「2015年 中国バブル崩壊」
というのは、数年前にアメリカの投資家であるジョージ・ソロスだったかが唱えたものだとあいまいではあるがそう記憶する(ソロスではないかもしれないが、著名なアメリカの投資家であったことは確かである)。
多くの投資家はそれを目安にお金を動かしている。
バブルの勝負基本は、ぎりぎりまでお金を張って、一気に逃げ出すことである。
逃げ遅れたヤツがババをつかむ。
ババを掴んだやつはバカである、
というのはこの勝負では常識である。
日本はそのバブルを経験しているので、この辺はぬかりないだろう。
まあ、日本人は勝負するよりも、それ以前に安全側への取り組みに精を注ぐのが得意のようである。
徐々に中国から撤退をして、安全領域への退避を実行している。
バブル崩壊がなければないで、それに越したことはない。
被害がないということになる。
だがもしバブル崩壊となってもダメージを最小に食い止めるようには動いている。
大きく儲ける必要はないが、その分ミニマムリスクで、というのがベースにある。
さて、来年はその年にあたる。
実際はどうなるのだろう。
『
ロイター 2014年 12月 7日 01:37 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKCN0JJ0LH20141206
来年の「逆張り」予想、中国バブル崩壊も
12月4日、コンセンサス予想は必ずしも当たるとは限らないことから、来年の経済に関する「逆張り」派の予想をいくつか集めてみた。
――2015年の経済はどうなるのか。
コンセンサス予想は必ずしも当たるとは限らないため、「逆張り」派の予想をいくつか集めてみた。
[ロンドン 4日 ロイター]-
来年の経済を見通す上で、「逆張り」派の予想にも目を向けて見よう。
コンセンサス予想が必ずしも当たるとは限らないからだ。
2015年のコンセンサス予想は、1年前に示された14年の予想とあまり変わらない。
すなわちドル高、米国債とその他の国債利回りの上昇、米国経済のアウトパフォーム、世界的な株価一段高、そしてデフレ阻止のために「何でもやる」中央銀行、という組み合わせだ。
このうち一部は確かに今年実現したが、米国債利回りと世界的な債券利回りが急低下したり、原油価格が40%近くも下落すると予想した専門家はほとんどいなかった。
2015年の逆張り予想を以下にいくつか集めてみた。
(1)中国の経済危機
中国の信用バブルが崩壊し、不良債権が増大して全面的な金融危機を巻き起こす。
政府が7.5%を目標とする成長率は2%に鈍化する。
ファソム・コンサルティングはこのシナリオの確率を35%としている。
(2)輝くユーロ圏
ユーロ圏がついに休眠状態から抜け出す。
原油価格の下落、ユーロ安、欧州中央銀行(ECB)による追加金融緩和と金融システムの健全化が支えとなり、成長率は2%に大きく躍進する。
JPモルガン・チェースは基本シナリオで成長率を1.6%に置きながらも、2%成長は可能だと予想している。
1.6%成長であっても、エコノミスト50人超を対象とするロイター調査の予想平均1.1%より楽観的だ。
(3)ドイツ国債利回りが上昇
モルガン・スタンレーは10年物ドイツ国債利回りが来年1.35%と、先月付けた過去最低の0.69%から急上昇する可能性を予想する。
ECBの物価押し上げ能力を投資家が信頼し、市場金利を押し上げるという理屈だ。
1年前に示された14年末のドイツ10年債利回りのコンセンサス予想は2.3%と大間違いになった。
(4)英国の政治リスク
英国では5月に総選挙が予定されており、キャメロン首相は保守党が勝利すれば欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票を行う計画だ。
スコットランド民族党が躍進すればスコットランドの独立問題が蒸し返され、英国の政治リスクは一気に高まりかねない。
スコットランド独立を問う今年9月の住民投票の直前にポンドが下落した経験を踏まえれば、来年の総選挙前に投資家は再び怖気づくかもしれない。
ソシエテ・ジェネラルは「選挙に向けて、英国資産から抜け出せ」と警告を発している。
(5)ドル安
金融市場は、2015年はドル高が進むとの見方でほぼ一致しており、意見が分かれるのはその「程度」だけ、といった具合だ。
しかし「クラウデッド・トレード(取引の偏り)」と呼べるものがあるとすれば、現在のドル相場が正にそれだろう。ドルはことし既に11%上昇し、過去30年間で3番目にドル高が進んだ年となった。
しかもほとんどが6月以降の上昇分だ。
一息付く時ではないだろうか。
(Jamie McGeever記者)
』
『
ロイター 2014年 12月 4日 16:25 JST John Foley
http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPKCN0JI0GF20141204
コラム:中国株高は根拠なし、不動産市況に注意必要
[北京 4日 ロイター BREAKINGVIEWS] -
中国の株価はどのように決定されるのか。
教科書通りなら、無リスク金利と株式のリスクプレミアム、企業収益予想で決まることになっているが、現実にはマネーと期待だ。
そうでなければ、3日の中国市場で売買代金が過去最高に達したこと、それに伴う株価急伸の説明がつかない。
上海と深セン市場では3日、売買代金が両市場合わせて9150億元(約1490億ドル)となり、過去最高を記録。上海市場の売買代金は、2009年の株高局面における最高水準の倍であり、株価指数は今年これまでで3割以上も上昇している。
株式投資への意欲は広がりを見せており、11月には新たに100万超の取引口座が開設された。
■グラフィック:出来高の推移
しかしこうした熱狂を正当化する要因はほとんどない。
コスト増や輸出低迷のなか、企業決算はさえない。10月の工業部門企業利益は前年比2.1%減少。
製造業購買担当者景気指数(PMI)も弱い。
注目すべきは2点。
1つは不動産価格下落だ。
ここ1年で1.6%というのは、緩やかな下落のように感じられるかもしれないが、販売戸数は今年、毎月のように減少している。
もう1つは預金金利の低下だ。
つまり、このところの株高は極めて脆弱ということだ。
不動産市場は株価下落の影響を受けないかもしれないが、その逆はない。
住宅価格の下落は消費者心理を冷やし、素材から消費財まであらゆる分野の株価に打撃を与えるだろう。
強気相場で持続的な富を築くのは難しいかもしれないが、今後の展開次第では、簡単に失われてしまうかもしれない。
********
●背景となるニュース
*中国株式市場の売買代金は3日、過去最高の9150億元(約1490億ドル)に達した。上海総合指数は、先月17日の香港との相互取引開始以来16%上昇しており、年初からは30%以上も上昇した。
*中国人民銀行は11月21日、2012年以来初の利下げを発表。1年物預金金利は25ベーシスポイント(bp)引き下げられて、2.75%となった。
*不動産調査会社の中国房地産指数系統(CREIS)によると、主要100都市の11月の不動産価格は前月比0.38%下落し、7カ月連続の下落となった。前年比では1.6%下落と2カ月連続で下落。
*住宅販売は今年に入って毎月減少。10月は前年同月比3%減。
*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
』
日本は円安を実行した。
通常、考えるなら日本はすべてのエネルギーを外国に依存している。
さらに原発の大半は止まっている。
ということは、輸入エネルギーを安く手にいれるには、円高を実行するのが常套である。
ところがあに図らんや円安を実行した。
「逆目を張った」
ことになる。
なぜ、こんなことができたのか。
円安を実行した途端に、原油がボロボロ下がりはじめた。
何かおかしい、と思うのは誰でも考えるだろう。
ということは、
原油価格が下落することを見越して円安バクチをかけた、
としか思えない。
★.ではなぜこのとんでもない円安バクチを実行したのか。
ここが最大の疑問である。
★.そしてもう一つの疑問は、なぜまだ任期を半分残して総選挙を実行したのか、
である。
常識を超えたこの2つの疑問がクロスしたところが政府の考えを読み解くカギになる。
つまり、
この2つの疑問に同時に答えられるところに、真の回答がある
はずである。
『
2014.12.04(木) Financial Times
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42370
原油価格の急落に万歳二唱
(2014年12月3日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
原油価格の下落は世界経済にとって何を意味するのか?
その答えは、原油価格が下落した理由と原油安が続く期間によって変わってくる。
だが、総合的には、原油安は注意事項を伴うとはいえ、世界経済にとって有益なはずだ。
とりわけ重要なのは、石油純輸出国に与える影響かもしれない。
脆弱な生産国の中には、弱体化が切に望まれる政権が含まれる。
その筆頭格がウラジーミル・プーチン大統領のロシアだ。
だが、ここでも、良いことがあれば悪いこともある。
モスクワのガイダル研究所のキリル・ロゴフ氏が指摘している通り、原油価格の下落はプーチン氏の失地回復主義を激化させる恐れがあるのだ。
6月下旬から今月初めにかけて原油価格は38%下落した。
これは大幅な下落だ。
だが、それ以上に大幅な原油安が1985年の春から1986年の夏にかけて起きた。
1980年代の初めから半ばにかけての原油急落――偶然ではなく、ソ連崩壊に先行して起きた出来事――は、2つの事態の展開に起因していた。
★.1つは、1970年代の2度の「石油ショック」が引き起こした消費と生産のエネルギー強度の低下。
★.もう1つは、メキシコや英国など、石油輸出国機構(OPEC)非加盟国の著しい生産の出現だ。
■大きく変わる世界の石油生産
今回の物語もそれほど大きく異ならない。
供給サイドでは特にそうだ。
国際エネルギー機関(IEA)の最新の「世界エネルギー展望」によると、OPEC非加盟国の石油と天然ガス液の供給量は2013年の日量5050万バレルから2020年の5610万バレルへ増加する可能性がある。
そうなれば、世界の生産に占めるOPEC非加盟国のシェアが58%から60%に上昇する。
増加分の最大64%が北米から生じると予想されている。
北米の生産拡大の背景にあるのが、米国の非在来型石油――いわゆる「タイトオイル」――とカナダのオイルサンドだ。
一方、OPECの生産量は概ね一定のままだと予想されている。
非在来型石油の生産の画期的進歩はすでに、生産にかなりの変化をもたらした。
米国の石油・天然ガス液の生産量は過去4年間で日量400万バレル増加した。
HSBCによると、米国の生産量は今年、日量140万バレル増える見通しだ。
リビアの生産も回復している。
最後に、ユーロ圏と日本と中国の予想外の経済的な弱さは、今年の世界需要の推定量を日量50万バレル減らした。
原油価格を維持するためには、OPECは生産を日量100万バレルほど削減する必要があった。だが、OPECは――より正確に言えば、サウジアラビアは――減産を拒んだ。これが最近の価格下落の引き金を引いた。
こうした低価格はずっと続くのだろうか?
あるいは、原油価格は一段と下がるのだろうか?
筆者は原油価格を予想するほど無謀ではない。
価格弾力性が極めて低く、供給と需要の差があまりに微妙なため、間違った予想をするのがいとも簡単だからだ。
★.原油安が一時的なもので終わると考える根拠は、
1].多額の設備投資を必要とする非在来型石油の生産を妨げたいというサウジアラビアの願望が速やかに成就するということだ。
2].さらに、原油価格の下落と待望の景気回復と新興国経済の継続的な高成長は石油の需要を押し上げる可能性がある。
加えて、
3].「世界の余剰生産能力は歴史的な標準と比べるとまだ極めてタイトで、大部分がサウジアラビアに集中している」
とHSBCは主張する。
自国の主張を通したサウジアラビアは、この先減産する可能性があるということだ。
■原油安がもたらす6つの結果
現段階では、我々が原油価格の構造的なダウンシフトを目の当たりにしているのかどうかは、はっきりしない。
★.だが、原油安がかなり続くと仮定してみよう。
その結果はどんなものになるのか?
以下、6つある。
第1に、
原油価格の40ドルの下げは、毎年ざっと1兆3000億ドル(世界の国内総生産=GDP=合計の2%近く)を生産国から消費国へ移転させることを意味する。
これは重大だ。
全体的には、生産者よりも消費者の方がすぐにお金を使う傾向があるため、世界の需要に多少の押し上げ効果をもたらすはずだ。
第2に、
エネルギー価格の下落はすでに低い物価上昇率(総合指数)をさらに引き下げる。
これは相反する2つのリスクを生む。
1つは、これが超低インフレの予想を定着させかねないこと。
反対のリスクは、中央銀行に基調インフレの上昇の脅威を無視するよう促してしまうことだ。
総合的には、現時点では前者の方が後者よりも大きな脅威だ。
第3に、
エネルギー価格の下落はエネルギー集約型の生産の収益性を高める。
同時に石油生産者の利益と設備投資を減らしている。
これはエネルギーセクター、特に借り入れの多い石油生産者の間で大きな破産リスクを生みかねない。
それが金融機関にどれだけ打撃を与えるかは不透明だ。
第4に、
価格下落は純輸出国から純輸入国へ所得を再配分する。
後者に入るのはユーロ圏、日本、中国、インドだ。
米国は今では純輸出国だ。
だが、重要な純輸出国は、こうした収入に大きく依存している国々だ。
そこに入るのが、イラン、ロシア、ベネズエラだ。
もっといい政権にはこんなことは起きようがないのだ!
だが、独裁者が窮地に陥った時には危険もある。
第5に、
エネルギー価格の下落は資産価格に変化をもたらす。
すでにロシアルーブルの急落に見て取れるように、エネルギー生産国の為替レートは下落圧力にさらされる。
原油安から直接的、間接的に恩恵を受ける企業の株価は上昇する。
これは新たな株式市場のバブルを生むかもしれない。
最後に、
原油安は経済の炭素強度を高くし、エネルギー効率を下げる恐れがある。
だが、原油安は石油の税金を引き上げる、あるいは少なくとも石油消費に対する無駄な補助金を永遠に削減するチャンスも与えてくれる。
これは賢明な政府なら絶対につかむ好機だ。
言うまでもなく、そのような政府の数はかなり少ない。
■喝采せずにはいられない石油専制国家からの所得移転
原油価格がどこまで下がるのか、原油安がどれほど長引くのかについては、多くの不確実性が残る。
だが、原油安が需要減退よりも堅調な供給を反映している限りにおいては、世界経済に歓迎すべき後押しを与える。
また、原油安は魅力のない石油専制国家からの歓迎すべき所得移転も意味している。
たとえ補助金削減と増税のチャンスが再び無駄になったとしても、これを喝采しないのは難しい。
By Martin Wolf
© The Financial Times Limited 2014. All Rights Reserved. Please do not cut and
paste FT articles and redistribute by email or post to the web.
Premium Information
』
『
JB Press 2014.12.08(月) 川島 博之
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42383
頭打ちの時期を迎えた中国のエネルギー需要
「奇跡の成長」の終わりを告げる原油価格暴落
原油価格が暴落している。
その背景に、ここ20年ほど続いてきた中国の奇跡の成長が終わり始めたことがある。
図1に世界のエネルギー消費量の変遷を示す。
現在、世界では石油換算で120億トン余りのエネルギーが使われているが、その約半分を先進国(OECD諸国)が使っている。
OECD諸国の人口は12億人、世界の5分の1でしかない。
●図1 世界のエネルギー消費量
(単位:石油換算で億トン、データ:世界銀行)
図1では開発途上国を中国とそれ以外に分けて示した。
1990年頃から中国の消費量が異常な勢いで増えていることが分かろう。
特に2000年代に入ってからの増加は著しい。
2002年から2011年までの10年間の平均増加率は8.7%にもなるが、中国以外の途上国の増加率は3.2%に留まる。
中国の2001年の石油輸入量は6000万トンに過ぎなかったが、2012年には2億7000万トンにもなった。
約10年で4倍。
エネルギー価格高騰の背景には、中国の急激な需要拡大があった。
■都市戸籍住民のエネルギー消費量が頭打ちに
その中国の爆食も終わりに近づいたようだ。
直接の原因は不動産バブルの崩壊による景気の低迷である。
しかし、もっと重要なことは、
中国のエネルギー消費量が天井に達しつつある
ことだ。
図2に1人当たりのエネルギー消費量を示す。
先進国は石油換算で1人あたり約4トンのエネルギーを使っている。
それはここ40年ほどほとんど変わっていない。
一方、開発途上国は1トンである。これも変わっていない。
変わったのは中国の消費量だ。
●図2 1人あたりエネルギー消費量
(単位:石油換算でトン/人、 世界銀行データより作成)
ここで、中国を都市部と農村部に分けて考えてみたい。
中国の都市と農村の間には大きな格差が存在する。
中国の人口は13億人であるが、それを平均して考えると実態を見失う。
★.中国は、
「都市戸籍を有する4億人」と
「農村戸籍の9億人」
によって構成されている
と考えた方がよい。
中国の統計では都市人口が7億人、
農村人口が6億人とされる
が、農村から都市へ移り住んだ3億人は都市で農民工などとして働き、社会の底辺を構成している。
彼らを都市住民と見ることはできない。
現在の中国の繁栄を謳歌しているのは、都市戸籍を持つ4億人だけだ。
ここで人口の3分の1を占める都市戸籍を有するものが、農村戸籍の2倍のエネルギーを消費していると仮定しよう。
図2にはそれに基づいて計算した結果を示した。
この図から分かるように、都市戸籍を持つ人々のエネルギー消費量は、ここ10年で急速に先進国の水準に近づいた。
そうであれば、不動バブルの崩壊がなくともエネルギー消費量の増加は減速する。
■農民戸籍の人々は相変わらず低賃金
今後、農民の生活水準が向上するならば、中国のエネルギー消費量は拡大を続けることになる。
だが、筆者はそうはならないと考える。
それは、
現在の中国の繁栄は農民戸籍を有する人々が低賃金で働くことによって成り立っている
からだ。
もし、農民戸籍を有する9億人の所得が急速に向上すれば、中国の産業は競争力を失う。
よく知られているように、中国は科学の分野でノーベル書受賞者がいない。
★.中国の技術は海外の模倣が多く、独自の技術によって成長した国ではない。
★.農民戸籍の人々を低賃金でこき使うことにより達成されたものだ。
ここ数年、中国政府は農民工の給与を上げる政策をとってきたが、
これ以上増加させれば輸出競争力が失われよう。
今でも、「China + 1(チャイナプラスワン)」などと言われて、ベトナムやカンボジア、バングラデシュの追い上げを受けるようになっている。
だから、農民工の給与の上昇がこれからも続くとは思えない。
人口の3分の2を占める農民は貧しく、また民主的な選挙のない中国では政治的な発言力も弱い。
一方で、都市の4億人、その中でも上位の1億人ほどは先進国の人々と比べてもリッチである。
日本だけでなく世界中のデパートで高級品を買いあさっている。
彼らは共産党政権と密接な関係にある。
だから豊かなのだ。そして政権に対しても暗黙の発言権を有している。
■資源インフレの時代の終わり
中国では、上位1億人ほどの利害が中国を動かしていると考えてよい。
彼らの不興を買えば、習近平政権は崩壊する。
その結果、共産党が格差是正に努めても、それは緩やかなものになろう。
そう考えれば、都市住民の生活水準が先進国並みになってしまった今、今後もエネルギー需要が伸びは続けるということはない。
伸びるとしても速度は鈍化しよう。
過去20年ほど、中国の驚異の経済成長が続いたために資源価格はインフレ気味であった。
しかし図に見られるように、中国を除いた開発途上国のエネルギー需要の伸びは決して強いものではない。
そして、先進国では省エネが進み始めた。
今回の原油の暴落は、中国の奇跡の成長が終わりに近づいたことを告げる号砲であり、かつ資源インフレの時代の終わりを告げるものにもなっている。
』
『
ロイター 2014年 12月 10日 17:13 JST
http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPKCN0JO0MU20141210
世界緩和ストーリーに綻び、「中国脱落」で日本株は大幅安
[東京 10日 ロイター] -
中国ショックが波及し、日本株は大幅安、ドル/円も急落した。
中国当局が、短期借り入れに関する担保規定を厳格化したことで、流動性が縮小するとの懸念が広がったためだ。
中国、欧州、日本と世界的な金融緩和の強化が投資ストーリーのベースにあったが、その一角が崩れたことで、これまでのリスクオン相場が変調を来している。
<引き締めに近い決定>
世界的な株安の要因にはギリシャの政局不安や原油安などもあったが、
何といっても投資家のセンチメントを狂わせたのは中国だ。
中国の主要決済機関である中国証券登記結算が8日、債券レポ取引の担保基準厳格化を発表。
新しい基準に届かない低格付けの発行体が債券を発行しても、それを担保にしたレポ取引は新たに受け入れないとした。
5000億元(約10兆円)相当の社債が担保として利用できなくなるため、実質的な引き締め政策に等しいとみられている。
この決定の背景には、中国の地方政府の問題があるとの見方が多い。
中国の多くの地方政府は、窓口企業などを通じて不動産投資を積極化してきたが、不動産価格の下落によって不良債権などの問題を抱えている。
低格付けの窓口企業による起債を事実上ストップさせることで、これ以上の債務膨張を防ごうという目的があるようだ。
「来年から地方政府が直接、債券を発行できるようになるため、その地ならしの意味もある」(国内証券)
との指摘も聞かれた。
中国政府が進める「改革」の一環であり、中国株のバブルを防ごうという直接的な目的ではなかったとみられ、市場の反応も当初は大きなものではなかった。
しかし、低格付け社債に対する需要が減少し、融資コストの上昇につながるほか、株高を支えてきた流動性が縮小するかもしれないとの懸念が徐々に広がったことで、9日の上海総合指数.SSECは午後に入って下げ幅を拡大。終値では5%以上の下落となった。
<過剰流動性の流入>
実際、中国株は過剰流動性をバックに急伸していた。
11月21日に、中国が電撃的に利下げを発表したあと、上海総合指数は、9日高値の3091ポイントまで1カ月足らずの間に26%上昇。
売買代金は上海と深センの両市場合わせて1日1兆元(約20兆円)近くまで膨らんでおり、典型的な流動性相場と化していた。
10日の上海株は約3%の上昇と急反発しているが、まだ予断は許さない。
貿易収支や物価動向など実体経済が弱さをみせる一方で、経済を押し上げようと追加金融緩和を実施すれば、今回のようにバブルを助長してしまいかねないからだ。
他の先進国同様、中国政府も経済運営においてナローパス(狭い道)を歩んでいる。
中国は今、
習近平国家主席が「新常態(ニューノーマル)」と呼ぶ緩やかな成長時代に移行しようとしている
が、その道はなだらかではない。
SMBC日興証券・金融経済調査部シニアエコノミストの肖敏捷氏は
「来年の中国のテーマは経済のランディング(着地)だ。
今回の担保の件もその一環といえる。
着地がソフトかハードかはまだわからないが、アベノミクスのように何が何でも成長率を上げなければならないわけではない。
ただ、いろいろな抵抗で結局ランディングできないリスクもある」
と語っている。
<次の「関門」は次回FOMC>
マーケットはこれまで世界的な金融緩和をベースにしたリスクオンストーリーを描いていた。
日銀の「黒田バズーカ2」、中国の電撃利下げ、欧州中央銀行(ECB)の量的緩和期待と、日欧中の3極を中心とした、金融緩和環境が継続するとの期待が強気の背景だった。
だが、今回、中国が一歩引いたことで、投資家はそのストーリーの変更を迫られるかもしれない。
中国株だけでなく、グローバル緩和マネーは各地で猛威を振るっており、ドイツやインドの株価は過去最高値を更新。
経済に減速懸念がある地域でさえ、相対的な魅力が高いとみられれば、過剰マネーが殺到していた。
ドル/円JPY=や原油価格もリーマンショック時並みの変動となっている。
ドル/円は9日の海外市場で120円台から117円台に急落。
10日の市場で、日経平均.N225は一時500円安となった。
「これまで買っていた外国人投資家が売りに回っている」(大手証券トレーダー)という。
日本の7─9月期国内総生産(GDP)がさらに下振れしようと、ほとんど関係なく上昇してきた強気相場は、調整を余儀なくされている。
金融相場の次の「関門」は来週16─17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)だ。
声明から「相当 な期間」の文言を削除する可能性があるとみられ、
「そうなれば、市場は否応でも利上げを意識せざるを得なくなる」
と三菱東京UFJ銀行シニアマーケットエコノミストの鈴木敏之氏は指摘する。
米連邦準備理事会(FRB)が資産規模を縮小するのは利上げの後になる見通しであり、流動性相場の基盤がすぐに崩れるとは想定されていない。
だが、基軸通貨ドルにおける金融政策の変更は市場に大きなインパクトをもたらす可能性がある。
グローバル緩和相場は正念場を迎えようとしている。
』
_