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2014.10.01(水) Financial Times By Gideon Rachman
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41853
香港民主派デモ:天安門以来の難局に直面する中国
(2014年9月30日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
香港市街で行われている大規模なデモは、中国政府にとって、北京の天安門広場とその周辺で民主化運動を鎮圧した1989年以降で最大の政治的難局になっている。
今回の香港のデモと、25年前の北京のデモとの間には不気味な類似点があり、中国共産党指導部は大いに動揺しているに違いない。
■天安門と香港のデモの類似点と相違点
●9月29日に香港で行われた民主化要求デモで、警察の発射した催涙ガスから逃げる参加者ら〔AFPBB News〕
まず、今回もデモを主導しているのは民主的な改革を求める学生たちだ。
また、今回も中央政府当局は事態を掌握できていないため、弾圧か屈辱的な譲歩かのどちらかを選ばねばならない状況に直面する恐れがある。
さらに、今回もまた、
究極的には中国政府における共産党の権能と権限が問われる
ことになっている。
ただ、2014年の香港と1989年の北京との間には大きな違いもある。
まず、この25年の間に中国はとても豊かで強い国になった。
また中国政府当局は、「中環(セントラル)占拠」運動の旗印の下で始まった今回のデモが、1989年の中国の学生たちによる抗議行動よりも「オキュパイ・ウォールストリート(ウォール街を占拠せよ)」という尻すぼみになった運動の方に似ることを期待することだろう。
そして中国当局には――選ぶ道次第ではあるが――1989年当時よりも裁量の余地がある。
なぜなら香港は首都ではなく、英国から中国への香港返還を支えた「一国二制度」という統治方式により特別な地位を付与されている地方都市だからだ。
■香港は民主主義に向けた次の一歩を踏み出せるか?
この統治方式の下で香港は、出版の自由と司法の独立を謳歌し続けている。
どちらも中国本土には存在しない自由だ。
そのため今は、香港が民主主義に向けた次の一歩を踏み出し、北京の政府による候補者の事前審査なしで行政長官を選ぶことができるようになるか否かが問題になっている。
もしここで中国共産党が聡明さを発揮するなら、香港が民主的な改革の試験台になるのを容認することだろう。
同様な改革を求める動きが中国本土で直ちに引き起こされることがないように香港で民主的な改革を進めようという場合、一国二制度という統治方式は――香港が裕福で洗練された都市であることも手伝って――まさにうってつけである。
繁栄する民主的な香港は、中国国内のほかの地方や都市で同様な改革を少しずつ進める際のモデルになるかもしれない。
残念ながら、北京の中央政府はそれとは逆の道を進む方針を固めているように見える。
中国国内での民主主義の盛り上がりにつながりかねないことは認められないし、共産党の表明した希望があからさまに軽視される状況も容認できない、というわけだ。
中国政府はそう判断することで、香港の抗議行動の参加者と対決する道を選んでいる。
デモ参加者が解散しなければ、中国政府が暴力的な介入を行うリスクが明らかに高まる。
■中国政府の変節
中国がこの道に進む必然性はなかったし、今日でもない。
1997年の返還後の数年間、中国は実に巧みで洗練されたやり方で香港を扱っているかに見えた。
出版の自由は維持され、司法は立法府や行政府からの独立を保っていた。
中国政府は、心を揺さぶる天安門追悼集会が毎年6月4日に開催されることすら容認している。
香港のベテラン民主活動家、マーティン・リー(李柱銘)氏は4年前、中国が香港に自由の維持を大幅に認めていることについて「うれしい驚き」を覚えていると筆者に語ってくれた。
ところが今年に入って再会した時、李氏の見方は完全に変わっており、中国政府は香港の民主主義を否定して司法の独立性も低下させるつもりでいるようだと警鐘を鳴らしていた。
この4年間にいったい何があったのか。
ひょっとしたら、北京の共産党が以前よりも強引かつ不寛容になったのかもしれない。
あるいは、香港に本物の民主主義が芽生えるようなことをするつもりなど全くなかったのかもしれない。
今後数日間、世界の人々の目は香港市街に注がれることになるだろう。
しかし、中国本土の一般市民の反応も重要になる。
中国政府が最も恐れているのは、
民主化を求めるデモが本土に広がること
だからだ。
中国政府は、中国の公式メディアやインターネット上で香港からの報道をブロックしようとしている。
抗議行動が続けば、中国本土の市民と香港の市民との間にある潜在的な敵愾心も利用しようとするかもしれない。
香港では、本土の市民が粗野な侵入者として描写されることが時折ある。
そして本土では、香港の市民が植民地時代を懐かしむ、愛国心のない甘やかされた子供として描写されることが時折ある。
香港の抗議行動がエスカレートしたら、中国のナショナリストのメディアは、
香港市民は真の中国人以下の存在だ
という考え方を持ち出してくるかもしれない。
その場合、香港に対する中国の公式的な反応は、ウクライナでのデモに対するロシアの反応を想起させるものになるかもしれない。
■ロシアによるクリミア併合と同様の悪影響も
ロシアと中国では、ウクライナ人と香港人はおとなしくしている限り兄弟として受け入れられる。
しかしいったん歩調を乱せば、あっという間に評価が逆転して西側の帝国主義の手先だと指弾されかねない。
もちろん、香港は中国の主権が及ぶ地域の一部だがウクライナは独立国だという違いはある。
しかし、香港の抗議行動に暴力的な結末がもたらされれば、ロシアによるクリミア併合がロシアと西側の普段の関係を破壊した時とほぼ同様な確実さで、中国と西側諸国との関係も崩れることになるだろう。
中国政府は今、次の一手を考えているところだ。
香港のために、中国のために、世界経済のために、そして国際政治の安定のために、正しい対応を取ることが極めて重要だ。
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2014.10.01(水) Financial Times By Tom Mitchell in Beijing
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41850
中国政府、香港民主化デモの報道規制に苦慮
(2014年9月30日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
中国政府は9月29日、民主化推進を求める香港の活動家たちによる市民的不服従の共同キャンペーンに対して一歩も引かないという誓いを貫いた。
「困難は多少あるかもしれないが、国はそれらに対する準備ができており、中央政府も準備ができている」。
中国の全国人民代表大会(全人代=国会)委員長の張徳江氏は8月末、香港のビジネス街を混乱させるという民主派団体「和平占中(オキュパイ・セントラル)」の脅しに暗に触れ、全人代の香港代表団にこう語った。
■強硬姿勢を貫く中国政府
先週末に何万人もの抗議者がまさにそれを実行し、香港警察との衝突を招くと、中国政府は、同政府が「違法集会」と呼ぶものに反対する立場と、エスカレートする危機に対処する香港政府の能力に対する信頼を改めて繰り返した。
だが、2017年に予定されている香港行政長官選挙で候補者を選抜することを決めた中国政府の判断を支持する人々でさえ、週末に香港の街頭で噴出した怒りに驚きを表した。
「『市民的不服従』という言葉は香港で起きていることを表していない。
いま起きているのは暴動だ」。
深圳大学の香港問題の専門家、張定淮氏はこう話す。
「中央政府はすでに意見を表明しており、この運動を抑制しようとする香港の取り組みを支持する。
私の見るところ、学生の行動は衝動的で、これを煽っている人々がいる。
中央政府の決定は変えることができない」
■ソーシャルメディアを相次ぎ遮断
中国本土の検閲当局は、香港での事態の展開に不意を突かれたように見える。
政府は当初、中国のツイッターに相当する微博(ウェイボ)上で「オキュパイ・セントラル」およびそれと関連する言葉を禁止した後、通常は中国でアクセス可能なフェイスブック傘下の写真共有サイト「インスタグラム」へのアクセスを遮断した。
また、検閲当局は9月29日、ユーザーが友人や知人の個別グループと対話したり、文書を共有したりできる騰訊控股(テンセント)のメッセージングサービス「微信(ウィーチャット)」に投稿された香港関連の記事も遮断した。
だが、同サービスのユーザーは、監視システムに察知されるキーワードを付けずに抗議行動の写真や動画ファイルを投稿することで検閲を逃れることができた。
隣接する広東省の奥深くまで電波が届く香港のテレビ局では、進展する抗議行動の生放送が中国のケーブルネットワーク事業者によって遮断された。
こうした事業者はBBCやCNNなどの国際的なテレビ局からの衛星放送も遮断することができる。
だが、中国本土では、セットトップボックスを設置することによって、インターネット上で遮断されることなく香港や諸外国の数百ものチャンネルをストリーミングできるテレビ視聴者が増えている。
■香港のデモへの支持が中国本土に広がる恐れ
北京の政府関係者は、香港の抗議行動への支持を表明するデモが中国本土に波及しかねないことを特に懸念している。
「我々は香港の人々によるこうした愛国的な行動を支持する」
と言うのは、フー・ボセンさん。
彼は、香港の抗議運動への支持を表明する横断幕を掲げた一団の写真を先週投稿した十数人の上海市民の1人だ。
政府系新聞や他の伝統的メディアを抑え込む中国政府の取り組みはもっと効果的で、大半のメディアは辛辣な解説や社説の文脈の中だけで香港での出来事に言及した。
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ロイター 2014年 10月 1日 12:45 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKCN0HQ2VF20141001?pageNumber=1&virtualBrandChannel=0
アングル:香港デモに中国から称賛と反感、「第2の天安門」警戒も
[香港 1日 ロイター] -
香港で数万人が参加する民主化要求デモは、1997年の英国からの返還以来で最大規模となる中、中国本土から香港を訪れている人たちは、称賛と反感が入り混じった思いで状況を見つめている。
北京から観光目的でやってきたという29歳の女性は「人生で初めて政治を身近に感じた」とし、「これは香港にとって歴史的瞬間だ」と語った。
中国は1日からの国慶節(建国記念日)の連休に入り、香港にも本土から多くの旅行者が訪れている。
この女性は、デモの様子を映した写真を友人たちとシェアし、インターネットにも投稿する予定だという。
「最初はかなり怖かったが、今はデモを強く支持している。
いつの日か、中国(本土)でもこうしたことが起きると信じている」
と語った。
ただ、それはまさに中国政府が避けたいことでもある。
共産党指導部は、民主化要求の声が本土にも広がることを警戒しており、香港のデモに関するニュースやソーシャルメディアでのコメントを厳しく検閲している。
今回のデモは1997年の香港返還以来で最大規模となっただけでなく、中国政府にとっては、
1989年の天安門事件以来で最大の政治的難局
となっている。
四川省の成都から来たという20代半ばの女性は、天安門事件は幼かったため記憶にないと話す。
また中国では「愛国主義教育」により、若者の多くが天安門事件などの反政府デモについて限られた知識しか持っていない。
女性は
「こういった運動を目にするのは初めて。
現場は非常に整然と統制が守られている。
思っていたような混乱状態とは違う」
と印象を口にした。
今回のデモは中国政府に対し、2017年の香港次期長官選挙で完全な民主的選挙を実施するよう求めており、梁振英・現行政長官の辞任も要求している。
中国政府は香港には「一国二制度」の原則を適用し、本土では見ることのできない自治と自由を与えているが、今回のデモは違法行為だと非難。
本土から訪れている人たちの中にも、法律を破るのは正しいやり方ではないという意見はある。
香港科技大学の博士課程で学ぶ男性は
「彼らの要求は支持するが、目標を達成するための過度に強引な行動は支持しない。
法を犯すのは良くないことだからだ」
と述べた。
また、中国政府から受けた恩を忘れた香港の住民に幻滅したとの声も聞かれる。
広東省の深センから買い物目的で1日に香港入りしたという女性は、デモ隊が民主的選挙を求めるのは「本土に対して礼を欠く行為」だと非難。
「中国政府は香港に大きな発展をもたらしたにもかかわらず、彼らはそれを認めていない」
と憤りを見せた。
中国国民の多くは、天安門事件での政府の厳しい弾圧姿勢に衝撃を受け、何十年に及ぶ共産党政権下での不安にも疲れ、革命的大衆運動という考えにはためらいを感じている。
本土育ちで現在は香港で慈善団体を運営している女性は、今回のデモが暴徒化した場合、中国政府が強硬な手段に訴える可能性があると警戒する。
「共産党にはそれを実行する力がある。
これまでも見てきたし、また繰り返されるだろう。
もっと根の深い問題があり、それを正すには何世代もかかる。
1つのデモでは解決しない」
と語った。
(Donny Kwok記者、Yimou Lee記者、翻訳:宮井伸明、編集:伊藤典子)
*見出しの体裁を整えて再送します。
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朝日新聞デジタル 2014年9月29日00時12分
http://www.asahi.com/articles/ASG9X53D2G9XUHBI00T.html
数万人、香港中心部を占拠 行政長官選挙巡る抗議活動
香港政府のトップを選ぶ2017年の行政長官選挙をめぐり、中国側が示した改革案に抗議を続ける民主派や学生らは28日、数万人で香港中心部を占拠した。
民主派は10月1日に占拠を計画していたが、抗議活動の盛り上がりを受けて前倒し。
当局も催涙弾を使うなどして排除に乗り出したが、現場は夜遅くまで混乱した。
28日未明、香港の政府庁舎近くの広場で、学生らの抗議に加わった占拠運動リーダーの戴耀廷氏が「あらゆる資源をこの民主運動に投入する」と占拠の前倒しを宣言。
午後からは、数万人が政府庁舎周辺に集結し、香港中心部を貫く幹線道路を埋め尽くした。
夜には周辺の道路も完全にストップさせ、「候補者は自分たちで選ばせろ」「民主主義を返せ」などとシュプレヒコールをあげた。
警察当局はしばらく状況を見守っていたが、夕方以降は強硬な姿勢に転換。
催涙スプレーを使ったり、催涙弾を撃ち込んだりしたため、一帯は騒然となった。
さらに、プラスチック弾の銃を持った警官らも抗議を続ける人たちを威嚇した。
学生らはゴーグルやマスクを着け、抗議を続けた。
「一国二制度」の下、高度な自治が認められている香港では、次回17年の長官選から1人1票の「普通選挙」が導入される予定。
だが、中国側が先月末、事前に2~3人の候補者に絞り込む仕組みを提示したため、民主派は「中国寄りの人物しか立候補できない」と強く反発してきた。
抗議の輪は、26日から政府庁舎前で活動を続けてきた学生ら70人以上が逮捕され、急速に広まった。
両親と一緒に来たという大学3年の女性は
「学生を逮捕するなんておかしい。
政府はまず私たちの声を聞くべきだ。
政府が力で抑える以上、私たちが怒りを表すのはこういう方法しかない」
と訴えた。
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サーチナニュース 2014-09-29 10:29
http://news.searchina.net/id/1544533?page=1
香港で「天安門事件か!?」の声
・・・デモ隊に催涙弾発射、
メディア「香港人は人となるのか、奴隷となるのか」
香港で警察が28日夜、市街地中心部を占拠するデモ隊に催涙弾を撃ち込んだ。
デモ隊は、2017年の香港特別区行政区長官選出で、民主的選挙の実施を求めていた。
デモ参加者からは
「私は、6.4(1989年の天安門事件)の現場にいるのか!?」
などの声が出た。
「香港人は人となるのか、奴隷となるのか」
と報じるメディアもある。
これまで香港の行政長官選出は、選挙委員により行われてきた。
選挙委員会は業界団体や組合、さらに香港選出の中国全国人民代表大会代表(全人代議員)や全国政治協商会議の委員で構成されている。
大陸寄りの考えを持つ人が多数だ。
2017年の長官選出について、民主改革派は、2017年の長官選出に対し、西側諸国と同様の自由な普通選挙実施を求めてきた。
中国政府は、立候補者を選挙委員会が選ぶ方式にすることと決めた。
中国大陸側の政策や考え方に反対する人は、事実上、立候補できないことになった。
民主派は香港中心部の中環(セントラル)を10月1日に占拠すると表明していた。
しかし26日から政府庁舎前で抗議活動を続けていた学生ら約70人が逮捕されたことで、態度を硬化。
28日には前倒しでセントラル占拠することを宣言した。
その後、多くの人が駆けつけ、数万人がセントラルを埋め尽くした。
警察側は当初、状況を見守っていたが夕方ごろからデモ隊排除の具体的動きを見せはじめた。
日が暮れた後には催涙弾を次々に発射。警官隊とデモ隊の衝突が発生し、けが人も出た。
「一部警察官は歩兵銃を持っており、実弾による威嚇射撃をした」
との情報も流れた。
デモ隊指揮部では、警察が実弾を撃ったとの情報に接し、一時は「参加者の安全確保」を理由に撤退を指示したがその後、同情報について事実が確認できないとして、占拠の継続を決めた。
占拠継続を知ったデモ隊は、大いに気勢を上げたという。
デモ隊側に十数人の負傷者が出た模様。
警察は明け方ごろになっても、デモ隊の完全な排除に成功していないとされる。
中国大陸寄りの論調である香港文匯報は、
「警察側は多数回にわたり警告したが、デモ側の暴力がエスカレート」
として、警察側の動きを肯定的に紹介した。
ただし、デモ側から「学生は暴徒ではない」などの叫び声が出たことや、催涙弾によりデモ隊は一時散開するが、再び結集するなどの状況も紹介した。
民主化支持のアップル・デーリーは、
「鎮圧恐れず。6万人がセントラル占拠し梁辞職を叫ぶ」
と題する動画を配信した。
「梁」とは現職の梁振英行政長官を指す。
同動画は私は、6.4(1989年の天安門事件)の現場にいるのか!?」などのデモ参加者の声を紹介。
さらに
「官の圧迫に民が反発。しかし北京のセントラル占拠に対する態度は、依然として強硬」、
「香港人は人となるのか奴隷となるのか」
などの字幕をかぶせ、警察がデモ隊に次々の催涙弾を発射する様子を紹介した。
』
【描けない未来:中国の苦悩】