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レコードチャイナ 配信日時:2015年1月8日 1時33分
http://www.recordchina.co.jp/a100124.html
<リポート>日本のアニメが、中国でリアルタイムで見られる!日中同時放送の今
あけましておめでとうございます。
中国では春節のほうが重要なので、元旦休みは3日間しかありません。
2014年ではテンセントが原作アニメを発表したり、中国オンラインゲームで日本人声優が使われたりと、非常に面白い年でした。
今年も中国コンテンツビジネスの最前線を皆様にご紹介できるよう尽力しますので、よろしくお願いします。
ところで、今中国で日本アニメが「正規」に「日本と同時刻」に見ることができるのをご存知でしょうか。
2012年、
中国弾幕動画サイト「Bilibili」が「Fate/Zero」の正規配信権を得て、日中同時放送がアニメ史上初めてされました。
日本の放送時間に基づき、日本と同時に放送するのですが、日本と中国では1時間の時差(日本のほうが1時間早い)がありますので、日本時間の9時に放送したら、中国時間の8時に配信する、といった感じです。
その時差、まさにZero。
これはとてもすごいことで、今まででは考えられないことでした。
今までは日本に滞在する有志の方が、録画したアニメを中国に送信、中国側の有志が字幕を作成し、まず動画をアップロードします。
さらにサイト側が中国の法律に基づき検閲してからサイトに公開される流れでした。
日本で放送されたアニメが3~5時間後には視聴できました。
後にLeTV、テンセント、PPTV、愛奇芸(アイ・チー・イー)などの参入により、2014年には日本で放送しているアニメのほぼすべてが配信されています。
北海道文化放送で放送された「フランチェスカ」のような地方テレビ局のアニメも含まれています。
▼同時放送がもたらした視聴者と配信者の変化
視聴者にとってアニメが生放送で見られることと、放送時間外でも自由に視聴できるというこの2つのポイントが重要です。
時差0時間になったことによって比較的大きな変化があったのは、「サブオタク」と「元オタク」だと私は考えています。
中国にはアニメをドラマの感覚で見る人「サブオタク」が結構います。
昔、実習先の職員が全くオタクじゃないのに、世間話でアニメの話をしていたのにはびっくりしました。
「サブオタク」は今まで、「動漫展(いわゆるコミケット系イベント)」に参加したり、コスプレしたりすることが「アニメオタク」への「登竜門」だったのですが、日中同時配信によって、容易に「本当のオタク」という称号が得られるようになったのです。
「元オタク」は仕事などの関係で趣味を諦めなければならなかった人を指します。
今まで不定期に更新されるアニメを見るのは大変でしたが、時間が決まることによって仕事に影響を及ぼさなくても最新アニメを見ることができるようになりました。
帰宅後のビールならぬ、帰宅後のアニメという選択肢が増えたのです。
日中同時放送は「今までアニメに少し興味あった人」と「仕事をはじめて脱オタしてしまった人」のオタク化に大きく寄与したと私は考えます。
これは日本コンテンツホルダーやクリエイターにとっては「中国のサブカルマーケットが成長している」ということで、朗報ではないかと思います。
今まで海賊版アニメを流していた動画サイトがなぜお金を払ってまでアニメ配信を始めたのでしょうか。
その答えを出すにはまず、中国大多数のサイトで、違法に動画や音楽をアップロードしている運営者の目的を理解しなければなりません。
実はこれ「アクセス数の増加による投資誘致」を狙っているのです。
中国でアニメを同時配信している「テンセント」、「愛奇芸」、「PPTV」、「LeTV」などがあります。
これらのサイトの目的はまさに「アクセス数増加」であると関係者は話してくれました。
「アニメ同時配信は配信権費獲得コストに見合うアクセス数を得ている」としながらも、
「配信権による収益は期待できない」
そうです。
あくまでもサイト全体のアクセス数を増やすための広告宣伝に近いものだそうです。
またいち早くアニメ同時配信を始めたLeTVは、他の動画サイトに比べサイトの立ち上げが遅かったので動画視聴アプリなどを発表して、ユーザーの取り込みに懸命でした。
人気日本アニメを配信することで、アクセス数を伸ばし、投資家を募り、事業拡大を狙っていたLeTVは、他社との差別化を図り、「同時配信」という答えにたどり着いたのではないでしょうか。
ビジネス的な理由によって「コンテンツ」に対して対価を支払い「使用」する形になってきたこと、そして今まで海賊版のアニメしか見られなかった中国で、正規配信が視聴できるようになったのは非常に喜ばしいことです。
中国の変化はやはりインターネットから始まる
ことを示す事例だと思います。
今後も中国コンテンツビジネスは独自の発展を続けていくものだと信じています。
(文/みねぎしひろゆき)
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