2014年11月6日木曜日

日本マネーの東南アジアへの落下傘降下:「さようなら中国」

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●「東南アジアを向く日本マネー」、「さようなら中国」


2014.11.06(木)  The Economist
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42141


東南アジアへの投資:日本マネーが大量流入
(英エコノミスト誌 2014年11月1日号)

 脆弱な国内経済が日本企業を海外での事業拡大に駆り立てている。

 ショッピングセンターの開店記念式典に一国の首相が立ち会うことはめったにないが、プノンペンのイオンモールは、どこにでもあるようなショッピングセンターではない。
 日本企業が建設した複合施設はカンボジア最大規模で、スケートリンク、テレビ局のスタジオ、ボーリング場まで備えている。

 式典に参列したカンボジアのフン・セン首相にとっては、イオンモールは日本の投資の象徴だ。
 東南アジア各国の政府が日本企業に秋波を送っており、大量の日本円が東南アジアに押し寄せている。

■日本の東南アジア投資が倍増、対中投資の3倍近くに

 東南アジア地域に対する日本の投資は昨年、2兆3000億円(240億ドル)に倍増し、過去何度目かになる大幅な増加を記録した(上図参照)。

 多額の投資の一部は、国内での投資をけちり、その結果、約229兆円に上る現預金をため込んだ日本企業によるM&A(合併・買収)だ。

 携帯電話大手のソフトバンクは先日、インドネシアの電子商取引企業トコペディアに対する1億ドルの投資を率いたばかりだ。

 コングロマリット(複合企業)の東芝は5年間で東南アジアに10億ドル投資すると約束した。
 1年前、邦銀最大手の三菱UFJフィナンシャル・グループはタイのアユタヤ銀行の株式の72%を5360億円で取得した。

★.日本による投資の第一波が押し寄せた
 1980年代と1990年代には、資金がタイ、マレーシア、シンガポール
に流れ込み、各国の自動車・電機産業を築き上げた。
 そうした資金の流れは1997~98年のアジア金融危機の後に概ね止まり、
★.日本企業は中国の巨大で安価な労働力に焦点を合わせ始めた。

 だが、いまや中国で人件費が着実に上昇し、日中間の政治的緊張が続く中で、東南アジアが再び魅力的に見えるようになった。
 昨年、カンボジアなどに対する日本の投資が増加したにもかかわらず、
 日本の対中投資は4割近く落ち込んだ。

 中国はまだ日本にとって最大の貿易相手国だが、日本企業は昨年、東南アジアに中国の3倍近い規模の投資を行った。
 東南アジア諸国にとっても、日本は中国に対する重要なヘッジとなる。

 しかし、東南アジアの囲い込みに批判がないわけではない。
 中には、特に邦銀が慌てて東南アジアに押し寄せている動きは、短命に終わるかもしれないと不安視する人もいる。

 日銀は2013年に、デフレからの脱却と景気のてこ入れを目指す安倍首相の計画の一環として、新たに創設したマネーで債券を購入し始めた(いわゆる量的緩和)。

 中央銀行が債券を買い入れたことで、市中銀行の手元には多額の現金が残った。
 各行は資産のおよそ15%を超過準備として日銀に預けており、微々たる利子を得ている。

 日本では借り入れ需要がなお低迷しているため、銀行は海外の融資先を探している。
 邦銀のアジア向け融資――中国を含む――は2012年末以降、急速に増加し、6月時点で4650億ドルに達した。
 だが、もし日本の金融政策が変わったら、そうした流れは反転する可能性がある。

■増えない国内投資

 一方、日本政府は国内企業に国内投資を増やしてほしいと思っている。
 量的緩和は円安をもたらし、国内投資がより魅力的になっている。
 だが、急速に高齢化する日本の人口は国内市場が縮小していることを意味し、工場新設の動機を損ねている。

 最近日本国内での生産比率を高めることを明らかにしたカメラメーカーのキヤノンのような企業が1社あれば、インドネシアに新工場を建設している自動車メーカーの三菱自動車のような反対の事例が複数存在する。

 コーポレートガバナンス(企業統治)が改善したおかげで、日本企業は以前より利益を重視するようになったとモルガン・スタンレーMUFG証券のロバート・フェルドマン氏は指摘する。
 そのため企業は海外でより良い展望を模索しようとしているという。

 生産の海外移転が進むにつれ、日本の輸出品が苦戦するようになった。
 ドイツ銀行の試算によると、対外投資は日本からの輸出品に代わる現地生産品を提供することで、2012年に日本の貿易収支を16兆円減らしたという。
 これは、7兆円という同年の日本の貿易赤字を上回る額だ。

 海外から得られる利益は、経常収支に対する打撃を穴埋めするには十分ではなかった。
 海外事業が加速するに従い、日本はより頻繁に貿易赤字に陥るようになり、日本の金融システムは、数十年かけて積み上がった脆弱性に対していっそう弱くなるだろう。

■日本が「レンティア経済」と化す恐れ

 危険なのは、日本が「レンティア経済」になりかねないことだと富士通総研のマルティン・シュルツ氏(東京在勤)は言う。

 このシナリオでは、日本企業は広範囲にわたる賃金上昇を生み出すために必要な国内投資を行わず、その代わりに海外事業に集中する。
 そうすると、
 日本は国内の経済活動の果実ではなく、
 海外資産の「レント(不労所得)」で生きていく
ことになるというわけだ。

 その可能性が日本企業を思いとどまらせている様子は見られない。
 プノンペン郊外には、携帯電話向けの小さいモーターを製造するミネベアや調味料メーカーの味の素をはじめとする日本メーカーを誘致するために建設された新しい工業団地がある。
 団地には新たなテナントが引きも切らない。

 団地の総責任者を務める植松浩氏は、現在は開発の第3期に入っていると言い、
 「民間企業としては、どこかへ行かねばならない」
と話している。

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英エコノミスト誌の記事は、JBプレスがライセンス契約 に基づき翻訳したものです。
英語の原文記事はwww.economist.comで読むことができます。
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 中国への日本マネーの進出は歩兵進軍みたいなものだった。
 中国は一国政府である。
 しかし、東南アジアはインドネシアからインドまで、社会事情、宗教、理念、歴史の異なるモザイク地域である。
 歩兵の進軍のようにはいかない。
 各々の国に似合った形でフィットする形でフレキシブルにこまめにやっていかないと先に進めない。
 つまり、大規模ショッピングセンターではなく、街のコンビニといった形になる。
 歩兵ではなく、目的地への落下傘降下に近い。
 さて、その成果がどのような形で出てくるのか、あるいは失敗するのか、見ものではある。

 危機感を感じる中国も宣伝に邁進して、「中国離れ」はない、とアピールしている


レコードチャイナ 配信日時:2014年11月14日 7時22分
http://www.recordchina.co.jp/a97402.html

外資企業の対中投資、増加傾向やまず―中国メディア


●13日、経済の下方圧力は続いているものの、海外資本の中国への期待はしぼむことなく、対中投資は拡大を続けている。資料写真。

 2014年11月13日、経済の下方圧力は続いているものの、
 海外資本の中国への期待はしぼむことなく、対中投資は拡大を続けている。
 中国国家工商総局が発表したデータによると、中国で新たに登録された外資投資企業は10月、昨年前月比15.20%増の2900社にのぼった。
 専門家によると、中国は、
★.経済・社会の安定し上昇志向が顕著で、
★.市場にも大きな潜在力があり、
★.産業集中という強みも備え、
★.投資の簡易化も進んでおり、
 外資本の対中投資は今後も減少する気配はない。
人民日報海外版が伝えた。

▼手続きの簡素化も魅力に

 海外資本が対中投資に熱心なのは、中国経済の発展を見込んでいるためだ。
 専門家によると、経済成長率は下がっているが、中国は世界の中では経済成長が速い国家であり、海外資本にとっては投資の「窪池」となっている。
 「中国のハイテク産業やサービス業などには巨大な発展の潜在力があり、海外資本によるこれらの分野への投資は大きな可能性を持っている」。
 商務部研究院国際市場研究部の白明(バイ・ミン)副部長によると、海外資本の対中投資増加は、サービス業とハイテク産業の投資が多くを占めつつある。

 投資分野の規制緩和も海外資本を引き付けている。
 改訂された『外商投資産業指導目録』は、サービス業と一般製造業への海外資本の参入を緩和し、制限項目を大きく削減させ、外資の株式比率の制限を一層緩和した。
 海外資本の投資制限項目は従来の79件から35件に減らされ、海外資本に対する鉄鋼・エチレン・製油などの産業の投資制限も撤廃された。
 新たな目録はさらに、管理手段に関しても、単純な行政措置による制限から省エネ・環境保護や技術標準などによる制限へと転換することを強調している。

 中国の投資環境が向上していることは周知の事実だ。
 一方では、政府の行政スリム化と権限移譲によって審査・認可の手続きが簡素化され、企業の登録がますます便利になっている。
 もう一方では、国家による法治建設加速によって、市場の秩序がますます規範化されている。
 そうした管理モデルの一つに「ネガティブリスト」がある。
 2013年9月、上海自由貿易区は、外資の投資参入分野への「ネガティブリスト」制度を全国に先駆けて実施した。
 土地や税収などの優遇なしに、半年で7772社を誘致したが、ほとんどが「ネガティブリスト」以外の分野で、認可制ではなく報告制によって設立された。

▼外資の対中投資の勢い続く

 専門家の予測によると、外資の対中投資は今後も衰える気配はない。
 「外資の対中投資は今後も安定を保ちながら増加していくだろう」。
 白明・副部長によると、外資の誘致は今後、動態的な均衡を保ったまま穏やかに増加していく見込みだ。

 中国EU商会の発表した関連報告によると、調査を受けた94%の企業は、中国が世界の中で重要性を高めているか、昨年と同じ重要性を保っていると判断している。
 中国からの投資移転を考えているという企業は10%にとどまり、2012年の22%から大幅に減少し、対中投資への期待が大きく高まっていることがわかった。

 改革開放から現在まで、外資を引きつける中国の魅力は依然衰えていない。
 白明・副部長は、
 中国が誇る巨大な市場メリットはほかの国では代替不可能なもの
だと分析する。
 中国には産業集中というアドバンテージがあり、中国への投資は企業の拡大を可能とする。
 中国は産業の川上・川下を兼ね備え、産業体系もそろっており、各事業の資源の配置が可能となる。
 中国はさらに、戦略的新興産業の発展措置を取っており、世界のハイテク産業とのドッキングの機会が見込まれる。

 国家発展改革委員会対外経済研究所国際協力室の張建平(ジャン・ジエンピン)室長によると、中国は今後、最大の消費市場として発展し、中国という巨大な市場をどの国の投資家も無視できなくなる。
 そうすれば、外資の吸収・利用にも構造的な変換が予想される。

 「中国の外資受け入れ規模は今年、約1200億ドル(約13兆9000億円)に達する見込みで、長期的に見るとさらなる成長の余地がある」。
 商務部の沈丹陽(シェン・ダンヤン)報道官は、外資誘致の重点は今後、規模の拡大から構造の改善や水準の向上へと変わるとの見方を示した。

(提供/人民網日本語版・翻訳/MA・編集/武藤)




【描けない未来:中国の苦悩】


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