く、数百人が出没する。夜になると人は極めて少なくなり、泊まり込む者は通常、30人あまりだ」と紹介した。 裁判所や警察による「全面排除」後も、行政長官の「民主的選挙」を求めて当局に対する抗議を続ける人が存在することについては、学生組織ではなく「人民力量」や社会民主連線(社民連)」などの政治団体が背後にあると主張。「人民力量」と「社民連」は過激組織と批判した。 人民日報が掲載した写真を見る限り、テントを並べた人らは歩行者が通れるスペースを開けており、一般の市民生活への配慮も感じられる。しかし記事は、極めて批判的に扱い、「法律関係者の意見」として、公共場所占領、交通妨害、游蕩、不法集合などの罪に該当する恐れがあるとする見方と、「政府や議会周辺の正常な秩序を維持するために、警察側はしっかりと公務を執行すべきだ」との主張を紹介した。 記事は、「過激組織が『再占領』のチャンスをうかがっている」と警戒感を占めた上で、香港警務処の張徳強助理処長が27日、「警察側は占領活動をした者のうち1000人近くの身柄を拘束した。今後あらたに、身柄を拘束する可能性を排除しない」と述べたことを伝えた。 記事は、今もなお民主的行政長官選挙を求めて抗議活動する人に対して、香港市民が「反感」、「怒り」を示していると伝えた。「ある市民による」として、抗議者は「自分のやりたいことをしている。民生をないがしろにしている。どこに行っても黄色い傘をかかげて抗議する能しかない。もう負け犬なのに分かっていない」との見方を紹介した。 ********** ◆解説◆ 人民日報海外版は1985年の創刊。中国人だけでなく、海外に住む華人(中華系住民)を読者対象にしている。しかしそれにしては、不思議な面がある。 例えば上記記事で、抗議活動に反対する市民の声しか紹介していないことだ。実際には、行政長官選挙に中国大陸側が「制限」を設けたことに不満を持つ香港人は少なくない。中国大陸側のやり方への批判も、しばしば表明されている。「香港基本法」が言論の自由を保証しているのだから、当然のことだ。 しかし記事は、香港市民があたかも「大陸あるいは香港当局への支持一辺倒」であるような扱いをした。 人民日報海外版は海外華人を読者対象としているのだから、読者はさまざまな立場の情報に接していると考えねばならない。そのような読者が上記記事のような論調に接すれば「中国共産党はやはり、自分に都合よく情報を出している」と判断するに違いない。信用度は低下する。なにより、香港人がますます「共産党の言うこと」を信じなくなる。中国共産党にとって不利であるはずだ。 人民日報は中国共産党(中央政治局)の機関紙であるから、ある程度一方的な主張は許されるだろう。しかしそれも度を過ぎれば、信用を失うだけだ。さまざまな立場から発進される情報を得ることがこれだけたやすくなった現在、人民日報海外版が従来型の「一方的な情報発信」を続けていることについて、疑問を感じざるをえない。
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