●バングラデッシュとミヤンマー
『
JB Press 2014.09.04(木) 姫田 小夏
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41625
バングラデシュで高まる日本歓迎ムード、
安倍首相の声明に政財界が注目経済・交易の要衝都市を押さえる国はどこか
●外国企業の参入ラッシュが始まったバングラデシュ(筆者撮影、以下同)
8月26日の日本経済新聞は1面で、日本政府がバングラデシュに対し6000億円規模の支援を行うことを伝えた。
日本政府がバングラデシュのベンガル湾沿海部での産業地帯建設の支援に乗り出し、電力や鉄道などインフラ整備に協力する。
安倍晋三首相は9月6日にバングラデシュの首都ダッカを訪問し、ハシナ首相と会談を持つ。
産業地帯の建設は、首都ダッカに次ぐ第2の都市であり港湾都市であるチッタゴンを中心に行われる。
鍵となるのが、南東部のマタバリ地区に建設中の、1200メガワット(600メガワット×2基)の超々臨界圧石炭火力発電所である。
これが完成すれば電力供給が増強され、産業地帯建設が現実のものとなるという。
他方、ダッカ~チッタゴン間の高速道路建設も進んでいる。
2011年から着工されているが、2014年末までには全体の計画の半分を終える予定だ。
これは中国が一部工事を請け負っており、その進行状況は思わしくないが、現地最大手の建設会社は「残りの部分は2016年末に完成するだろう」と見込んでいる。
これまでバングラデシュは安価な労働力と市場の可能性が期待されながら、インフラ整備の遅れのため、日本企業はバングラデシュへの投資に二の足を踏んできた。
それだけに、発電所や高速道路の開通がもたらす成長への期待は大きい。
■韓国、中国の後塵を拝す日本
現在、バングラデシュには8カ所の輸出加工区(EPZ: 外資企業の投資を促進するために設けられた特別区域。税制面の優遇措置がある)があるが、各国からの工場進出の増加により、空き区間がなくなりつつある。
こうした背景もあり、日本企業にとって独自のこのような経済特区の整備が急がれている。
バングラデシュでは、1996年9月に「民間輸出加工区法1996」という法律が成立した。
これにより、民間企業が輸出加工区を設立することができるようになり、すでに外資企業による輸出加工区の整備が動き始めている。
韓国の企業グループは日本企業に先駆けて、民間の輸出加工区「Korean EPZ」を設立した。
ここを拠点として、有名スポーツブランドをはじめとするOEM製品を欧州に向けて出荷する計画だった。
だが調べてみると、現在ここに立地しているのは、韓国の製靴企業であるヤンゴン(Youngone)グループの工場だけだ。
ダッカの調査会社によれば、
「バングラデシュ政府との間で土地売買のトラブルがあり、結果として後続企業の進出にストップがかけられてしまったため」
だという。
「現在はヤンゴンが使用する以外の土地は更地のまま」(同)
だ。
実は「Korean EPZ」の開発を巡っては、「日本の計画が韓国に横取りされた」という裏話がある。
韓国が土地を購入する前に、日本が将来の輸出加工区の開発候補地としてその土地を調査していた。
だが、
「日本政府が明確な方針を決めないでいる間に、韓国側が土地の開発の認可を取得し、バングラデシュ政府から購入した」(日本のコンサルティング会社)
のだという。
中国もまた、チッタゴンに輸出加工区を立ち上げるという。
中国の民営企業であるオリオンホールディングスが、ムンシゴンジ県に「制衣村」(アパレル村)と言われる縫製業の拠点を設ける計画もある。
ダッカ市内には、過去に倒壊を起こしたような危険建築物がひしめいている。
縫製業の拠点をつくるのは、その地域の危険建築物を一掃するためだとも言われている。
■中国が食指を伸ばすコックスバザール
今、バングラデシュで、日本をはじめ各国がチッタゴンとともに目をつけている都市が、コックスバザールである。
コックスバザールは、チッタゴンから南に約150キロメートル下った位置にある。
「アジアハイウェイ」はアジア諸国を幹線道路網で結ぶ壮大な計画だが、その一環として、コックスバザールからミャンマーに伸びる道路の建設が期待されている。
これが開通すれば、ミャンマーを経由して陸路でタイや中国にアクセスすることができるようになる。
「アジアのデトロイトと言われるタイと陸路で結ばれれば、いずれバングラデシュにも日本の自動車メーカーが進出してくるのではないか」
という期待の声は大きい。
コックスバザールには中国も食指を伸ばしている。
「フィナンシャル・タイムズ」は6月に「中国はベンガル湾の海軍能力を増強している」と報じた。
コックスバザールが面するベンガル湾には大規模な原油・ガスの資源が眠っている。
現在、ベンガル湾周辺では、バングラデシュのみならずインド、ミャンマーも虎視眈々と埋蔵資源の権益を窺っており、南シナ海での権益争いにも似た状況となっている。
そんな中で昨年、ベンガル湾で生産される天然ガスや石油を陸路で運ぶ「チャウピュ(ミャンマー・ラカイン州)~雲南省」のパイプラインを中国が完成させた。
コックスバザールではソナディアに深海港を建設する計画があり、中国がこれに大きな関心を示している。
ハシナ首相が2014年6月に訪中し、習近平国家主席と会談した際も、深海港の建設が話題の1つになった。
バングラデシュの銀行幹部は
「建設工事は中国が受注する可能性が強い」
と語る。
もし受注が決定すれば、中国によるコックスバザール進出への大きな布石となるだろう。
中国は、中国と東南アジアおよび南アジアを結び付けるバングラデシュを「海のシルクロード」あるいは「南のシルクロード」として重視しており、近年、急接近を見せている。
特に、南シナ海から紅海にかけて繰り広げる「真珠の首飾り」戦略では、港湾や空港の拠点整備を進めており、バングラデシュを軍事上の重要拠点として位置づけている。
6月のハシナ首相の訪中において、習主席はバングラデシュを「政治的混乱は続くが経済には力強さがある」と評価した。
またハシナ首相も「中国の短期間での成長を模範にしたい」と親密ぶりを披露した。
■かつてない「日本ブーム」が到来か
さて、今週末に迫る安倍晋三首相のバングラデシュ訪問を前に、現地では日本への関心がひときわ高まっている。
2012年にヒラリー・クリントン国務長官(当時)がバングラデシュを訪問したときほどの熱狂はないにせよ、誰もが「安倍首相がどんな声明を出すのか」に注目している。
「Give us Japanese value!」は、筆者が8月末のダッカ取材中にあちこちで耳にしたバングラデシュ人の本音である。
彼らは間違いなくジャパニーズスタンダードを待ち望んでいる。
近年、大規模プロジェクトの受注から消費生活における個別の製品まで、あらゆるシーンにおいて「安い中国製」がバングラデシュ市場を席巻してきた。
その状況を招いたことへの反省からも、バングラデシュでは日本への評価が再び高まっているのだ。
安倍首相の訪問とともに、バングラデシュでは今までにない「日本ブーム」が到来しそうな気配だ。
新たな経済発展のステージに入ったバングラデシュが日本に寄せる期待は、我々の想像以上に大きい。
』
『
JB Press 2014.10.07(火) 姫田 小夏
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41873
インフラ開発がしっちゃかめっちゃかに、
バングラデシュでひんしゅくを買う中国企業
破格の安値で受注して途中で“降参”
港、高速道路、橋梁、発電所――。
インフラ開発をめぐる“日中激突”が火花を散らしている。
インドを取り囲む南アジアの国々でも、中国の影響力が増大している。
スリランカは2009年に最大の“スポンサー”が日本から中国に取って代わった。
一貫して親日国であり続けたパキスタンへも、中国は積極的な財政支援を行っている。
そして、インドの隣国バングラデシュでも、中国は「最大の援助国」と言われる日本の牙城にどんどん食い込もうとしている。
バングラデシュにおける中国の台頭は噂には聞いていたが、まさかここまでとは思わなかった。
「中国が片っ端から案件を落札」しているのが現状だ。
ざっと調べただけでも、中国は以下のような案件を受注(一部は予定)している(日本政府の資金によるプロジェクトを中国企業が受注するケースも含まれる)。
(1)パドマ橋(建設費11億ドル)
(2)パドマ橋建設に付随する河川管理(10億ドル)
(3)チッタゴンのカルナフリ川におけるトンネル工事(10億ドル)
(4)チッタゴンのカルナフリ川にかかる鉄道橋梁の建設
(5)チッタゴンのカルナフリ川における多走行車線のトンネル建設
(6)チッタゴン~コックスバザール(その先はミャンマーに延びる)の鉄道複線化
(7)ダッカ~チッタゴンの鉄道信号プロジェクト
(8)バングラデシュ国内の4つの橋梁建設(3300万ドル)
(9)モヘシカリとポトゥアカリにおける2カ所の石炭火力発電所(1320MW)
(10)ラジシャヒにおけるWASA (Water Supply & Sewerage Authority)の上水プロジェクト
(11)トンギ~バイラブの鉄道複線化
(12)バングラデシュ政府のICTインフラネットワーク構築第3フェーズ
パドマ橋の建設は、あまたある橋梁プロジェクトの中でも非常に大規模で、長期にわたり計画が練られてきた。
ところが発注をめぐり世界銀行の汚職が発覚、協調融資を組むアジア開発銀行(ADB)、日本の国際協力機構(JICA)などがプロジェクトから降りる事態となった。
現在、ハシナ首相の「自力で建設を」という掛け声のもと計画は進められているのだが、建設工事を中国企業が受注し「漁夫の利」を得ることになった。
■もともと無理な価格で落札
バングラデシュにとっての喫緊の課題は「インフラ整備」である。
川が多いバングラデシュは、物資はおろか人の往来すら困難であり、経済が東西に分断されている。
中国から「世界の工場」の座を奪い取るポテンシャルはあるものの、電力供給は不安定である。
また、中間層に自動車の購入意欲はあるのだが村には道路がない、というのが実情だ。
バングラデシュにはこれを自力で解決するほどの資金力がなく、世界銀行やJICAなどに頼るしかない。
2国間ODAでは日本が力を発揮し、「日本は全体の75%を占めるトップドナー(資金提供者)」(バングラデシュの現地紙)とも認識されている。
ところが近年、中国の存在感が急激に高まっている。
中国勢にとって巨大事業の落札は決して難しいことではない。
その最大の武器と言えるのが「安さ」である。
バングラデシュの建設業界は、その「驚異の安値」におののいている。
ある大手ゼネコン幹部はこう明かす。
「中国企業の提示額は、私たちローカル企業よりも3割は安い」
そして、「それが最悪の事態を生む」と警告を発する。
「彼らが入札時に提示するのは『もともと無理な価格』。
たとえ落札してもその金額では工事などできないはずだ」(同)
その典型例が「ダッカ~チッタゴン・ハイウェイ」である。
「ダッカ~チッタゴン・ハイウェイ」は道路を4車線に拡張する全長192キロ(総工費1億6800万ドル)にわたるプロジェクトで、「バングラデシュ経済の生命線を担う」とされる重要案件だ。
7工区に相当する140キロを、中国のエンジニアリング会社である中国水利水電建設集団(シノハイドロ)が驚異的な安さで落札した。
当初、建設は順調に進んでいると見られていた。
だが、蓋を開けてみるとまったく計画通りには進んでいなかった。
入札時に中国勢と競った地元企業はこう振り返る。
「現地企業である我々に多くの強みがあったが落札したのは中国企業だった。
しかし、彼らは低コストの重荷に耐えられなくなり、途中で投げ出してしまった」
工事は2010年から始まり完工は2013年末とされていた。
ところが、工事はいまだに終わっていない。
2013年末の時点でも計画の3割ほどしか進んでいなかった。
関係者は「完工は2年延期どころでは済まないだろう」と見ている。
バングラデシュ道路交通省が工事の遅延を「契約違反だ」と批判したが、中国側は設備や原材料、そして予算の不足を理由に「予算増額がない限りは完工できない」と開き直った。
ハシナ首相も腹を立て、道路交通省に「会社を替えよ」と伝えるほどだった。
パドマ橋の建設でも同様の事態が起こっているようだ。
現地メディアの報道は、
「ハイウェイ建設とパドマ橋建設という2つの重要なプロジェクトが中国企業のお粗末な仕事で危機に瀕している」
と懸念を隠さない。
■「中国流」への批判が噴出
近年、バングラデシュはインフラ整備の巨大な市場に中国企業を喜んで迎え入れてきた。
だがここに来て、「中国流」がいかなるものであるかをようやく認識するようになった。
業界の常識を逸脱した低価格での落札、その結果として起こる資金ショートと工期の延期に、今では異議を唱える声の方が多い。
バングラデシュの建設業者への取材の席では「中国流のやり方」に批判が噴出した。
「土壇場になって『この金額ではできない』とバングラデシュ政府に泣きついて、資金不足を補おうとしている」
「彼らは『完工させること』を目的にはしていない。
さらにそこから条件を引き出そうとしているのだ」
「完工させることを交換条件に、ソナディア深水港の受注を持ち出しているようだ」
あまりにも強引な受注の仕方と、それがもたらす悪影響は、現地社会で顰蹙を買っている。
中国企業による受注はバングラデシュ全体の社会資産にダメージをもたらすことに、バングラデシュの人々は気づき始めている。
さらにバングラデシュ社会が今、関心の目を向けるのが、中国が主導する「新開発銀行(BRICS開発銀行)」(BRICSの5カ国が運営する発展途上国支援の銀行)の動きだ。
現地ゼネコンのトップは言う。
「彼らはADBやJICA以上の資金を低金利で融資するだろう。
BRICS銀行がバングラデシュの大型案件を総なめにしてもおかしくはない」
南アジアでは、中国の影響の高まりを懸念する声が出てきた。
同時に日本への期待も以前にも増して高まっている。
日本はバングラデシュのインフラ開発にどう関わり、今後の経済成長にどう寄与するのか。
バングラデシュ社会は日本の一挙手一投足をじっと見守っている。
』
『
レコードチャイナ 配信日時:2014年9月4日 10時49分
http://www.recordchina.co.jp/a93712.html
中国政府の抗日ドラマ「集中放送」に疑問
=「日本人には無関係」「中国人の理性失わせるだけ」―中国人教授
2014年9月3日、環球時報(電子版)によると、
中国政府が抗日戦争勝利の記念活動を盛り上げるため、国内のテレビ局に対し、抗日ドラマの放送を増やすよう命じた
ことに、疑問の声が上がっている。
米紙USAトゥデイ(電子版)は1日、「日本に対して中国が烈士記念日を設定」と題する記事で、
中国政府はテレビ局に抗日ドラマの放送を増やすよう命じ、抗日戦争の記念活動を強化していると報じた。
記事では、中国の全国人民代表大会常務委員会が、9月30日を烈士記念日と定め、国家レベルでの記念活動を行うとした上で、
「その背景には中国政府が国民の反日感情を高め、
愛国主義と抗日戦争犠牲者を共産党支持に利用したいとの意図がある」
と指摘。
「日本、フィリピン、ベトナムなどの周辺国は、海上領有権問題で中国と対立しており、中国の強硬姿勢に懸念を強めている」
と報じた。
記事ではまた、中国政府が国内の衛星テレビ局に対し、抗日ドラマを放送するよう命じたとした上で、「好きな番組が放送中止となることに市民から不満の声が上がっている」とも指摘した。
中国政府のこうした姿勢について、中国人民大学の張鳴(ジャン・ミン)教授は自身のマイクロブログで
「抗日ドラマを放送してはいけないということではない。
だが、政府の指示のもとに集中的に放送しても日本人に脅威を与えることはできない。
むしろ、国民の反日感情をあおり、理性を失わせるだけで、中国の改革開放にメリットはない」
と疑問を呈した。
』
『
レコードチャイナ 配信日時:2014年9月6日 4時10分
http://www.recordchina.co.jp/a93780.html
中国はなぜ世界で孤立しているのか、専門家が驚きの回答―中国メディア
2014年9月4日、中国メディア・米爾網によると、中東など各国で中国大使を務めた華黎明(ホア・リーミン)氏と中国の国際関係学の第一人者・中国人民大学の金燦栄(ジン・ツァンロン)氏が、外交官を多数輩出している北京外国語大学で講演を行った際、同校の学生が
「中国は世界から必要とされていると話されたが、
それではなぜ中国は世界で孤立しているのか。
活路はどこにあるのか」
と質問した。
質問に対し、華氏は
「アジアの周辺諸国やアフリカの国々との関係は君が思っているほど悪くない」
と指摘。
40年以上外交に関わってきたが、そうした国々との関係は十数年前よりも向上していると話した。
また、日本や東南アジア諸国とは領土問題があるが、これらの国は経済においては中国に深く依存していると指摘。
中国とアフリカ諸国や周辺諸国との関係について楽観視していると話した。
金氏は、インターネット上では中国との関係悪化が誇張されて伝わっていると指摘。
中南米や欧州の国々との関係は悪くなく、とりわけブラジルやドイツとの関係は良好で、ロシアとも冷戦以降最も良い関係を築いているとした。
現在の国際情勢は以前よりも複雑ではあるが、
だからといって
中国の外交が失敗しているわけではない
と話し、
米国の反応を見ればそれは明らかだと指摘した。
』
『
WEDGE Infinity 日本をもっと、考える 2014年09月04日(Thu) 岡崎研究所
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/4157?page=1
「日中のライバル関係」に期待する東南アジア諸国
フィリピンのアテネオ・デ・マニラ大学講師で、同国下院政策顧問でもあるリチャード・ヘイダリアンが、National Interest誌ウェブサイトに、7月21日付で
「アジアの最も危険なライバル関係、日本対中国が熱を帯びてきている」
との論説を書いています。
すなわち、日本は「集団的自衛」を採用し、より大きな国際責任を果たす「普通の国」への運命的一歩を踏み出した。
それには、安倍総理の強い意志と、尖閣についての中国との紛争が背景にある。
★.米国の対中政策の不確実性、
★.米国防予算削減への懸念
は、日本が自立することを後押ししている。
米国は日本の方針変更を歓迎している。
日米防衛ガイドラインは改定される予定で、日米同盟はもっとダイナミックなものになろう。
中国は日本の再興を懸念し、日本が軍国主義の過去を繰り返そうとしていると宣伝している。
しかし、これは、地域の指導的役割についての日中のライバル関係の出現である。
米国はバランサーの役割に居心地の良さを感じるだろう。
日本の積極的外交は、国内的な抵抗にあっている。
戦争の記憶はパシフィズム(平和主義)の強い潮流になっている。
そこで、安倍総理は、憲法改正ではなく、憲法解釈の変更を選択した。
これは、自衛隊設立の時と同じである。
日本は世界で最強の軍の一つを保有しつつも、第1次、第2次湾岸戦争ではさしたる役割を果たせず、資金支援などにとどまった。
日本の防衛予算は2000年には中国の国防費より60%多かったが、今は中国の3分の2である。
安倍政権は日本をより意味のあるパワーにしようとしている。
日本は、中国の領土瀬戸際政策をアジアの小国が神経質に見守る中、その歴史的指導力を再主張する機会を見出している。
大東亜共栄圏は悪夢に終わった。
しかし、プラザ合意後の
日本は、繁栄する無害な日本であり、雁行型発展とされた成長のエンジン
であった。
中国が東南アジア諸国の重要貿易国になるに従い、日本の重要性は減ってきた。
その上、中国は軍事に関し日本のような自制はしない。
韓国は中国にすり寄っている。
2007-08年の経済危機で中国の自己主張は強まった。
安倍政権は東南アジア諸国、豪州、インドと連携し、この傾向を逆転しようとしている。
安倍政権はこの方面での外交を強化している。
また、安倍総理は、日本経済を再活性化したほか、武器輸出制限を緩和し、豪、印などと防衛協力も進めている。
全体として、
中国は領土主張を進めたが、
ライバルの日本が力強い路線を取るように仕向ける危険を冒した、
と述べています。
* * *
この論説は目新しい論点を提起しているわけではありませんが、最近の日本、安倍総理の外交・防衛政策(集団的自衛、武器禁輸撤廃など)を高く評価し、中国のライバルとして日本が出てきている、と指摘しています。
もっとも、この指摘は、いささか過大評価と言うべきでしょう。
日本の防衛費の伸びが中国にはるかに及ばないことだけをとってみても、そうです。
また、筆者が言及している、日本に根差すパシフィズムをとっても、そうです。
だ、東南アジア諸国の一部に、期待も込めて、この論説のような意見があるということには留意する必要があります。
安倍総理の集団的自衛権の限定行使、武器禁輸政策の変更、積極的外交は、いずれをとっても称賛に値することです。
しかしながら、日本の安保・防衛政策は「普通の国」のものとしては、まだまだであることを認識すべきです。
憲法9条の改正は依然として必要性を全く失っていません。
今回の集団的自衛権の行使は、要するに、憲法9条を前提とした自衛権解釈に基づく、限定的なものです。
自衛権は基本的には国際法上の概念であるのに、それを極端に狭く解釈しています。
国内政治上、そうすることが必要であったのでしょう。
しかし、今のイスラエルのガザ攻撃が自衛権で正当化されていること、10年以上続いた米国のアフガン戦争は、米国にとっては自衛権行使であったことなどを想起すべきです。
新たに閣議決定に盛り込まれた3要件
(1.日本と密接な関係にある他国への武力攻撃が発生し、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある、
2.他に適当な手段が無い、
3.必要最小限度の実力行使であること)
が国際的にどう映るのか、国際社会の法意識をよく考えて、時期を見て再検討する必要があるでしょう。
』
『
レコードチャイナ 配信日時:2014年12月8日 5時10分
http://www.recordchina.co.jp/a98603.html
「ミャンマーの中国離れが加速」と日本メディア、
中国ネット「日本は口を出すな!」「周辺国はなぜみんな…」
2014年12月3日、
「ミャンマーが中国依存から脱却し、インドに急接近している」
との日本メディアの報道に、中国のネットユーザーは猛反発している。
日本メディアによると、東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議開催前の11月11日、インドのナレンドラ・モディ首相はミャンマーのテイン・セイン大統領と45分間会談し、両国の関係強化とインドとミャンマーを結ぶ高速道路網の建設について話し合った。
この背景には中国依存から脱却しようとするミャンマーの外交方針の転換がある。
これにより、
「中国の東南アジアに対する巨大な影響力に陰りが出る可能性が高くなってきた」
と指摘している。
この記事に対し、中国のネットユーザーからさまざまなコメントが寄せられている。
「日本は口を出すな!」
「ミャンマーなんて小国を中国が相手にする必要はない」
「中国の援助が要らないなら、お金を無駄遣いしなくていいから助かるよ」
「ミャンマーが中国から離れるなんて無理」
「中国の周辺国はなぜみんな悪いやつばっかりなんだ?」
「ミャンマーもついに民主主義国家に仲間入りすることを決めたんだな」
「ばかばかしい。
ミャンマーがインドと仲良くなったからって、中国の敵になるわけないだろ。
日本は大騒ぎし過ぎだ」
』
【描けない未来:中国の苦悩】
JB Press 2014.09.04(木) 姫田 小夏
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41625
バングラデシュで高まる日本歓迎ムード、
安倍首相の声明に政財界が注目経済・交易の要衝都市を押さえる国はどこか
●外国企業の参入ラッシュが始まったバングラデシュ(筆者撮影、以下同)
8月26日の日本経済新聞は1面で、日本政府がバングラデシュに対し6000億円規模の支援を行うことを伝えた。
日本政府がバングラデシュのベンガル湾沿海部での産業地帯建設の支援に乗り出し、電力や鉄道などインフラ整備に協力する。
安倍晋三首相は9月6日にバングラデシュの首都ダッカを訪問し、ハシナ首相と会談を持つ。
産業地帯の建設は、首都ダッカに次ぐ第2の都市であり港湾都市であるチッタゴンを中心に行われる。
鍵となるのが、南東部のマタバリ地区に建設中の、1200メガワット(600メガワット×2基)の超々臨界圧石炭火力発電所である。
これが完成すれば電力供給が増強され、産業地帯建設が現実のものとなるという。
他方、ダッカ~チッタゴン間の高速道路建設も進んでいる。
2011年から着工されているが、2014年末までには全体の計画の半分を終える予定だ。
これは中国が一部工事を請け負っており、その進行状況は思わしくないが、現地最大手の建設会社は「残りの部分は2016年末に完成するだろう」と見込んでいる。
これまでバングラデシュは安価な労働力と市場の可能性が期待されながら、インフラ整備の遅れのため、日本企業はバングラデシュへの投資に二の足を踏んできた。
それだけに、発電所や高速道路の開通がもたらす成長への期待は大きい。
■韓国、中国の後塵を拝す日本
現在、バングラデシュには8カ所の輸出加工区(EPZ: 外資企業の投資を促進するために設けられた特別区域。税制面の優遇措置がある)があるが、各国からの工場進出の増加により、空き区間がなくなりつつある。
こうした背景もあり、日本企業にとって独自のこのような経済特区の整備が急がれている。
バングラデシュでは、1996年9月に「民間輸出加工区法1996」という法律が成立した。
これにより、民間企業が輸出加工区を設立することができるようになり、すでに外資企業による輸出加工区の整備が動き始めている。
韓国の企業グループは日本企業に先駆けて、民間の輸出加工区「Korean EPZ」を設立した。
ここを拠点として、有名スポーツブランドをはじめとするOEM製品を欧州に向けて出荷する計画だった。
だが調べてみると、現在ここに立地しているのは、韓国の製靴企業であるヤンゴン(Youngone)グループの工場だけだ。
ダッカの調査会社によれば、
「バングラデシュ政府との間で土地売買のトラブルがあり、結果として後続企業の進出にストップがかけられてしまったため」
だという。
「現在はヤンゴンが使用する以外の土地は更地のまま」(同)
だ。
実は「Korean EPZ」の開発を巡っては、「日本の計画が韓国に横取りされた」という裏話がある。
韓国が土地を購入する前に、日本が将来の輸出加工区の開発候補地としてその土地を調査していた。
だが、
「日本政府が明確な方針を決めないでいる間に、韓国側が土地の開発の認可を取得し、バングラデシュ政府から購入した」(日本のコンサルティング会社)
のだという。
中国もまた、チッタゴンに輸出加工区を立ち上げるという。
中国の民営企業であるオリオンホールディングスが、ムンシゴンジ県に「制衣村」(アパレル村)と言われる縫製業の拠点を設ける計画もある。
ダッカ市内には、過去に倒壊を起こしたような危険建築物がひしめいている。
縫製業の拠点をつくるのは、その地域の危険建築物を一掃するためだとも言われている。
■中国が食指を伸ばすコックスバザール
今、バングラデシュで、日本をはじめ各国がチッタゴンとともに目をつけている都市が、コックスバザールである。
コックスバザールは、チッタゴンから南に約150キロメートル下った位置にある。
「アジアハイウェイ」はアジア諸国を幹線道路網で結ぶ壮大な計画だが、その一環として、コックスバザールからミャンマーに伸びる道路の建設が期待されている。
これが開通すれば、ミャンマーを経由して陸路でタイや中国にアクセスすることができるようになる。
「アジアのデトロイトと言われるタイと陸路で結ばれれば、いずれバングラデシュにも日本の自動車メーカーが進出してくるのではないか」
という期待の声は大きい。
コックスバザールには中国も食指を伸ばしている。
「フィナンシャル・タイムズ」は6月に「中国はベンガル湾の海軍能力を増強している」と報じた。
コックスバザールが面するベンガル湾には大規模な原油・ガスの資源が眠っている。
現在、ベンガル湾周辺では、バングラデシュのみならずインド、ミャンマーも虎視眈々と埋蔵資源の権益を窺っており、南シナ海での権益争いにも似た状況となっている。
そんな中で昨年、ベンガル湾で生産される天然ガスや石油を陸路で運ぶ「チャウピュ(ミャンマー・ラカイン州)~雲南省」のパイプラインを中国が完成させた。
コックスバザールではソナディアに深海港を建設する計画があり、中国がこれに大きな関心を示している。
ハシナ首相が2014年6月に訪中し、習近平国家主席と会談した際も、深海港の建設が話題の1つになった。
バングラデシュの銀行幹部は
「建設工事は中国が受注する可能性が強い」
と語る。
もし受注が決定すれば、中国によるコックスバザール進出への大きな布石となるだろう。
中国は、中国と東南アジアおよび南アジアを結び付けるバングラデシュを「海のシルクロード」あるいは「南のシルクロード」として重視しており、近年、急接近を見せている。
特に、南シナ海から紅海にかけて繰り広げる「真珠の首飾り」戦略では、港湾や空港の拠点整備を進めており、バングラデシュを軍事上の重要拠点として位置づけている。
6月のハシナ首相の訪中において、習主席はバングラデシュを「政治的混乱は続くが経済には力強さがある」と評価した。
またハシナ首相も「中国の短期間での成長を模範にしたい」と親密ぶりを披露した。
■かつてない「日本ブーム」が到来か
さて、今週末に迫る安倍晋三首相のバングラデシュ訪問を前に、現地では日本への関心がひときわ高まっている。
2012年にヒラリー・クリントン国務長官(当時)がバングラデシュを訪問したときほどの熱狂はないにせよ、誰もが「安倍首相がどんな声明を出すのか」に注目している。
「Give us Japanese value!」は、筆者が8月末のダッカ取材中にあちこちで耳にしたバングラデシュ人の本音である。
彼らは間違いなくジャパニーズスタンダードを待ち望んでいる。
近年、大規模プロジェクトの受注から消費生活における個別の製品まで、あらゆるシーンにおいて「安い中国製」がバングラデシュ市場を席巻してきた。
その状況を招いたことへの反省からも、バングラデシュでは日本への評価が再び高まっているのだ。
安倍首相の訪問とともに、バングラデシュでは今までにない「日本ブーム」が到来しそうな気配だ。
新たな経済発展のステージに入ったバングラデシュが日本に寄せる期待は、我々の想像以上に大きい。
』
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JB Press 2014.10.07(火) 姫田 小夏
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41873
インフラ開発がしっちゃかめっちゃかに、
バングラデシュでひんしゅくを買う中国企業
破格の安値で受注して途中で“降参”
港、高速道路、橋梁、発電所――。
インフラ開発をめぐる“日中激突”が火花を散らしている。
インドを取り囲む南アジアの国々でも、中国の影響力が増大している。
スリランカは2009年に最大の“スポンサー”が日本から中国に取って代わった。
一貫して親日国であり続けたパキスタンへも、中国は積極的な財政支援を行っている。
そして、インドの隣国バングラデシュでも、中国は「最大の援助国」と言われる日本の牙城にどんどん食い込もうとしている。
バングラデシュにおける中国の台頭は噂には聞いていたが、まさかここまでとは思わなかった。
「中国が片っ端から案件を落札」しているのが現状だ。
ざっと調べただけでも、中国は以下のような案件を受注(一部は予定)している(日本政府の資金によるプロジェクトを中国企業が受注するケースも含まれる)。
(1)パドマ橋(建設費11億ドル)
(2)パドマ橋建設に付随する河川管理(10億ドル)
(3)チッタゴンのカルナフリ川におけるトンネル工事(10億ドル)
(4)チッタゴンのカルナフリ川にかかる鉄道橋梁の建設
(5)チッタゴンのカルナフリ川における多走行車線のトンネル建設
(6)チッタゴン~コックスバザール(その先はミャンマーに延びる)の鉄道複線化
(7)ダッカ~チッタゴンの鉄道信号プロジェクト
(8)バングラデシュ国内の4つの橋梁建設(3300万ドル)
(9)モヘシカリとポトゥアカリにおける2カ所の石炭火力発電所(1320MW)
(10)ラジシャヒにおけるWASA (Water Supply & Sewerage Authority)の上水プロジェクト
(11)トンギ~バイラブの鉄道複線化
(12)バングラデシュ政府のICTインフラネットワーク構築第3フェーズ
パドマ橋の建設は、あまたある橋梁プロジェクトの中でも非常に大規模で、長期にわたり計画が練られてきた。
ところが発注をめぐり世界銀行の汚職が発覚、協調融資を組むアジア開発銀行(ADB)、日本の国際協力機構(JICA)などがプロジェクトから降りる事態となった。
現在、ハシナ首相の「自力で建設を」という掛け声のもと計画は進められているのだが、建設工事を中国企業が受注し「漁夫の利」を得ることになった。
■もともと無理な価格で落札
バングラデシュにとっての喫緊の課題は「インフラ整備」である。
川が多いバングラデシュは、物資はおろか人の往来すら困難であり、経済が東西に分断されている。
中国から「世界の工場」の座を奪い取るポテンシャルはあるものの、電力供給は不安定である。
また、中間層に自動車の購入意欲はあるのだが村には道路がない、というのが実情だ。
バングラデシュにはこれを自力で解決するほどの資金力がなく、世界銀行やJICAなどに頼るしかない。
2国間ODAでは日本が力を発揮し、「日本は全体の75%を占めるトップドナー(資金提供者)」(バングラデシュの現地紙)とも認識されている。
ところが近年、中国の存在感が急激に高まっている。
中国勢にとって巨大事業の落札は決して難しいことではない。
その最大の武器と言えるのが「安さ」である。
バングラデシュの建設業界は、その「驚異の安値」におののいている。
ある大手ゼネコン幹部はこう明かす。
「中国企業の提示額は、私たちローカル企業よりも3割は安い」
そして、「それが最悪の事態を生む」と警告を発する。
「彼らが入札時に提示するのは『もともと無理な価格』。
たとえ落札してもその金額では工事などできないはずだ」(同)
その典型例が「ダッカ~チッタゴン・ハイウェイ」である。
「ダッカ~チッタゴン・ハイウェイ」は道路を4車線に拡張する全長192キロ(総工費1億6800万ドル)にわたるプロジェクトで、「バングラデシュ経済の生命線を担う」とされる重要案件だ。
7工区に相当する140キロを、中国のエンジニアリング会社である中国水利水電建設集団(シノハイドロ)が驚異的な安さで落札した。
当初、建設は順調に進んでいると見られていた。
だが、蓋を開けてみるとまったく計画通りには進んでいなかった。
入札時に中国勢と競った地元企業はこう振り返る。
「現地企業である我々に多くの強みがあったが落札したのは中国企業だった。
しかし、彼らは低コストの重荷に耐えられなくなり、途中で投げ出してしまった」
工事は2010年から始まり完工は2013年末とされていた。
ところが、工事はいまだに終わっていない。
2013年末の時点でも計画の3割ほどしか進んでいなかった。
関係者は「完工は2年延期どころでは済まないだろう」と見ている。
バングラデシュ道路交通省が工事の遅延を「契約違反だ」と批判したが、中国側は設備や原材料、そして予算の不足を理由に「予算増額がない限りは完工できない」と開き直った。
ハシナ首相も腹を立て、道路交通省に「会社を替えよ」と伝えるほどだった。
パドマ橋の建設でも同様の事態が起こっているようだ。
現地メディアの報道は、
「ハイウェイ建設とパドマ橋建設という2つの重要なプロジェクトが中国企業のお粗末な仕事で危機に瀕している」
と懸念を隠さない。
■「中国流」への批判が噴出
近年、バングラデシュはインフラ整備の巨大な市場に中国企業を喜んで迎え入れてきた。
だがここに来て、「中国流」がいかなるものであるかをようやく認識するようになった。
業界の常識を逸脱した低価格での落札、その結果として起こる資金ショートと工期の延期に、今では異議を唱える声の方が多い。
バングラデシュの建設業者への取材の席では「中国流のやり方」に批判が噴出した。
「土壇場になって『この金額ではできない』とバングラデシュ政府に泣きついて、資金不足を補おうとしている」
「彼らは『完工させること』を目的にはしていない。
さらにそこから条件を引き出そうとしているのだ」
「完工させることを交換条件に、ソナディア深水港の受注を持ち出しているようだ」
あまりにも強引な受注の仕方と、それがもたらす悪影響は、現地社会で顰蹙を買っている。
中国企業による受注はバングラデシュ全体の社会資産にダメージをもたらすことに、バングラデシュの人々は気づき始めている。
さらにバングラデシュ社会が今、関心の目を向けるのが、中国が主導する「新開発銀行(BRICS開発銀行)」(BRICSの5カ国が運営する発展途上国支援の銀行)の動きだ。
現地ゼネコンのトップは言う。
「彼らはADBやJICA以上の資金を低金利で融資するだろう。
BRICS銀行がバングラデシュの大型案件を総なめにしてもおかしくはない」
南アジアでは、中国の影響の高まりを懸念する声が出てきた。
同時に日本への期待も以前にも増して高まっている。
日本はバングラデシュのインフラ開発にどう関わり、今後の経済成長にどう寄与するのか。
バングラデシュ社会は日本の一挙手一投足をじっと見守っている。
』
『
レコードチャイナ 配信日時:2014年9月4日 6時0分
アジアで「中国を恐れ親日になる」国が増加-華字メディア
2014年9月3日、BWCHINESE中文網は
「中国の周辺国の間に『中国を恐れ親日になる』状況が常態化している」
と題する記事を掲載した。
以下はその概要。
中国を取り巻く複雑な政治状況を受け、周辺20数カ国の間で「中国を恐れ親日になる」国が静かに増えている。
インドのモディ首相は親日派とみられている。
安倍晋三首相はモディ首相との緊密な関係構築を望み、就任前に早々と訪日を要請した。
経済分野での一層の関係強化だけでなく、安全保障面でも日本とインドは協力を強化しようとしている。
すなわち中国に対するけん制だ。
インドは中国の高速鉄道を排除するだろう。
受注に向けインドに圧力をかけるべきとの声もあるが、いずれ徒労に終わるに違いない。
価格的に日本よりはるかに優位な中国だが、
インドは中国の高速鉄道にまったく興味がない。
アジア諸国の多くは、中国が領土問題で態度を硬化させるとともに、中国の台頭に対する懸念を強めている。
一方で親日の潮流がゆっくり形成されているのだ。
』
『
レコードチャイナ 配信日時:2014年9月4日 10時49分
http://www.recordchina.co.jp/a93712.html
中国政府の抗日ドラマ「集中放送」に疑問
=「日本人には無関係」「中国人の理性失わせるだけ」―中国人教授
2014年9月3日、環球時報(電子版)によると、
中国政府が抗日戦争勝利の記念活動を盛り上げるため、国内のテレビ局に対し、抗日ドラマの放送を増やすよう命じた
ことに、疑問の声が上がっている。
米紙USAトゥデイ(電子版)は1日、「日本に対して中国が烈士記念日を設定」と題する記事で、
中国政府はテレビ局に抗日ドラマの放送を増やすよう命じ、抗日戦争の記念活動を強化していると報じた。
記事では、中国の全国人民代表大会常務委員会が、9月30日を烈士記念日と定め、国家レベルでの記念活動を行うとした上で、
「その背景には中国政府が国民の反日感情を高め、
愛国主義と抗日戦争犠牲者を共産党支持に利用したいとの意図がある」
と指摘。
「日本、フィリピン、ベトナムなどの周辺国は、海上領有権問題で中国と対立しており、中国の強硬姿勢に懸念を強めている」
と報じた。
記事ではまた、中国政府が国内の衛星テレビ局に対し、抗日ドラマを放送するよう命じたとした上で、「好きな番組が放送中止となることに市民から不満の声が上がっている」とも指摘した。
中国政府のこうした姿勢について、中国人民大学の張鳴(ジャン・ミン)教授は自身のマイクロブログで
「抗日ドラマを放送してはいけないということではない。
だが、政府の指示のもとに集中的に放送しても日本人に脅威を与えることはできない。
むしろ、国民の反日感情をあおり、理性を失わせるだけで、中国の改革開放にメリットはない」
と疑問を呈した。
』
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レコードチャイナ 配信日時:2014年9月6日 4時10分
http://www.recordchina.co.jp/a93780.html
中国はなぜ世界で孤立しているのか、専門家が驚きの回答―中国メディア
2014年9月4日、中国メディア・米爾網によると、中東など各国で中国大使を務めた華黎明(ホア・リーミン)氏と中国の国際関係学の第一人者・中国人民大学の金燦栄(ジン・ツァンロン)氏が、外交官を多数輩出している北京外国語大学で講演を行った際、同校の学生が
「中国は世界から必要とされていると話されたが、
それではなぜ中国は世界で孤立しているのか。
活路はどこにあるのか」
と質問した。
質問に対し、華氏は
「アジアの周辺諸国やアフリカの国々との関係は君が思っているほど悪くない」
と指摘。
40年以上外交に関わってきたが、そうした国々との関係は十数年前よりも向上していると話した。
また、日本や東南アジア諸国とは領土問題があるが、これらの国は経済においては中国に深く依存していると指摘。
中国とアフリカ諸国や周辺諸国との関係について楽観視していると話した。
金氏は、インターネット上では中国との関係悪化が誇張されて伝わっていると指摘。
中南米や欧州の国々との関係は悪くなく、とりわけブラジルやドイツとの関係は良好で、ロシアとも冷戦以降最も良い関係を築いているとした。
現在の国際情勢は以前よりも複雑ではあるが、
だからといって
中国の外交が失敗しているわけではない
と話し、
米国の反応を見ればそれは明らかだと指摘した。
』
『
WEDGE Infinity 日本をもっと、考える 2014年09月04日(Thu) 岡崎研究所
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/4157?page=1
「日中のライバル関係」に期待する東南アジア諸国
フィリピンのアテネオ・デ・マニラ大学講師で、同国下院政策顧問でもあるリチャード・ヘイダリアンが、National Interest誌ウェブサイトに、7月21日付で
「アジアの最も危険なライバル関係、日本対中国が熱を帯びてきている」
との論説を書いています。
すなわち、日本は「集団的自衛」を採用し、より大きな国際責任を果たす「普通の国」への運命的一歩を踏み出した。
それには、安倍総理の強い意志と、尖閣についての中国との紛争が背景にある。
★.米国の対中政策の不確実性、
★.米国防予算削減への懸念
は、日本が自立することを後押ししている。
米国は日本の方針変更を歓迎している。
日米防衛ガイドラインは改定される予定で、日米同盟はもっとダイナミックなものになろう。
中国は日本の再興を懸念し、日本が軍国主義の過去を繰り返そうとしていると宣伝している。
しかし、これは、地域の指導的役割についての日中のライバル関係の出現である。
米国はバランサーの役割に居心地の良さを感じるだろう。
日本の積極的外交は、国内的な抵抗にあっている。
戦争の記憶はパシフィズム(平和主義)の強い潮流になっている。
そこで、安倍総理は、憲法改正ではなく、憲法解釈の変更を選択した。
これは、自衛隊設立の時と同じである。
日本は世界で最強の軍の一つを保有しつつも、第1次、第2次湾岸戦争ではさしたる役割を果たせず、資金支援などにとどまった。
日本の防衛予算は2000年には中国の国防費より60%多かったが、今は中国の3分の2である。
安倍政権は日本をより意味のあるパワーにしようとしている。
日本は、中国の領土瀬戸際政策をアジアの小国が神経質に見守る中、その歴史的指導力を再主張する機会を見出している。
大東亜共栄圏は悪夢に終わった。
しかし、プラザ合意後の
日本は、繁栄する無害な日本であり、雁行型発展とされた成長のエンジン
であった。
中国が東南アジア諸国の重要貿易国になるに従い、日本の重要性は減ってきた。
その上、中国は軍事に関し日本のような自制はしない。
韓国は中国にすり寄っている。
2007-08年の経済危機で中国の自己主張は強まった。
安倍政権は東南アジア諸国、豪州、インドと連携し、この傾向を逆転しようとしている。
安倍政権はこの方面での外交を強化している。
また、安倍総理は、日本経済を再活性化したほか、武器輸出制限を緩和し、豪、印などと防衛協力も進めている。
全体として、
中国は領土主張を進めたが、
ライバルの日本が力強い路線を取るように仕向ける危険を冒した、
と述べています。
* * *
この論説は目新しい論点を提起しているわけではありませんが、最近の日本、安倍総理の外交・防衛政策(集団的自衛、武器禁輸撤廃など)を高く評価し、中国のライバルとして日本が出てきている、と指摘しています。
もっとも、この指摘は、いささか過大評価と言うべきでしょう。
日本の防衛費の伸びが中国にはるかに及ばないことだけをとってみても、そうです。
また、筆者が言及している、日本に根差すパシフィズムをとっても、そうです。
だ、東南アジア諸国の一部に、期待も込めて、この論説のような意見があるということには留意する必要があります。
安倍総理の集団的自衛権の限定行使、武器禁輸政策の変更、積極的外交は、いずれをとっても称賛に値することです。
しかしながら、日本の安保・防衛政策は「普通の国」のものとしては、まだまだであることを認識すべきです。
憲法9条の改正は依然として必要性を全く失っていません。
今回の集団的自衛権の行使は、要するに、憲法9条を前提とした自衛権解釈に基づく、限定的なものです。
自衛権は基本的には国際法上の概念であるのに、それを極端に狭く解釈しています。
国内政治上、そうすることが必要であったのでしょう。
しかし、今のイスラエルのガザ攻撃が自衛権で正当化されていること、10年以上続いた米国のアフガン戦争は、米国にとっては自衛権行使であったことなどを想起すべきです。
新たに閣議決定に盛り込まれた3要件
(1.日本と密接な関係にある他国への武力攻撃が発生し、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある、
2.他に適当な手段が無い、
3.必要最小限度の実力行使であること)
が国際的にどう映るのか、国際社会の法意識をよく考えて、時期を見て再検討する必要があるでしょう。
』
『
レコードチャイナ 配信日時:2014年12月8日 5時10分
http://www.recordchina.co.jp/a98603.html
「ミャンマーの中国離れが加速」と日本メディア、
中国ネット「日本は口を出すな!」「周辺国はなぜみんな…」
2014年12月3日、
「ミャンマーが中国依存から脱却し、インドに急接近している」
との日本メディアの報道に、中国のネットユーザーは猛反発している。
日本メディアによると、東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議開催前の11月11日、インドのナレンドラ・モディ首相はミャンマーのテイン・セイン大統領と45分間会談し、両国の関係強化とインドとミャンマーを結ぶ高速道路網の建設について話し合った。
この背景には中国依存から脱却しようとするミャンマーの外交方針の転換がある。
これにより、
「中国の東南アジアに対する巨大な影響力に陰りが出る可能性が高くなってきた」
と指摘している。
この記事に対し、中国のネットユーザーからさまざまなコメントが寄せられている。
「日本は口を出すな!」
「ミャンマーなんて小国を中国が相手にする必要はない」
「中国の援助が要らないなら、お金を無駄遣いしなくていいから助かるよ」
「ミャンマーが中国から離れるなんて無理」
「中国の周辺国はなぜみんな悪いやつばっかりなんだ?」
「ミャンマーもついに民主主義国家に仲間入りすることを決めたんだな」
「ばかばかしい。
ミャンマーがインドと仲良くなったからって、中国の敵になるわけないだろ。
日本は大騒ぎし過ぎだ」
』
【描けない未来:中国の苦悩】
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