●毎日新聞より
『
ロイター 2014年 11月 7日 19:07 JST
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPKBN0IR0PE20141107
日中が対話再開へ、尖閣めぐり見解の相違認める
[東京 7日 ロイター] -
日中両政府は7日、政治・外交・安全保障の対話を徐々に再開し、信頼関係の構築に努めることで合意したと発表した。
両国関係は尖閣諸島(中国名:釣魚島)をめぐって緊張状態が続いていたが、同問題について日中が異なる見解を有しているとの認識で一致した。
日本と中国が発表した文書によると、両国は戦略的互恵関係を引き続き発展させていくと指摘。
「歴史を直視し、未来に向かうという精神に従い、両国関係に影響する政治的困難を克服することで若干の認識の一致をみた」としている。
さらに、尖閣など東シナ海の緊張状態について両国が異なる見解を有しているとの認識で一致したとした上で、「政治・外交・安保対話を徐々に再開し、政治的相互信頼関係の構築に努めることにつき意見の一致をみた」としている。
日本と中国は、北京で来週開かれるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)で首脳会談を模索。
国家安全保障局の谷内正太郎局長が6日から訪中し、大詰めの調整をしていた。
』
『
レコードチャイナ 配信日時:2014年11月8日 0時28分
http://www.recordchina.co.jp/a97066.html
尖閣問題「双方が異なる見解を有していると認識」、
歴史認識「歴史を直視」
―日中が合意文書、首脳会談開催へ
2014年11月7日、日中両国政府は「日中関係の改善に向けた話し合いについて」と題する文書を発表した。
これにより10日からのAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議の期間中に日中首脳会談が2年半ぶりに開催されることが決まった。
尖閣諸島など東シナ海の海域での「緊張状態」について「双方は、異なる見解を有していると認識」することや、歴史認識問題で「双方は、歴史を直視」することとする4項目からなる。同文書の全文は以下の通り。
日中関係の改善に向け、これまで両国政府間で静かな話し合いを続けてきたが、今般、以下の諸点につき意見の一致をみた。
(1):双方は、日中間の四つの基本文書の諸原則と精神を順守し、
日中の戦略的互恵関係を引き続き発展させていくことを確認した。
(2):双方は、歴史を直視し、未来に向かうという精神に従い、
両国関係に影響する政治的困難を克服することで若干の認識の一致をみた。
(3):双方は、尖閣諸島など東シナ海の海域において近年、緊張状態が生じていることについて
異なる見解を有していると認識し、
対話と協議を通じて、情勢の悪化を防ぐとともに、
危機管理メカニズムを構築し、
不測の事態の発生を回避する
ことで意見の一致をみた。
(4):双方は、さまざまな多国間・2国間のチャンネルを活用して、
政治・外交・安保対話を徐々に再開し、
政治的相互信頼関係の構築に努める
ことにつき意見の一致をみた。
』
『
サーチナニュース 2014-11-08 03:25
http://news.searchina.net/id/1548778?page=1
日中が「対話再開」、
「政治的障害を克服」など4項目で一致=中国
中国の新華社は7日、中国の楊潔チ国務委員が同日、谷内正太郎国家安全保障局長と会談を行ったとし、日中双方は4項目の原則で共通認識に達したと報じた。
記事は、楊潔チ国務委員の指摘として
「中日関係の長期的かつ安定した発展は中日両国及び両国民の根本的利益に合致する」
とし、中国側は4つの政治文書を基礎とし、歴史を鑑に未来へ向かう精神で日中関係を発展させるよう一貫して主張してきたと紹介した。
さらに、楊潔チ国務委員が
「周知の事実の原因によって中日関係は困難な局面が続いていたが、
ここ数カ月間は政治的課題を克服すべく中日両国が外交ルートを通じて協議を行っていた」
と述べたことを紹介した。
記事は、日中関係の改善に向けて、楊潔チ国務委員と谷内国家安全保障局長が
1].「4つの政治文書に基づき、日中の戦略的互恵関係を継続して発展させる」、
2].「歴史を正視し、未来へ向かう精神に基づき、日中両国の政治的障害を克服することで一致」、
3].「尖閣諸島(中国名:釣魚島)を含む東シナ海において、
日中双方に異なる主張があることを認め、
対話を通じて情勢の悪化を防ぎ、不測の事態を回避するため危機管理メカニズムを構築する」、
4].「政治、外交、安全保障における対話を複数のルートにおいて徐々に再開し、政治的な信頼関係の構築に向けて努力する」
との4項目で一致したと伝えた。
続けて、楊潔チ国務委員の発言として、
「中国と日本の双方は一致した4項目をもとに政治的基礎を守り、中日関係の発展に向けた正しい方向性を把握しなければならない」
と伝え、さらに 「敏感な問題」を適切かつ適時に処理し、実際の行動で政治的信頼関係を構築しなければならないと述べたことを伝えた。
』
『
jiji.com (2014/11/08-08:27)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2014110800100
関係発展へ「必要な一歩」=尖閣棚上げ求める
-合意文書を評価・中国党機関紙
【北京時事】
8日付の中国共産党機関紙・人民日報は、日中両政府が関係改善に向けて4項目から成る合意文書を発表したことについて、「両国関係を良好な発展の軌道に戻す必要な一歩だ」と評価する評論を掲載した。
その上で
「今日、中日両国人民は、双方が4点合意の厳守を基礎に順を追って対話を一歩一歩再開し、
中日関係を次第に改善することを渇望している」
として、日本側が合意を守るよう強く求めた。
評論は尖閣諸島(中国名・釣魚島)をめぐる対立に関し、合意文書で
「中日双方は初めて釣魚島問題について、文字として明確な合意に達した」
と指摘。
「中日関係の現在の政治的行き詰まりの起点を振り返れば、
『島購入』(尖閣諸島国有化)の茶番の殺傷力が極めて大きかったことが見て取れる」
と主張した上で、
「双方は日本側が放った虎を籠の中に戻して閉じ込めなければならない」
として、問題を棚上げする必要性を訴えた。
』
中国としては目の上のタンコブになっていた尖閣問題が何とかまとまったのでホットしている
ことだろう。
客観的にみれば、実際は何も変わっていない。
「日本の領土」という宣言が消えるわけでもなく、国有化というわかりにくいものがなくなるわけでもない。
これ以上やると、中国が危ういところまで引き込まれるというギリギリで何とか押しとどめたというところだろう。
『
JB Press 2014.11.09(日) 宮家 邦彦
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42167
外交文章から読み解く歴史的一歩の日中合意
「日中合意」をいかに解釈すべきか
この原稿は中国・深圳市内のホテルで書いている。
先週末当地で開催された日中学者交流シンポジウムになぜかお声がかかったからだ。
1泊26時間という強行軍で香港・羽田を往復したが、その真っ最中に飛び込んできたのが例の日中間「四点合意」という大ニュースだった。
というわけで、今回のテーマはズバリ、APEC(アジア太平洋経済協力)首脳会議後の日中関係である。
■日中合意の本当の内容
11月7日夕方あたりから、深圳に集まった日中関係者たちの周辺が騒がしくなった。
聞けば、内外のメディアが
「首脳会談の実現に向け、日中両国政府が四点からなる合意文書を発表した」
と報じ始めたという。
発表はAPEC首脳会合の3日前、「意外に早く終わったな」というのが筆者の第一印象だった。
このシンポ、正式名称は「大梅沙中国創新論壇」、7日夜には日中有識者の対話セッションが「笹川日中友好基金」との共催で開かれた。
直前日中「四点合意」が発表されたからか、
中国側識者の発言が一変した
ことには大いに驚いた。
かくも前向きなトーンの日中シンポジウムはこの数年ちょっと記憶がない。
過去数年間、この種のシンポジウムでは、中国側が日本の歴史問題と尖閣問題と執拗に取り上げ、日本側がその防戦に努めるという、実に生産性の低い議論を何度も繰り返してきた。
それが今回は誰もが、
「良いニュースだ、本当に嬉しい、日中相互批判はやめよう、関係改善に期待する」
などと言い出したのだ。
いったいどうなってしまったのだろう。
その時点では誰も「四点合意」の詳しい内容など知らないはずなのに。
それどころか、今も「日中合意」なるものの詳細を知る人はほとんどいないのではないか。
そうなると、天邪鬼の筆者は俄然やる気が出てくる。
この点を解明すべく、いつもの通り、事実関係から始めたい。
ここでは日本政府関係者の発言に関する報道は繰り返さず、諸外国の反応を中心に次のとおりまとめてみた。
●「両国関係を良好な発展の軌道に戻す必要な一歩だ」、
「今日、中日両国人民は、双方が4点合意の厳守を基礎に順を追って対話を一歩一歩再開し、中日関係を次第に改善することを渇望している」
(11月8日付人民日報、時事通信報道)
●「中日双方は初めて釣魚島問題について、文字として明確な合意に達した」、
「中日関係の現在の政治的行き詰まりの起点を振り返れば、『島購入』(尖閣諸島国有化)の茶番の殺傷力が極めて大きかったことが見て取れる」、
「双方は日本側が放った虎を籠の中に戻して閉じ込めなければならない」
(同)
●「靖国神社に言及していないが、『政治的障害を克服する』(で合意したこと)は明らかに安倍(首相)の靖国参拝を束縛したものだ」
(11月8日付環球時報、時事通信報道)
●「双方が釣魚島に対して異なる主張が存在することを認めた」、
「これは日本政府が過去に態度表明したことのないものだ」、
「日本はこれまで、中国との釣魚島問題に関する話し合いを一貫して拒絶し、釣魚島の主権に関して『争いは存在しない』と公言。
双方は釣魚島海域での行動で意思疎通できずに危機をはらんでいた」、
「現在、日本は危機管理メカニズム構築に関して中国と協議したいと望んでおり、これは釣魚島海域で『新たな現実』が形成されたと宣告するに等しいものだ」
(同)
●「日中が関係改善に踏み出すことに合意した文書を歓迎する。前向きな一歩だ」、
「両国の関係は地域だけでなく世界の平和と繁栄に影響する」
(7日、米国務省報道官発言)
●両国が一歩ずつ譲歩・妥協したと評価されている。
中国政府が首脳会談の前提条件として挙げた
「安倍首相靖国神社参拝自制」と
「尖閣諸島をめぐる領土紛争の存在を認めること」
は含まれていないが、合意文には東シナ海について双方が
「異なる見解を有していると認識」し、
「政治的困難を克服することで若干の認識の一致をみた」
という表現は中国の立場が反映されたものと解釈できる余地は十分にある。
(8日付朝鮮日報)
●日本の消息筋の話では、安倍晋三首相が日中首脳会談を実現するため、特使を通じて習近平国家主席に、「靖国神社に参拝しない」との口答メッセージを伝えた。
同消息筋は
「日中合意の中の『若干の認識の一致をみた』との部分が安倍首相の靖国参拝中止を意味している」
と説明。
「両国政府はこれについて文書で残したり、正式に発表したりしないことにしたと聞いている」と述べた。(8日付中央日報、時事通信報道)
百家争鳴とはこのことなかもしれないが、いったいどの報道が正しいのだろうか。
筆者の見方は次のとおりである。
■4種類ある「四点合意文書」
「四点合意文書」の基本的性格から考えてみよう。
まず、少なくとも、これは外交文書ではない。
狭義の「外交文書」が国家を代表する者による署名のある、国際法上の履行義務が生ずる「国際約束」であるとすれば、
今回の文書は、法的ではなく、政治的な拘束力を持つ「外交的文書のようなもの」と言うべきだ。
それが証拠に、そもそも日中両政府が発表した4種類の文言はそれぞれ完全に同一ではない。
★.11月7日に日本の外務省が発表した和文と英文は、
★.同日中国外務省が発表した中文と英文と
似ているようで、微妙に異なっている
のだ。
「合意ではない」などとは言わない。
両政府の考え方と表現振りが微妙に違うのだ。
それでは、具体的に相違点を見ていこう。
今回はスペースの関係で主要なポイントだけに絞りたい。
繰り返しになるが、筆者はこの「合意」なるものが間違っているとか、「履行すべきではない」などと主張しているわけでは決してないので、くれぐれも誤解のないように願いたい。
●「合意」か「意見の一致」か
冒頭日本側和文は、「日中関係の改善に向け,これまで両国政府間で静かな話し合いを続けてきたが、今般、以下の諸点につき意見の一致をみた」と述べ、
その後も一貫して「合意」ではなく、「意見の一致」という表現を使っている。
日本側の英語版でも、
「Toward the improvement of the Japan-China relations, quiet discussions have been held between the Governments of Japan and China. Both sides have come to share views on the following points:」
としており、
「agree」ではなく、「share views」
で統一している。
これに対し、中国側のフォーマットは日本側と全く異なる。
「合意」内容を説明するだけでなく、その前提となる楊潔篪国務委員と谷内国家安全保障局長のやり取りに言及したうえで、「双方就处理和改善中日关系达成以下四点原则共识」、
すなわち「四点の原則的共通認識に達した」と述べている。
その部分を中国側英語版では、
「The two sides reached a four-point principled agreement on handling and improving the bilateral relations」
と訳し、「四点の原則合意に達した」としている。
中国側中文の方が日本政府の発想に近いだろうが、
中国側英文の方が彼らの本音なのかもしれない。
●「若干の」とは一体何か
最も議論があり得るのは、第二項の「両国関係に影響する政治的困難を克服することで若干の認識の一致をみた」なる部分だろう。
「若干の」部分は、英語では
「shared some recognition that ... they would overcome political difficulties that affect their bilateral relations.」
とし、「some」を使っている。
これに対し、中国側中文では「就克服影响两国关系政治障碍达成一些共识」として、「一些」を使っているのだが、中国側の英文では
「reached some agreement on overcoming political obstacles in the bilateral relations.」
とし、日本側と同様、「some」を使っている。
これをいかに解釈すべきか。
中国側の英文を素直に読めば、「両国関係の政治的障害の影響を克服する」ことについて「一定の合意に達した」とも訳せる。
要するに、この部分の日中双方の英日中語による4種類の表現は、それぞれ微妙に異なっているのだ。
この点については最後に詳しく述べる。
●尖閣問題についての「認識」
尖閣について日本側は、双方が「近年緊張状態が生じていることについて異なる見解を有していると認識」としているから、「日中間で見解が違うことは分かっている」ということだろう。
英語版でも、「recognized that they had different views」とあるから、ほぼ同じ意味である。
この部分について、中国側中文は「双方认识・・・紧张局势存在不同主张」としており、やはり「認識」なる語を使っている。
だが、中国側英語版では、「acknowledged that different positions exist between them regarding the tensions」と訳している。
要するに「recognized=分かっている」ではなく、「acknowledged=認めた」と訳したのだ。
★.「認識」を「単に知っている」という意味に使う日本側と、
★.「意見の違い(すなわち中国側の主張)を認めた」なる意味に使う中国側
のニュアンスの差は微妙を通り越しているかもしれない。
・・・他にも多くの相違点はあるが、今回はこのくらいにしておこう。
■「合意」の正しい解釈と今後の日中関係
11月7日に日中両国政府が交わした「四点合意」なるものの実態は以上のとおりだ。
それでは、宮家ならどう解釈するのか。
お前の独断と偏見を書いてみろ、とお叱りを受けるかもしれない。
もちろん筆者にも個人的意見はあるが、今回筆者はこれについて「正しい」解釈を書くつもりは一切ない。
なぜならば、この「合意」または「意見の一致」については、単一の「正しい」解釈など存在しないし、また、そんなものは存在すべきでないと信ずるからである。
そもそも、外交上の了解や合意には一定の「曖昧さ」が付き物であり、
特に重要なものについては「戦略的曖昧さ」が必要となる。
こうした「戦略的曖昧さ」こそは合意や了解に生命を与え、その長寿を保証する重要な要素だ。
今回の日中間の「意見の一致」は、過去数年間の意見の相違と摩擦を日中両政府が漸く乗り越え、今後の新しい均衡点へと両国を導く極めて重要な一里塚となり得るものであり、またそうでなければならない。
両国間に「agree to disagree」が必要であることを、日中両国政府だけでなく、日中双方の国民も正確に理解しなければならない。
この合意が日中関係の将来に持ち得る戦略的重要性に鑑みれば、今回どちらがより強く原則を貫いたか、どちらがより多く譲歩したか、といった問題など枝葉末節なのである。
』
『
レコードチャイナ 配信日時:2014年11月9日 21時32分
http://www.recordchina.co.jp/a97110.html
日中関係改善の合意、明らかに中国の敗北だ!
中国人の怒りの声―中国
●7日、中国の大手ネット掲示板・天涯社区に「日本は頭を下げたのか?中国は負けたのは明らかだ!」との文章が書き込まれた。関係改善に向けての日中の合意は、実質的に中国の敗北だと憤る声が上がっている。資料写真。
2014年11月7日、中国の大手ネット掲示板・天涯社区に
「日本は頭を下げたのか?中国は負けたのは明らかだ!」
との文章が書き込まれた。
7日、日中両国は合意を発表。日中関係の改善に取り組む方針を明らかにした。
アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議前の首脳会談実現が有力視されている。
この動きを中国の人々はどう捉えているのか。
ネット掲示板の書き込みを紹介したい。
「
4つの政治文書に立ち返り、日中は友好を続ける。
尖閣諸島は国有化された。
日本は改憲した。
靖国神社については?
言及されていない!
今後参拝したらどうするのか?
何があっても友好を続けるだけだ。
ソロバンをはじいてみよう。
日本は(集団的)自衛権を解禁し釣魚島(日本名:尖閣諸島)を国有化した。
中国はなにを得たのか?
日中友好だ!
」
この書き込みに、多くのコメントが寄せられている。
「中国は多くを得た。
中国巡視船は尖閣諸島を巡回できるようになったし、日本は領有権紛争の存在を認めた」
「合意をよく読め。
紛争を認めたなんて書いてないぞ。
日中はそれぞれ自分の都合がいいように解釈するというだけ」
「おそらく中国が敗者だ」
「“おそらく”って単語は要らないよ」
「もしこのまま日本と和解するなら、今の中国政府になんの期待も抱けない」
「いやもう和解しちゃったんだけど」
』
強硬路線一本で進んできた中国だが、持ち駒がなくなってしまった、そんな感じを持つだろう。
人は、
★.なぜ、中国はこの選択をしたのか、
★.なぜ、そうせざるを得なかったのか、
というところが大きな問題になる。
シロウト外交の行き着く結末
を見ているような気になる。
中国は外交に関してはシロウトである。
「お詫びと反省の国・日本」ともう少し上手に付き合えばいいのにと思う。
成金のサガで傲慢になった中国は、周辺国に強権であたろうとした。
小国・弱国ならそれでいいだろう。
中国に恐れおののくだろう。
その見通しは大きかった。
だが、一国だけ場違いな国があった。
それが日本である。
中国としては2/3世紀にわたるこれまでの日本の態度からして居丈高にあたれば、
容易に「ごめんなさい」と謝って引っ込むと考えていた。
だが、これが大きな誤算となる。
その行動が
「日本という寝た子を起こしてしまった」
という大失敗をやらかすに至ったのである。
「ごめんなさい国家」を「普通の国」になると宣言せさてしまった
のである。
さらに、
力で押さえ込めないと思うや、今度は歴史問題を前面に押し出した。
だが、日本はおれない。
なぜなら、原爆を落とされ20万人の命を奪ったアメリカに
その点についての歴史問題を日本は持ちだしてはいない、のである。
日本にとって歴史問題は政治のテーマにはならない。
よって、
力によっても歴史によっても中国は日本を抑え込めることができない、
ことになった。
さらに、これまで日本がアイマイにしていた尖閣領有権についても、
日本が歴史的事実を国際法にのっとる形で展開したため、
自動的にそれは日本の領有権を宣言させることになってしまった。
中国はこの
歴史的な事実をくつがえすだけの法的根拠をいまだ示すことができない
でいるため、ただ「中国固有の領土」といった文言を繰り返すだけで、根拠なき架空の領土になってしまっている。
残された道は軍備を増強して、数で脅し込むという手法しかなくなってきている。
ではそれで日本は折れるか。
これも無理。
日本は中国のやろうとしていることを,
はるか昔に国家が滅びるほどのレベルで経験している。
中国にはその経験がないから、兵器を数で並べれば日本が折れると思っている。
日本は兵器の数量では絶対に折れない。
中国の戦略である数で圧倒して、向こうが勝手に折れてくるのを待つ、
という戦略は無効なのである。
それは日本には通用しないのである。
中国に残されているのは実際に日本に進撃すること
でしかない。
これはできるか。
中国にはそれはできない。
そんなことをしたら中国国内が混乱してしまう。
共産党が崩壊してしまう。
あくまで、兵器の展覧会を開くことでしか中国には作戦がない。
日本が中国に折れない、
ということがわかってから、中国の周辺国は安易に中国の恐れをいだくことがなくなった。
中国にとっては、これも大きな誤算であった。
日本評価の見込みの失敗が、周辺国への中国の威光も損ないはじめている。
「中国の外交はシロウト」
というのは、相手を知らずして、自分の都合や考え方でやろうとする、ということである。
「自分はこう考えるから、相手も同じように考えているはずだ」
というような、
「正義はわれにある」
といった、成金の思い込み、傲慢、思考の浅さによる。
中国の外交は先が見えない暗夜を行くようなものである。
自分の手元がボーっと光っていて、それがすべてだと思い込んでいるようなものである。
中国最大の失敗は、
「日本という寝た子を起こした」
ことによる。
寝たままにしておいてうまく立ちまわっていれば、もっと違った展開が中国有利に廻っていたと思える。
この期を捉えて日本は軍事予算を拡大し、中国嫌いを増殖させて、もひとつおまけに中国から観光という形でお金をむしりとろうとしている。
政府にとって、中国サマサマである。
中国の一挙一投足が、日本をして理と利を上げる方向に向かわせている。
外交は政治の一環である。
日本の外交は実にうまい。
表面では苦悩しているように思わせて、
内実はちゃっかり取れるものは獲っている。
クロウト外交である。
【描けない未来:中国の苦悩】
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