2014年10月14日火曜日

高速鉄道争奪戦(1):日本か中国か、有利なのはどっち?

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レコードチャイナ 配信日時:2014年10月14日 10時0分
http://www.recordchina.co.jp/a95665.html

日本と中国の高速鉄道争奪戦、有利なのはどっち?―中国紙

 2014年10月13日、近年、タイ、シンガポール、マレーシア、インドなど多くの国が高速鉄道の建設計画を立てている。
 その建設距離は合計1万kmを超えると推計されている。
 こうした国々はいずれも高速鉄道の建設技術が十分に高くない。
 そのため高速鉄道の設計・建設・運営の経験を持つ国々は、この巨大な「パイ」をねらった争いを繰り広げている。
 中国と日本はまさに、この競争のまっただ中にいる。
 国際商報が伝えた。

 日本はずっと新幹線を世界中に売り込んできた。
 高速鉄道建設の分野で後から来た「新人」である中国も、大量の国際的なプロジェクトを引き受けてきた。
 東南アジア市場での高速鉄道の日中間の競り合いは、一体どちらが優位に立っているのだろうか。

▽コストの低さで先手に

 欧州の高速鉄道技術は建設コストが高い。
 そのため東南アジアの高速鉄道市場の主要な競争者は、世界的に見ても中国と日本ということになる。

 戦略管理と販売管理の専門家として名高い北京大学経済学院の薛旭(シュエ・シュー)准教授は、価格と戦略の面から考れば、
 中国の高速鉄道の方が競争で優位に立っていることは間違いない
と指摘した。
 中国社会科学院アジア太平洋・世界戦略研究院の李天国(リー・ティエングオ)助理研究員も同様の見方を示した。

中国の優位は具体的に「3つ」の面から考えられる。

第一に、中国の高速鉄道技術そのものは日本より劣っておらず、走行距離と規模から見ても技術や信頼性の面から見ても遜色はない。

第二に、中国の高速鉄道は理論的に言えばより安い。
 材料コストも人件コストも低い。
 この点からは、中国の高速鉄道を受け入れる東南アジア諸国にとっては負担が少ないことを意味する。
 薛氏によると、コストの面では、高速鉄道の建設には、労働力と建設を進めるためのコスト、さらには工事後のメンテナンスのコストが含まれる。
 日本とASEAN諸国は海を隔てて離れている上、日本は人件費が高い国であり続けており、高速鉄道を建設する東南アジア諸国はこうした要素も考慮に入れる必要がある。

第三に、中国には高速鉄道の建設と運営に成功している実績がある。
 「中国は土地が広大で、地理・気候などの環境は土地ごとに複雑に異なっている。
 中国がこのような異なる地理環境の下、巨大な高速鉄道網の建設と運営に成功したことは、中国の高速鉄道技術の成熟度と安全性を全世界に示している。
 中国は高速鉄道分野の後発国なので、技術はすでに成熟しているものの、技術の研究開発の時間が長くないために、中国の高速鉄道技術に対する国際社会の認識が追い付いていない」
と李氏は指摘している。

▽「ゼロコスト」は宣伝戦略

 日本が打ち出した「ゼロコスト」は、日本の高速鉄道が価格面で優位に立っていることを意味してはいないか。

 薛氏はこれについて、
 「日本は本土の産業のための国際市場開拓を焦っており、これによって国内の関連企業の生産回復が進むことを望んでいる。
 だが日本の財政の現状とその動向から見て、価格競争が始まれば、日本財政はさらなる圧力にさらされることになる。
 このため、日本のいわゆるゼロコストは宣伝戦略の一環にすぎないと考えられる」
との見方を示した。

 このことは、日本政府が7月25日に行った経済財政諮問会議で発表された推計データからも見て取れる。
 少なく見積もっても、日本の中央政府と地方政府は2020年度、11兆円の財政赤字に直面することになる。

 5年後に訪れるこの困難を和らげるため、日本政府は2015年度に財政赤字を2010年度の半分に減らし、2020年度には赤字から脱する目標を提出した。
 消費税の2回にわたる引き上げは財政赤字を補填するための最大の切り札となる。
 だが2020年に日本が巨額の赤字にさらされていることは必至だ。

▽中国を選ぶ戦略的意義

 これらのほかにも、ASEANの高速鉄道建設に中国が参加することにはさらに深い意義がある。

 李氏によると、ASEANの多くの国と中国とはこの地域で共通する経済的・政治的利益を持っている。
 「『21世紀の海上シルクロード』の重要な通り道として、ASEANの物流網の発展は、中国とASEANの間のさらに緊密な経済貿易協力を推進するものとなる」
と指摘した。

 薛氏も同様の見方をしている。
 ASEANの多くの国は中国と国境を接しており、中国との高速鉄道分野での協力は物流と運輸の効果を大きく高める働きを持っている。

 薛氏はさらにこう指摘する。
 「中国の物流の発展は成熟度を増している。
 東南アジア諸国が高速鉄道を発展させる最終的な目的は経済利益を高めることにある。
 多国間の貿易を成長させるには、ほかの国々との交通を発展させる必要がある。
 シンガポールを例に取れば、もし高速鉄道ができれば、航空運輸の経済的な圧力を大きく緩和することができる」。

 薛氏はさらに、
 「中国とASEAN諸国は『市場を技術と取り替える』という方式を取り、一部の中国市場を開放することも考えられる。
 日本の口先の『ゼロコスト』よりも大きな利益を上げることができるはずだ」
と指摘した。

(提供/人民網日本語版・翻訳/MA・編集/TF)



レコードチャイナ 配信日時:2014年10月17日 20時41分
http://www.recordchina.co.jp/a95906.html

李克強首相による「トップセールス」、
世界各国に高速鉄道を売り込み中―中国メディア

 2014年10月16日、中国国務院の李克強(リー・カーチアン)首相がロシアの広大な大地へと中国の高速列車を発進させた。
 新華社によると、李首相のロシア訪問中、中国発展改革委員会とロシア運輸省、中国鉄路総公司、ロシア鉄道の4者は、高速鉄道での協力覚書を締結した。
 北京からロシアへのユーラシア高速輸送回廊の構築を推進し、モスクワ・カザン間の高速鉄道プロジェクトを優先的に実施することで両国が一致した。

 李首相とともにロシアを訪れている人員の中には、中国南車と中国北車の上層部も含まれる。
 中国の高速鉄道車両のメーカーが首相とともに海外を訪れて高速鉄道を売り込んだのは今回が初だ。
 業界筋は、中国の高速鉄道輸出は戦略的配置だけでなく、戦術的推進の段階にも入っており、国家レベルの呼びかけにとどまらず、企業の商業参加にも表れ始めていると指摘する。

 李首相は昨年10月には自らの「高速鉄道外交」を始め、タイ、オーストラリア、中欧・東欧、アフリカ、英国、米国などに中国の高速鉄道をすでに売り込んでおり、国際的な高い注目と論議を呼んでいた。

 昨年10月のタイ訪問の際には、中国には高速鉄道の進んだ建設能力と豊富な管理経験があり、両国の鉄道建設の協力強化には大きな潜在能力がある、中国側は積極的な協力の意向があると呼びかけた。
 同月には、北京でオーストラリアのブライス総督に会い、オーストラリアでは同国初の高速鉄道の建設が検討されているが、中国はこの分野に強く、協力の意向を持っていると伝えた。

 李首相はそのわずか1カ月後、ルーマニア首相と会談し、ルーマニアでの高速鉄道建設での協力を決定した。
 さらに同年12月、英キャメロン首相とのロンドンでの年次会談で、中国は原子力発電や高速鉄道などの分野で安全な技術と高いコストパフォーマンスを誇っており、両国は協力強化で広大な可能性を持ち、第三の市場を共同開発することもできるとアピールした。

 今年に入ってから李首相の「高速鉄道外交」はさらに集中的に行われた。
 今年5月にエチオピアを訪問した際にも中国の高速鉄道を売り込み、アフリカに高速鉄道の研究開発センターを作ることを提案した上、アフリカの道路・鉄道・電信・電力など各事業の建設に積極的に参加したいとの意向を伝えた。

 同時に、世界経済フォーラム・アフリカサミットの挨拶でも、中国は無条件でアフリカに金融・人才・技術の支援を提供し、高速鉄道網・高速道路網・地域航空網のインフラ3大ネットワークのアフリカの建設も援助する意向があるとした。

 今年6月の英国訪問中には、中国と英国は原子力発電や高速鉄道などでの協力を推進すべきだと指摘した。
 双方はさらに、ロンドンとイングランド北部をつなぐ高速鉄道「HS2」の投資への中国の参加の可能性について話し合った。

 李首相は米国の議員代表団と会見した際、高速鉄道などの先端技術設備の輸出を今後前向きに進め、米国の交通施設のグレードアップにも積極的に参加したいと述べた。
 ジンバブエの大統領とも会い、アフリカ諸国の首都と主要な商業都市に高速鉄道を建設するというアフリカ連合のズマ委員長の提案を中国が積極的に支援し、アフリカの工業化推進を援助する意向があることを伝えた。

 「高速鉄道外交」は欧州にも広がっており、進んだ高速鉄道技術を持つドイツとの協力も検討されている。
 李首相は今月のドイツ訪問を前に、ドイツ紙「ディ・ヴェルト」に署名論文を発表し、合弁会社「一汽大衆」の株式比率を高めたいという独フォルクスワーゲンの要請を中国側は前向きに検討しており、優秀な中国企業のドイツの高速鉄道プロジェクトの入札参加をドイツにも認めて欲しいと訴えた。

 多くの業界筋は総理の「高速鉄道外交」について、中国は極めて複雑な地質・地理・気候の条件下ですでに1万kmを超える高速鉄道の建設と運営に成功し、高地や寒冷地向けの列車や砂埃に強い列車、高温や高湿への耐性のある列車などを独自設計しており、中国の高速鉄道の競争力には説得力があるとしている。
 さらに中国は人件コストや材料コストなどの強みもあり、大規模建設では建設・製造コストを抑えられるメリットもある。

 李克強首相は、中国の高速鉄道の長所を様々な機会にアピールし、高速鉄道の「三論」、すなわち先進的な技術と信頼できる安全性という「技術」、低い価格と高いコストパフォーマンスという「価格」、豊富な運営経験という「運営」で世界の人々に中国の高速鉄道を売り込んでいる。

(提供/人民網日本語版・翻訳/MA・編集/武藤)



レコードチャイナ 配信日時:2014年10月19日 7時50分
http://www.recordchina.co.jp/a95944.html

メキシコの高速鉄道プロジェクト、
中国企業が唯一の応札者に=日本企業は断念―中国メディア

 2014年10月17日、中国網は記事
 「メキシコ高速鉄道建設プロジェクト、中国企業主導のジョイントベンチャーが唯一の応札者に」
を掲載した。

 メキシコ運輸通信省は16日、メキシコシティ・ケレタロ間高速鉄道国際競争入札の結果を発表した。
 中国鉄道建築総公司を中心にメキシコ企業4社が参加したジョイントベンチャーが唯一の応札者となった。

 日本の三菱重工、フランスのアルストン、カナダのボンバルディア、ドイツのシーメンスも入札を検討していたが、最終的には断念した。
 プロジェクトは210キロの線路建設と列車製造を含むもので、中国鉄道建築総公司は43億ドル(約4600億円)の工費を提示した。
 メキシコ当局は今年12月の着工、2017年の運営開始を希望している。



レコードチャイナ 配信日時:2014年10月24日 17時48分
http://www.recordchina.co.jp/a96182.html

中国の高速鉄道、海外進出が本格化、20カ国以上と協議―中国紙

 2014年10月22日、中国で先端製造業としての鉄道産業は今年下半期、海外市場進出の豊かな収穫期を迎え、10月に入ってからは特に、良い知らせが続々と舞い込んでいる。
 北京青年報が伝えた。

▼中国北車、1日で2つの好材料

 鉄道車両メーカーの中国北車は20日午前、中国北車長春軌道客車股[イ分]公司(以下、「長客」)がBBCジョイントベンチャーと共同で17日、軌間1000mmの客車115両を提供するプロジェクトの契約をタイの国立鉄道会社と締結したことを明らかにした。
 タイ国立鉄道にとっては史上最大の客車調達契約となり、中国にとってはステンレス1000mm軌道幹線鉄道客車の初めての輸出となる。

 長客がタイの幹線鉄道に客車車両を提供するのは今回が初めて。
 プロジェクトは2013年3月、タイ国家鉄道会社による国際入札が行われ、これに共同で参加した長客と中国鉄建は、世界各国の鉄道車両メーカーと競い合い、技術とビジネスの強みで落札に成功した。

 同プロジェクトで納入される車両は総計115両で、等級の異なる寝台車や電源車、食堂車の5車種が含まれる。

 中国北車が20日夜に続けて発表した知らせは、高速列車をめぐるものだった。
 発表によると、完全子会社の「斉斉哈爾軌道交通装備」「大連斉車軌道交通装備」「西安軌道交通装備」「中国北車集団瀋陽機車車両」「済南軌道交通装備」の5社はそれぞれ、中国鉄路総公司と各種の貨物車両の販売契約を締結し、総額は8.44億元(約147億5000万円))にのぼった。
 また株式保有する子会社の「長春軌道客車」と完全子会社の「唐山軌道客車」もそれぞれ、中国鉄路総公司傘下の各路局と高速列車ユニットの販売契約を締結し、総額は248.76億元(約4346億4000万円)に達した。
 契約総額は、同社の2013年度の営業収入の26.45%を占めた。

▼海外の鉄道発注、1000億元超

 業界筋によると、中国企業が今年年初から獲得した海外の鉄道関連の発注は大まかな計算で1000億元(約1兆7000億円)を超え、現在も20、30カ国と高速鉄道での協力が協議されている。

 公開資料から見ても、中国の先端設備製造業を引っ張る高速鉄道産業が全方位的な発展段階に入ったことがわかる。
 東に向かっては、中国・ブラジル・ペルーの3カ国は大西洋と太平洋をつなげる両洋鉄道で協力することになっており、3カ国共同のワークチームを設けることが提案されている。
 南に目を向けると、タイの高速鉄道プロジェクトが再開され、タイの軌間が中国との連結に向けて調整されていることは、中国とタイの高速鉄道の協力が一歩前進したことを示している。
 またインドの巨大な軌道交通市場への進出も進んでいる。
 西に向かっては、欧州各国と軌道交通の改善で共通認識を達成し、中国南車の製造した高速列車ユニットが初めて欧州市場に進出することになっている。
 北を見ると、モンゴルとの共同プロジェクト「両山鉄道」(アルシャン・チョイバルサン)が確定しており、中露ハイレベル会談でも中国の高速鉄道プロジェクトの発展が推進されている。

 中国工程院の院士で著名なトンネル専門家の王夢恕(ワン・モンシュー)氏によると、中国は今後、他国の高速鉄道建設を支援すると同時に、3本の戦略的な高速鉄道路線を構築する計画となっている。
 ロシアを通じて欧州につながるユーラシア高速鉄道、ウルムチから出発して中央アジアを通りドイツに至る中央アジア高速鉄道、昆明から出発して東南アジア諸国を連結しシンガポールに達する汎アジア鉄道である。

▼中国高速鉄道の強み「安さ・速さ・ラインナップ」

 中国の高速鉄道が海外進出するコア競争力は何か。
 最も際立つのはコスト面での強みである。
 南車集団の関係者によると、時速300kmの高速列車ユニットについて言えば、
 中国製品の価格は海外製品よりも30%前後低い。
 中国企業は卓越したコスト制御能力を持ち、一方には労働力の低コスト、もう一方には国内産業チェーンの低コストがある。中国は現在、世界で最も整った高速列車ユニットの製造産業チェーンを誇り、海外と同質の部品をより低い価格で調達することができる。

 データによると、高速鉄道の建設コストは国外では1km当たり0.5億ドル(約53億4000万円)であるのに対し、中国は0.33億ドル(約35億3000万円)にとどまり、その差は3分の1に達する。
 工事と車両の2つのコストを総合すると、
 中国の高速鉄道の建設費用は国外の2分の1から3分の1ですむ。

 納期の優位性も軽視できない。
 アルゼンチンの高速列車ユニットプロジェクトを例に取ると、発注を受けた年内の設計・納品を実現した。
 中国の高速鉄道列車企業だけしかできない離れ業である。
 中国の高速鉄道は製品ラインナップも最も揃っており、時速は140kmから380kmまで8種類の等級の製品がある。
 中国南車は現在、次世代の高速列車ユニットに向け、
 時速500kmの高速試験車両を研究開発
している。

 中国はさらに、世界の総走行距離の50%を占める高速鉄道網を持ち、世界最大の運営データバンクを誇る。
 これらすべては、中国の高速鉄道の輸出実現を後押しする要素となっている。

(提供/人民網日本語版・翻訳/MA・編集/武藤)


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