●中国が人民元切り下げに動いたら・・・〔AFPBB News〕
『
2014.12.02(火) Financial Times
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42352
中国の物価が下がる時:デフレスパイラルの恐怖
(2014年12月1日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
中国・浙江省の義烏(イーウー)市にある「中国小商品城」は、「ウォルマートを大きくしたやつ」と呼ばれることも多い、60万平方メートルの広さを誇る世界最大級の卸売市場だ。
ここには雨具からボタン、世界各地の都市を称える冷蔵庫マグネットに至るさまざまな商品が大量に並んでおり、中東やロシア、アフリカなどから仲買人が品定めにやって来る。
商品の多くは、この都市の郊外に点在する小さな工場で作られている。
しかし、年末が近づく中、米国や英国、オーストラリア、日本などに輸出するプラスチック製クリスマスツリーを製造しているチャイナ・チョンシェン・クラフツ社のクオ・ウェイ工場長は対応に苦慮している。
同社は一部の製品を、製造原価を下回る価格で販売しているそうだ。
「売上高は持ちこたえているけれど、価格については、お客様から値引きを求められている。
皆、景気が悪いんだと言っていますね」
とクオ氏は言う。
「弊社の商品の中には、もう利益が出ないものもあるが、顧客に喜んでもらえるように製造を続けている」
クリスマスツリーの値段が下がることは、西側諸国の消費者には朗報に聞こえるかもしれない。
しかし中国の物価の下落は、世界中に新たな脅威を突きつける。
今日では多くの国々が、冴えない需要と心配になるほど低いインフレ率という問題を抱えているからだ。
■過剰生産能力に苦しむ製造業、生産者価格はもう3年近くデフレ
中国で大量に作られる製品が高度経済成長と投資によって吸収された10年間が終わった今、義烏市にあるような中国の工場の多くは、在庫をなかなかさばけずにいる。
需要が中国内外で縮小し、多くの産業が慢性的な過剰生産能力に苦しんでいる。
特に困っているのは鉄鋼やガラス、セメントといった基本的なコモディティー(商品)の業界であり、価格を下げ続けるしかないというケースが多い。
その結果は中国の公式統計にも反映されている。
統計によれば、いわゆる生産者物価はもう3年近くも明らかなデフレに陥っている。
それ以上に心配なのは恐らく、10月の消費者物価上昇率が前年同月比1.6%というほぼ5年ぶりの低水準に落ち込んだことだろう。
「皆、ユーロ圏が問題を抱えていると思っているだろうが、中国の問題の方がはるかに大きい」。
フランスの大手金融機関ソシエテ・ジェネラルのストラテジスト、アルバート・エドワーズ氏はそう語る。
中国は世界最大の輸出国であり、中国を最大の貿易相手国とする国は数十カ国に上る。
その中国の製造業者が売上高を伸ばそうと値下げをしていることから、影響は世界中の工場や小売店に及んでいる。
多くの国々で――特に欧州と日本で――政策立案者が物価の下落を懸念していることを背景に、中国が自国のインフレ率を押し上げられるか否かはパズルの重要なピースになりつつある。
スイスの大手金融機関UBSのエコノミックアドバイザー、ジョージ・マグナス氏が指摘するように、
「中国以外の国は、中国のデフレ圧力など全く必要としていない」。
隣国の日本を20年間も悩ましたり、欧州の政策論争で最大のテーマになったりしている類の
しつこいデフレスパイラルに中国が突入する公算は小さい、
という楽観的な見方もある。
確かに、少なくとも今のところは経済成長率も年7%を超えており、世界の需要の重要なエンジンになっている。
しかし、ディスインフレ懸念が強まる兆しになり得る動きが1つ見られる。
中国人民銀行(中央銀行)が先月、2012年以降では初めての利下げに踏み切ったのだ。
「今回の利下げは、昨今の中国のデフレ圧力が非常に強いものになり得ることを明確に示している」。
BNPパリバ・インベストメント・パートナーズで中国株式部門のトップを務めるフランソワ・ペリン氏はこう述べている。
■10年以上前から取り沙汰されてきた「中国デフレ輸出論」に現実味
中国はもう10年以上前から、デフレを輸出していると批判されてきた。
例えば2002年には、日本の財務省の幹部だった黒田東彦氏(現日銀総裁)が本紙(英フィナンシャル・タイムズ)にて、中国が世界貿易機関(WTO)に加盟すれば世界経済に「強いデフレ圧力」が加わるだろうと警告していた。
そのわずか1年後に、米連邦準備理事会(FRB)が「中国はデフレを輸出しているのか」と題したディスカッションペーパーを公表したが、中国経済はその規模が「小さい」ため影響を及ぼすには至らないと結論づけた。
だが、それから10年が経過し、世界経済における中国の立場は、製品の供給者としても原材料の需要者としても大きく変わった。
実際、中国経済の減速は、4年ぶりの安値水準を先週記録した石油をはじめとするコモディティーの価格下落の大きな要因になっている。
■中国のディスインフレの背景にある同国特有の根深い問題
エネルギー価格の下落は世界中のインフレ率を引き下げる方向に作用しているが、中国で今生じているディスインフレは、世界第2位の経済大国特有の根深い問題、すなわち
1].慢性的な過剰生産能力、
2].不十分な需要、そして
3].経済成長の失速
によるものだと見る向きが多い。
これらはすべて、
★.甘やかされた国有企業が生産能力の削減に消極的だったり、
★.地方政府が簡単に借りられるからと借金を積み重ねたりしている
トップダウンのシステムがもたらした副作用
だ。
この国には太陽光パネルから造船、鉄鋼、化学に至るさまざまな産業で過度な拡大を行ってきた長い歴史がある。
これらのセクターに属する企業の多くは現在、延命措置を受けており、中国の巨大な「シャドーバンキング(影の銀行)」システムからの資金供給にますます依存するようになっている。
政府保証付きだと(その正否はともかく)見なされている高利回りの「理財商品」を「非銀行金融機関」が販売するシステムだ。
住宅市場の落ち込みでさえ、その原因は多くの都市で供給が過剰になっていることに求められる。
中国の政府機関の研究者が先週、ムダな支出がどれほどの金額に達しているかを明らかにした。
これによると、世界金融危機が中国に及ぼす影響を弱めるために
2009年以降に行われた景気刺激策における「効果のない投資」――不要な製鋼所、ゴーストタウン、空っぽの競技場などの建設など――は計6兆8000億ドルに上るという。
生産能力が過剰であるのは、地方政府に加わっていたプレッシャーによる面が大きい。
地方政府幹部の成績は昔から、その地方の国内総生産(GDP)に基づいて評価されているため、赤字の工場でも生産を続けさせようという誘因が働くのだ。
■金融システムのリスクも増大
この過剰生産能力は、物価の下落が企業の収益を悪化させ、銀行システムにもストレスをもたらすという不幸な結果を招いている。
銀行の融資基準をクリアできないために資金を借りられず、そのままでは倒産してしまう企業がある場合、地方政府幹部は銀行に圧力をかけ、融資基準を緩和させる。
赤字の製造業者は債務をさらに膨らませるが、破綻を免れ、生産を継続する。
すると、この生産が物価の下落圧力をさらに強めることになるのだ。
中央政府は、地方政府幹部の成績を主にGDPで評価する制度をやめると約束した。
だが、この方針転換が地方政府の隅々に浸透するには、恐らく何年もかかるだろう。
デフレは金融システムのリスクを高める要因にもなっている。
供給過剰のセクターに身を置く企業(特に民間企業)は、銀行融資を絶たれるとシャドーバンキングシステムから恐ろしく高い金利で資金を借りる。出荷価格の下落はこの債務負担をさらに大きなものとし、デフォルト(債務不履行)のリスクをさらに高めてしまうわけだ。
■全世界に波及する中国の価格下落の影響
過剰生産能力は、単なる地方の問題ではない。
中国製品の価格下落の影響は、全世界の生産コストに波及する。
金融危機の前には、この価格下落が西側の消費ブームを後押ししていた。
しかし今日の供給過剰は、先進国の物価下落という問題を悪化させる恐れをはらんでいる。
コーネル大学のエスワー・プラサド教授(経済学)は言う。
「中国のディスインフレと鈍い需要の伸びは、この2つの問題が中国以上に深刻な他の国々に負の波及効果を与える恐れがある」
デフレは経済に二重の打撃を与える。
★.1つには、デフレは実質ベースの債務負担を膨らませる。
スタンダード・チャータードの試算では対GDP債務比率が250%を超えている中国には、とても受け入れる余裕のないことだ。
★.もうひとつは、物価の下落は消費の妨げにもなる。
消費者が価格が一段と下がることを見込み、購入を遅らせるからだ。
だが、信用を燃料とした投資から消費者主導型の成長へと経済を移行させようとしている中国は、市民に買い物をしてもらう必要がある。
支出拡大計画については、少なくとも全面的なデフレの見通しが今より深刻なリスクになるまでは、中国の政策立案者にできることはごくわずかしかない。
HSBCのアジア担当チーフエコノミスト、フレッド・ニューマン氏は「コモディティー価格の下落は、世界の需要を牽引する消費国に恩恵を与える」と言う。
■中国政府の選択肢
物価がじりじり下がり続けた場合、中国政府には需要を創出するための選択肢がいくつかある。
だが、日本と欧州の中央銀行が思い知らされたように、長年の過剰な信用拡大に対処している時には、金融政策でインフレを喚起するのは至難の業だ。
多くのアナリストは、さらなる利下げと、一部産業に的を絞った緩和措置を予想している。
これは消費支出を下支えし、企業の債務負担を軽減することができるだろう。
だが、経済全般に対する利下げの影響については疑問がある。
借り入れコストの低下は主に国が支援する巨大企業に恩恵を与え、たとえ経済的に存続能力がなくても、これらの企業が存続できるようにする。
また、利下げは現状が保たれることを示唆する可能性もあり、これが
「新政権が再び成長を刺激するために信用緩和を利用するという印象を市場に与えるかもしれない」
とバンクオブアメリカ・メリルリンチの中国担当チーフエコノミスト、ルー・ティン氏は指摘する。
習近平国家主席と李克強首相の指揮下で、中国は本物の市場原理の導入を目指す包括的な改革に向けた道筋を示した。
だが、これまでのところ成果はほとんど上がっていない。
「政策に携わる人々の大多数はまだ、改革について肯定的に話していると思う」。
ドイツ銀行のエコノミスト、ツァン・ツィーウェイ氏はこう言う。
「問題は、タイミングと実行する方法だ」
それまでは、中国の経済モデルは信頼されている成長の原動力に依存し続ける。
すなわち、信用を燃料とした投資と輸出だ。
だが、どちらにも重圧がかかっている。
金融危機以来、近年の信用拡大は爆発的だったうえ、世界経済の鈍い成長は、輸出のエンジンが失速し、価格を押し下げていることを意味している。
■通貨切り下げという破壊的な選択肢
懸念されているのは、中国が国内のインフレを煽るために通貨切り下げという破壊的な選択肢を選ぶことを決断することだ。
人民元の価値が大幅に下落したら、輸出が増加し、過剰生産能力を使い切る助けになる。
また、弱いコモディティー価格の重荷を相殺することにもなる。
だが、輸入物価の上昇は中国の消費者にとって悪い知らせであり、製造業者にとっても投入原価の上昇は痛い。
アナリストらは、通貨切り下げの可能性はまだ小さいが、徐々に高まっていると話している。
「可能性が高いとは思わないが、中国の統計が弱くなるにつれ、政策立案者に通貨切り下げという楽な選択肢を取るよう求める圧力が強まっていく」
とニューマン氏は言う。
「中国が為替レートを切り下げることにした場合、それはゲームチェンジャーになるだろう」
■円安が通貨戦争に火をつける恐れ
そのような動きは、諸外国、特に欧州と日本のデフレと戦う努力に悲惨な影響を及ぼすかもしれない。
中国は対EU輸出で世界最大の輸出国であり、これは中国製品の価格が大幅に下がったら、すでに非常に低いユーロ圏のインフレ傾向に新たな下落圧力を加えることを意味する。
だが、日銀の量的緩和プログラムの積極的な拡大は、リスクを一段と高めた。
円は人民元に対して最安値を更新する一方、韓国は日本円を注視していることを市場に通告した。
もし日銀が地域的な通貨戦争に火をつければ、中国は中立ではいられないかもしれない。
「中国がやっているように信用バブルを潰そうとしているのであれば、絶対に避けたいことは為替レートの急上昇だ」
とソシエテ・ジェネラルのエドワーズ氏は言う。
「経済的には、中国には多くの選択肢がない。
これはとにかく1つの必然性であり、
日本が最後の決定的な一撃
になる」
By Josh Noble and Gabriel Wildau
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』
日本は「韓国潰しのために量的緩和を実行」した。
もしかしたら、政府日銀の本当の狙いは
「中国潰し」
だったのだろうか。
2015年あたりから中国ではバブル崩壊が姿を現し始める
と言われている。
そして2016年から2017年にかけて大きな試練に直面する。
この時の動揺を抑えるために、
日本は総選挙を実施して、日本政体は2018年一杯は安定である
という形をとろうとしている。
日本は中国が今後不安な動きをすることになるだろうと予想して、先手先手を打っている。
その不安定な影響をできる限り小さくするために、中国からASEANへのシフトを具体的に実行している。
中国はピークを越えている、
と見ているということであろう。
今後は急激な経済成長によって生じたその歪がもたらすマイナスの波及を抑えこむことが、課題になってくる。
「2009年以降に行われた景気刺激策における「効果のない投資」
――不要な製鋼所、ゴーストタウン、空っぽの競技場などの建設など――
は計6兆8000億ドルに上るという」
つまり、「800兆円の無駄遣い」ということになるが、これはGDPの数字をを引き上げるための失業対策費にすぎない。
たった5年間でのこの数字は驚愕に値する。
そこまでやらなければならないほどに、中国経済は追い詰められている、と周りは判断してしまう。
でも逆にみると、それほどに無駄遣いできるほどのお金をもっているということになる。
しかし、こんなこと長期に続くはずがない。
どこかで破綻する。
破綻すれば、だれかがババをつかむことになる。
日本はそれを掴まないように、中国に距離を置き始めている。
高層建物は一見丈夫そうに見えても、崩れるのも早い。
なぜなら、その自重だけで壊れる原因になるからである。
そして、一度壊れた高層建物を再建することは、ちょっとやそっとではできない。
『
2014.12.03(水) The Economist
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42356
円安と通貨戦争:能力の低い武器
(英エコノミスト誌 2014年11月29日号)
■アジア通貨戦争の不安は誇張されている
安倍晋三氏には、戦争の思いをかき立てる才能がある。日本の戦没者に対する賛辞や日本の平和憲法を変えたいという願望は、中国と韓国が安倍氏を軍国主義と非難する原因になっている。
さらに、円に対する安倍氏の見方もある。
円の価値を下げようとする安倍氏の取り組みは、アジア通貨戦争という憶測に拍車をかけた。
その前提になっているのは、中国と韓国も自国の輸出品が競争力を維持できるように自国通貨を安値誘導しようとするというものだ。
韓国の与党セヌリ党の代表、金武星(キム・ムソン)氏は先日、通貨の衝突に備えるよう政府に求めた。
11月21日の中国の利下げを最初の一斉射撃と見なす者もいた。
利下げが人民元下落を促したからだ。
だが、幸いにも、全面的なアジア通貨戦争の可能性は、軍事的衝突の可能性と同様、心配性の人たちが言うよりはるかに低い。
■円相場と輸出の関係に異変
安倍氏は、2012年末に首相に就任する前から、日本の輸出業者を支援するために円安を求めてきた。
安倍氏の要請を受け、日銀はインフレに火をつけることを期待して「量的緩和」政策――マネーを創出して国債を買い取る策――を採用した。
これが円を急落させ、円相場は昨年初め以降、元とウォンに対して20%以上下落した。
だが、日本の輸出はほとんど拡大しておらず、もちろん、この地域の競争相手を犠牲にしていることもない。
例えば、中国と韓国の対米輸出は過去2年間で約20%増加したのに対し、日本の対米輸出は2%減少している。
★.日本の輸出と円とのつながりが断たれている
ことには、2つの大きな理由がある。
★.1つは、多くの日本の製造業者が近年海外移転を進めてきたことだ。
国際協力銀行によると、日本企業の生産高の3分の1は今、海外で生み出されており、1980年代の1割強から上昇しているという。
円安は、かつてのような輸出の強壮剤ではなくなっているのだ。
★.第2に、円安は日本企業が円建ての利益を減らすことなく外貨建ての輸出価格を引き下げることを可能にするが、そうしている企業はほとんどない。
むしろ日本企業は、国際価格を据え置き、余分な円を懐に入れている。
日本の輸出は、数量ベースでは3年間横ばいが続いているが、金額ベースでは20%以上増えている(図参照)。
また、一部は輸入価格上昇によるコスト高の補填に向かう。
ゴールドマン・サックスによると、日本の製造業者の投入原価は2012年9月から6%上昇しているという。
だが、日銀が量的緩和の規模を拡大しているため、円はさらに下落する可能性がある。
日本の輸出は、ようやく増加し始めているかもしれない。
10月は輸出数量が前年比4.7%増加した。
韓国の自動車メーカー、現代自動車が第3四半期の大幅な減益決算を報告した後、同社の最高財務責任者(CFO)は、円安が最大の懸念材料の1つだと述べた。
だが、円は都合のいい言い訳でもある。
現代の生産の約3分の2はすでに海外で行われている。
国際通貨基金(IMF)は、韓国の輸出のウォン・円レートに対する感応度が1990年代から半減したと見ている。
■活気づく日本の観光業
円安は日本の1つの産業を活気づかせている。
観光である。
訪日外国人は今年27%増加している。
何千という中国のオンライン代理店も生まれており、円安を利用し、輸入関税を回避して、日本の製品を中国に持ち帰るために日本製品の購入を申し出ている。
オンラインショッピングサイト、淘宝網(タオバオ)で検索すると、100万点を超える日本製品がこうした販売網を通じて入手可能になっていることが分かる。
特に人気が高いのは化粧品だ。
「円が下落しているため、我々にはもっと割引する余地がある」。
タオバオで日本の手工芸品を販売する大阪在住の中国人、チョウ・シェンリャンさんはこう言う。
日本の輸出業者がチョウさんの後に続いて一斉に値下げしたとすれば、円安は、経済に対するさらに大きな追い風になる可能性がある。
だが、そうなれば、それ自体が円に上昇圧力を加えることになる。
また、忘れてはならないのは、安倍氏の金融面の実験の最終目標が日本をデフレから救い出し、賃金上昇を生み出すことであることだ。
それは、価格を低く抑えることを狙った近隣窮乏化の通貨安とは大きく異なるものだ。
韓国の中央銀行の李柱烈(イ・ジュヨル)総裁が最近述べたように、円に関する懸念は「少し行き過ぎている」。
アジア通貨戦争の話についても同じことが言える。
© 2014 The Economist Newspaper Limited. All rights reserved.
英エコノミスト誌の記事は、JBプレスがライセンス契約 に基づき翻訳したものです。
英語の原文記事はwww.economist.comで読むことができます。
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レコードチャイナ 配信日時:2014年12月7日 15時2分
http://www.recordchina.co.jp/a98580.html
日本よ、先進国なら責任ある金融政策を
=円安は日本にも外国にもマイナス―中国メディア
2014年12月5日、過去2年間のアベノミクスの短期的な効果は、まるであだ花のようなものだった。
第2四半期(4-6月)の成長率が大幅に低下した日本経済は、第3四半期(7-9月)にも引き続き低下し、自律的景気後退の域に入っている。
安倍首相は消費税率引き上げの先送りを迫られ、任期を残して衆議院の解散に踏み切り、安倍政権の経済政策に対する国民の信任を改めて得ようとしている。
これと同時に、日銀は量的金融緩和の規模を80兆円に拡大すると発表し、これに呼応して円相場が下落し、1ドル120円まで下落し、7年ぶりの最安値を記録した。
量的緩和と円安は安倍政権の止むに止まれぬ選択だったといえる。
これまで安倍政権は金融拡張政策、財政拡張政策、構造改革政策に期待を寄せていた。
だが現在、財政政策で打つ手はなく、日本国債の発行残高はすでに国内総生産(GDP)の240%に達し、先進国で最も高い水準となっている。
2020年までに基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化するため、安倍政権は消費税率を5%から8%に引き上げたが、経済を急激に冷え込ませる結果となった。
米格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスは先頃、日本国債の格付けを1段階引き下げ、
「日本国債の持続可能性には問題があり、政府は財政赤字によって経済を活性化させるべきではない」
とした。
構造改革は言うは易く行うは難しで、どこから手を付けるかが難しく、短期間で成果を上げることはとりわけ難しい。
そこで最後の手段として残されたのが量的緩和だった。
原則として、量的緩和政策には3つの効果がある。
▽:円安による輸出の活性化
▽:株式市場の値上がりを喚起して企業の設備投資を拡大
▽:インフレを推進して消費喚起
の3点だ。
だがメリットがあれば必ずデメリットもある。
円安は確かに輸出を活性化するが、輸入製品のコストを押し上げ、企業の設備投資と個人消費の意欲を低下させる。
最新のデータによると、日本の中小企業の60%以上が、大幅な円安に大きな不満を抱いている。
日本から海外を旅行する人の四半期減少幅は3%を超えた。
日本の株式市場は非常に強気傾向にあり、アベノミクス開始以来の上昇幅は70%を超え、企業の設備投資の拡大に確かに一役買っている。
だが最新の推計によると、日本の強気市場の主な源泉は投資家の投機行為にあるのであり、企業の利益によって上昇したのではない。
そこで投資や経済成長を喚起する株式市場の効果には限界があるといえる。
注目すべきは、円安には重要な波及効果があり、国際資金の投機行為を誘発し、
各国の通貨の競争的な下落を招くということだ。
長年にわたり、超低金利の円は国際金市場で「裁定取引」ができる主要通貨とされ、大規模な裁定取引と実体経済には何の関係もないはずが、実際には国際金融市場の変動と投機行為をむやみに激化させ、各国の為替相場と実体経済の乖離をもたらしていた。
日本で量的緩和政策が行われるようになった初期には、多くの国で円安が誘発した競争的な通貨安を非難したが、日本政府は従わず、我関せずの態度を取った。
さらに米連邦準備制度理事会と欧州中央銀行が実施した量的緩和政策により、世界中に「金融万能主義」の政策哲学をあがめ奉る風潮が広がり、実体経済の長期的で持続可能な復興には何のプラスにもならず、それどころか国際金融市場のリスクを大幅に増大させることになった。
そこで、はっきりと心にとめておかなければならないことは、先進国はより責任ある金融政策を採って、懸念される新たな国際金融危機の発生をくい止めなければならないということだ。
(提供/人民網日本語版・翻訳/KS・編集/武藤)
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レコードチャイナ 配信日時:2014年12月9日 13時58分
http://www.recordchina.co.jp/a98753.html
中国経済、166年ぶりに世界一の座に返り咲きへ―韓国メディア
2014年12月8日、韓国紙・中央日報は、世界銀行の予測を基に、中国経済が166年ぶりに世界一に返り咲くと報じた。
参考消息(電子版)が伝えた。
世界銀行は今年4月、購買力平価(PPP)に基づく試算として、中国が今年中に米国を追い抜き、世界一の経済体になると予測した。
実は、中国経済が世界一になるのは、今回が初めてではない。
ドイツ銀行によると、中国経済は、第1次アヘン戦争(1839~1842)の終了前後までは世界一の規模を保っており、英国に1848年前後に抜かれたという。つ
まり、今年166年ぶりに世界一の座に返り咲くことになる。
一方、米国は第1次世界大戦(1914~1918)前後に世界最大の債権国となり、英国に代わって世界経済の中心となった。
世界銀行の予測が正しければ、購買力平価に基づく計算であるものの、米国は96年ぶりに世界一の座を明け渡すことになる。
なお、英国が世界一の座を占めた期間は約66年だった。
では、ドルが基軸通貨であるという金融覇権についても、米国は手放すことになるのだろうか。
専門家によると、米国による金融覇権の掌握は、第2次世界大戦が重要な契機になったという。
実際に米国が金融覇権を掌握したのは、第1次世界大戦後に世界経済の中心に躍り出た時から26年経過した1944年のブレトンウッズ体制(ドルを唯一の金本位通貨として、各国通貨の為替レートをドルとの間で固定する体制)の登場によるものだった。
従って、中国がたとえ今年世界一の経済体になったとしても、米国の金融覇権が直ちに崩れ去るというわけではない。
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サーチナニュース 2014-12-19 10:09
http://news.searchina.net/id/1554339?page=1
物価上昇率「ゼロ時代」発生、
住宅価格が上昇した都市は「なし」=中国・11月統計
中国政府・国家統計局によると中国全国の11月における消費者物価指数(CPI)は前年同月比で1.4%の上昇で、5年ぶりの低い水準だった。
中国新聞社のまとめによると、31の省(含、中央直轄市・民族自治区。以下同じ)のうち、8地区でCPI上昇率が1%に満たないといった物価上昇率の「ゼロ時代」現象が広がっている。
11月には全国の主要70都市で、新築住宅価格が前月比で上昇したケースはなかった。
31省のうち、11月に前年同月比の物価上昇率が最も高かったのは
青海省で、3.3%の上昇だった。
以下、上海市の2.6%、
貴州市とチベット自治区の2.4%
と続いた。
上昇率が1%未満だったのは8地区だった。
河北省、黒龍江省、浙江省、四川省では0.9%、
北京市、陝西省は0.7%、
山西省は0.6%、
内モンゴル自治区は0.5%
だった。
中国新聞社は8地区について「CPI上昇“ゼロ時代”」などと表現した。
各地方政府が低所得層のために供給する「保障性住宅」を除いた市場で取引される住宅の新築物件価格では、国家統計局の観測対象となっている全国70都市のうち、11月は67都市で前月よりも価格が下落した。
下げ幅が最も大きかったのは大連市(遼寧省)で、前月比1.4%の下落だった。
上海市は0.4%、
北京市は0.2%、
広州市(広東省)は0.4%
の下落だった。
南京市(江蘇省)、合肥市(安徽省)、深セン市(広東省)の3都市は横ばいだった。
価格が上昇した都市はなかった。
前年同月比では68都市で価格が下落し、2都市で上昇した。
下げ幅が最も大きかったのは杭州市(浙江省)で、9.5%の下落だった。
上昇したのは厦門(福建省)の2.9%と鄭州市(河南省)の0.4%だった。
北京市は前年同月比で2.1%、上海市は2.9%、広州市(広東省)は3.8%の下落だった。
中国では2013年まで不動産価格の上昇が続いていた。
14年11月時点の2010年の平均価格との比較では65都市で、新築住宅価格が現在も上回っている状態が続いている。
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