2014年12月15日月曜日

2年も繰り上げる総選挙の狙いとは(3):自民党横ばい、291議席、 民主は11増、対中国マスクの認証式である

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 分かり切った答えが分かり切った形で出ただけの選挙である。
 その
 「分かり切ったこと」が何なのか、
 それが分からないと始末に負えない。
 近視眼的メデイア論法では少々無理かもしれない。


毎日新聞 2014年12月15日 東京朝刊
http://senkyo.mainichi.jp/news/20141215ddm001010155000c2.html

衆院選:自民横ばい、291議席 
自公3分の2維持 
共産倍増、
民主は11増

 第47回衆院選は14日、投開票され、定数475(小選挙区295、比例代表180)のうち、
 自民党は291議席を獲得したが、公示前勢力の295議席に届かなかった。
 連立を組む公明党と合わせて公示前と同じ326議席となった。
 再び衆院の3分の2に当たる317議席を超え、安倍晋三首相(自民党総裁)は安定政権を維持した。
 民主党は公示前の62議席から11議席増やしたが、
 海江田万里代表は落選し代表辞任が決まった。
 維新の党は1減となり、野党が目指した「自民1強」の打破はならなかった。
 24日に召集される特別国会の首相指名選挙で安倍首相が選出され、第3次安倍内閣が発足する。

 自民党は4減となったが、衆院定数が5減となったことから、議席占有率は横ばいだった。
 比例代表では議席を伸ばし、小選挙区でも組織力を生かし、青森、秋田、山形、群馬、富山、石川、福井、岐阜、滋賀、鳥取、島根、山口、徳島、愛媛、高知、福岡、長崎、宮崎の18県で議席を独占。
 ただ、前回3議席を得た沖縄の小選挙区では、全4区で非自民系の候補に敗れた。

 公明党は前回に続き、小選挙区に擁立した9人全員が当選。
 比例代表は前回の22を超え26議席とした。

 自民、公明両党は衆院のすべての常任委員会で、
(1):委員長ポストを独占
(2):委員の過半数を確保
−−するための絶対安定多数(266議席)を超え、引き続き安定した政権運営が可能になった。
 前回選に続き、参院で否決された提出法案を再可決できる衆院の3分の2超を維持した。
 参院では憲法改正の発議に必要な3分の2の議席を自公両党で保有していないが、衆院では満たすことになった。

 民主党は海江田氏の落選を受け、24日に開かれる特別国会の前にも緊急の代表選を行うとみられる。
 海江田氏は記者会見で、代表の進退について「選挙の結果ということになろうかと思う」と述べ辞任を示唆。
 15日にも辞任を表明する。
 緊急時と判断し、党員・サポーターは不参加のまま、国会議員らによる投票で決める見通し。
 次期代表には岡田克也代表代行や前原誠司元外相、細野豪志元環境相らを推す声が出ている。

 民主党は準備不足や維新との候補者調整で、衆院の過半数の候補者数を擁立できず、「政権選択選挙」を断念。
 アベノミクスによる格差拡大や集団的自衛権の行使容認などを批判したが伸び悩み、菅直人元首相は小選挙区で敗北したが比例代表で復活当選した。
 枝野幸男幹事長も自民候補と接戦の末の勝利となるなど、党勢回復がままならない現状を印象づけた。

 前回躍進した第三極は、旧日本維新の会の分裂やみんなの党解党の影響もあって伸び悩んだ。
 規制緩和や自民1強阻止を訴えた維新の党は第3党の座を維持したが、旧日本維新の会が前回12議席を得た地盤の大阪で減らすなど公示前議席を確保できなかった。
 自主憲法制定を掲げた次世代の党は、小選挙区が岡山、熊本の2議席にとどまり、比例代表は議席が獲得できず、公示前の20議席から10分の1に激減した。

 共産党は小選挙区で1996年衆院選以来となる議席を沖縄1区で獲得。
 比例代表では00年衆院選と同数の20議席を得て、計21議席とした。
 公示前の8議席から2倍を超えた。

 生活の党は解散後に前職が民主党へ復党したことなども影響し、小沢一郎代表の岩手4区と沖縄3区の2議席にとどまった。
 社民党は沖縄2区と比例代表九州ブロックで各1議席を獲得し、公示前の2議席を維持した。

 当選した衆院議員の任期は18年12月まで。



JB Press 2014.12.15(月)  筆坂 秀世
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42454

自民党はなぜこれほど圧勝したのかそれでも決して順風満帆とは言えない安倍内閣の前途

■安倍首相も想定外の圧勝

  今回の選挙は文字通りの自民党圧勝である。
 解散前には、自民党が数十議席減らすと予想した政治評論家も少なくなかった。
 私自身、自民党微減、民主党微増、共産党倍増以上と予想していた。
 安倍首相自身、勝敗の分岐点を自公で過半数となる238議席の確保と明言していた。
 解散前は自民党295議席、公明党31議席で合わせて326議席持っていたわけだから、80議席以上減らしても勝利だと言っていたのである。
 だが結果は、自公が3分の2の議席を確保する「一強多弱体制」ができあがった。

 安倍首相は、仮に議席を減らすことがあったとしても、野党の現状を見れば安定過半数の確保は可能だと確信していたことは疑いない。
 ただこれほどの勝利を収めるとはさすがに想定外だったはずだ。

■安倍内閣の前途は順風満帆か?

 私は、今度の解散について、
 「安倍長期政権目論見解散」
と位置付けてきた。
 解散によって今後4年間のフリーハンドを手にすることができるからだ。
 多少議席を減らしてもそれは可能であった。
 それがこの大勝利である。
 小泉首相は、郵政解散による大勝利によって、カリスマ的な力を持った総理・総裁となった。
 安倍首相もこの大勝利によってカリスマ的な総理・総裁になっていくのだろうか。

 小選挙区制度のもとでは、もともと党執行部が絶大な権力をふるうことになる。
 小選挙区で党公認を受けることができなければ当選などおぼつかないからだ。
 ましてやこの大勝利である。
 派閥の影響力はますます減衰していくことであろう。
 したがって安倍首相の権威がますます高まることは間違いない。

 では安倍内閣の前途は順風満帆なのだろうか。
 それにはいささかの危惧を感じる。
 それはあまりにもキレすぎることだ。
 ネットの投稿に過剰反応したり、野党の国会質問に逆切れしたり、テレビ出演で「街の声」の人選にクレームを付けたりとあまりにも大人気ない対応が目につく。
 選挙戦でも、非常に攻撃的だった。
 自民党大勝と言われているなかでも、民主党幹部をターゲットに攻勢を強めた。
 もちろん選挙戦だから、敵対する候補を攻撃することは自由だ。

 しかしそこには、首相らしい泰然自若とした姿がまったく見られない。
 例えば小泉首相などは、各党党首討論会で司会者から、「野党への質問はありませんか」と問われて、「ない」と言い切り、司会者に促されて、「じゃ共産党にでも聞くか」という態度をとっていた。
 要するに野党など相手にもしていないのである。
 野党批判ではなく、「自分の主張や政策を見てくれればよい」というわけだ。

 人間社会である以上、政治にも、この余裕、寛容さが重要だ。だが安倍首相は、あまりにも攻撃的すぎる。「攻撃は最大の防御」とも言うが、やはり危なっかしさがつきまとうものである。「好事魔多し」とも言う。この攻撃性が脆さにつながる危険性を感じてならない。

■自民党大勝利に貢献したのは第3極の背信行為

 なぜ自民党はここまで勝利したのか。
 自公両党は議席を増やしたが、野党の中でも民主党や共産党は議席を増やした。
 減らしたのは、次世代の党であり、維新の党であり、解党したみんなの党であり、生活の党である。
 いわゆる第三極を名乗る政党であった。
 次世代の党や維新の党は、日本維新の会が分裂してできた政党である。
 生活の党も民主党離党組である。

 前回総選挙から2年、このわずかの間に分裂したり、解党したりするような政党、政治家に国民が信頼を寄せることができなかったのは、あまりのも当然のことであった。
 次世代の党や維新の党などは、もともと保守層が支持してきた政党である。
 それがくっついたり、離れたりして、誰が党首なのかもわからないような体たらく振りを見せられたのでは、国民が見放すのも当然である。

 2年前の総選挙では、比例票で日本維新の会が約1226万票、みんなの党が約525万票、合わせて約1751万票獲得していた。
 これは自民党の約1662万票を上回るものだった。

 それが1つは分裂、1つは解党というのでは、国民への背信行為と批判されても仕方がないだろう。

 選挙前に、野党は可能な限り選挙協力をしようというので、民主党や維新の党が調整を図ったが、それも功を奏さなかった。
 もう選挙目当ての、選挙の時だけの協力や新党づくりには、下心が見えすぎていて国民は辟易しているということだ。
 これらも第三極を名乗る政党が自ら招いたものである。

■低投票率を全政党は深刻に受け止めよ

 事前の予想通り、投票率は戦後最低を記録した。
 この数字を与野党問わず深刻に受け止める必要がある。

★.第1には、勝ち負けが分かっている選挙であったということだ。
 選挙は勝負事でもある。勝ち負けが分かりきった勝負ごとに関心が集まらないのは当然である。
 この点では、野党の責任、なかでも民主党の責任だ。
 定数の過半数の候補者さえ擁立することができなかった。
 これでは最初から負け戦である。

 野党の中で唯一躍進と言えるのは共産党だけである。
 同党は、「自民党に対決できるのは共産党だけだ」として、「自共対決時代の到来」と盛んに宣伝した。
 しかし、政策・路線的にはそうであったとしても、誰も「自共対決の時代」などとは思っていない。
 現に、共産党の獲得議席は、自民党の10数分の1である。
 「対決」と言うのであれば、政権獲得の実現可能性を持ってこその話である。
 20前後の議席で「自共対決」などというのは、あまりにも自画自賛に過ぎる。

★.第2には、安倍内閣の勝手な解散だったということだ。
 首相は、「アベノミクス解散」と名付けた。
 確かに選挙の論戦では、野党からアベノミクス批判がなされた。
 しかし、国民の側からすれば、
 「上手く進んでいるなら、そのままやればいいじゃない」
 「自信満々で成果を誇っているのに、なぜ選挙で審判を仰ぐ必要があるのか」
ということなのだ。
 国民からすれば、勝手な争点の設定に過ぎないということだ。

 私は解散に大義など必要ないと言ってきた。
 いまでもそう思う。
 しかし、国民が、なぜいま解散するのか分からないのでは、選挙への関心を持ちようがない。
 この点では、安倍内閣の責任も大きい。

 有権者のおよそ2人に1人が選挙を拒否したという事実は、それだけ政治への信頼が喪失しているということでもある。
 国民から遊離した政治や政党に未来はない。

■共産党支持は脆いもの──政党の体をなしていたから

 今度の選挙は、表面的には自民党の大勝、共産党の倍増以上の躍進が特徴となった選挙である。

 だがこのどちらの支持も脆いものだと感じてならない。

 先にも述べたように共産党は、「自共対決」を旗印にした。
 確かに、あらゆる問題で、自民党に政策的に対決しているのは共産党だけかもしれない。
 それが一定の共感を呼んだことも事実であろう。
 私の知人で自ら「保守リベラル」という女性も、
 「安倍も、海江田も嫌いだし、比例は共産党に入れようかと思っている」
 「知人の奥様方も比例は共産党と言う人が多いよ」
と語っていた。
 ご主人は、著名な大企業の幹部をしていた女性である。
 それが「比例は共産党」と言うのだから、いかに他の野党が信頼を失っているかである。

 しかし、それは共産党の政策や党の理念を支持したからでは決してない。
 そんなことを吟味して投票している国民は少ない。
 志位委員長は、最終日に「共産党の躍進で消費税増税を中止に追い込もうではありませんか」と訴えたそうだが、これに共感するほど国民は馬鹿ではない。
 十数議席でそんなことが実現するなどとは、露とも思っていない。

 もっと言えば、こんな無責任なスローガンはない。
 消費税が5%から8%に上げることに、共産党は反対したはずだ。
 それがわずか8カ月で早くも8%への増税を是認して、10%にはするな、と言っているだけなのだ。
 なぜ「5%に戻せ」、あるいは「消費税をなくしましょう」と言わないのか。
 「消費税をなくす会」まで作っている共産党が、現実には消費税を是認しているのである。

 要するに、まともに政党の体を成しているのが、自民党と共産党、あるいは公明党ぐらいしかないからだ。
 第三極の体たらくを見れば誰でもそう思う。
 自民党が嫌な人にとって、共産党しかなかったのである。
 かつて社会党が社民党になり没落した際も、行き場を失った革新支持票が共産党に集まり、大躍進した。
 だがそれは長続きしなかった。
 今回も2年前の民主党没落や第三極の自壊に助けられたに過ぎない。
 共産党への前向きの支持ではないのだ。

 同じ轍を踏まないためにも、共産党は大きな変化を遂げなければならない。
 その鍵となるのは、真剣に政権政党になることを検討することである。
 そのためには、まず唯我独尊の態度を改め、自らが先頭に立って野党を糾合するぐらいの度量をもつことである。
 十数議席の獲得で欣喜雀躍しているようでは、革命政党の名が泣くと言うものだ。

■自民党大勝にも脆さが──政権担える政党は自民だけ

 同じことは自民党にも言える。
 大勝はしたが、決して強固なものではない。
 朝日新聞の調査(12月11付)によれば、今度の投票で「期待している」からとして投票しようという人は33%に過ぎず、「他よりはよさそう」という人が57%にも達しているという。

 決して強い期待があるからではない。
 一言で言えば、政権を担える政党が自民党しかないからだ。
 野党第一党の民主党などは、全員当選しても過半数に満たない候補者しか立候補させられなかった。
 自民党以外で過半数を超える候補者を立てたのは、唯一共産党だけである。
 これでは、自民党に政権を任せるしかない。
 ただそれだけのことだ。

 安倍内閣は、「アベノミクスが国民から支持された」と喧伝するだろうが、それは違う。
 まだ途中だから、もう少し様子を見ようということだ。
 経済の動きは怖いものだ。
 誰も先行きなど正確には見通せない。
 自由主義経済だから当然のことだ。
 アベノミクスであれ、どんな経済政策であれ暗転することはあり得る。

 自民党は、この現実を勘違いしないことだ。
 安倍首相は、これで4年間のフリーハンドを手に入れた思わないことだ。
 驕り高ぶった政治には、必ず国民の反撃があることを自覚して、今後の政権運営に臨んでもらいたい。

 最後に民主党についても一言。
 今回の選挙結果を見る限り、民主党への国民の失望は依然として大きいということが明確になった。
 いまのままだとこれから何回選挙をやっても、今程度の支持しか得られないであろう。
 しっかりとした党綱領を作ることから始めるぐらいの気概がなければ、党の再生はないということを自覚してもらいたい。

(*)この原稿は、総選挙投開票日の12月14日、午後8時過ぎのテレビ局による出口調査に基づいて書いたものである。



レコードチャイナ 配信日時:2014年12月15日 12時35分
 http://www.recordchina.co.jp/a99059.html

<衆院選>自公で3分の2超え
=「日本とは絶交」「安倍首相のようなリーダーはいいと思う」―中国ネット

 2014年12月14日、中国メディア・新浪は、第47回衆院選で自民党と公明党が3分の2以上の議席を獲得したことを伝えた。

 今回の衆院選は、475議席のうち自公が325議席を獲得する大勝だった。
 報道は、その要因について、
 「最大野党の民主党の力不足で有権者に選択肢がなかった。
 しかし、これにより安倍政権の基盤がより強固になったことは否定できない」
としている。

 今回の選挙結果に、中国のネットユーザーはどのような反応を示したのか。
 中国版ツイッター・微博(ウェイボー)には以下のようなコメントが寄せられている。

「予想通り」
「他国の内政には干渉しない。
 誰がトップになろうと関係ないこと」

「安倍は中国に対してより強硬な姿勢に出てくるだろう。
 なぜなら、安倍は習近平が戦争できないことをよく理解しているから」
「中国の政治家が安倍を嫌いなだけだろう?」

「つまり、多くの日本国民が安倍首相を支持したということか。
 中国は日本と絶交した方がいいのでは?」
「自公の圧勝はアベノミクスへの信任ではなく、集団的自衛権の解禁や平和憲法の改正、靖国参拝、歴史修正主義などが評価されたのだ」

「自国のことを考える政治家が勝利したというのは当然の結果。
 中国にとっては憎き相手だが」
「中国人が安倍を嫌いだからといって、日本人が安倍を嫌いだとは限らない。
 安倍は日本人の考え方や利益を考慮している。
 こういうリーダーはいいと思う」

「中国は日本人に安倍首相を引きずり降ろしてほしいと願っているが、それは現実的ではない。
 日本人は歴史問題などに興味はなく、気にしているのは経済だけ」


 外からみるとき、
 民主党政権を徹底攻撃して引きずり下ろしたのは中国
だった。
 中国はなんやかんや言っても自民党と相性がいいようだ。
 そのせいか、
 今回は全くと言っていいほど選挙中に自民党攻撃をしなかった。 


レコードチャイナ 配信日時:2014年12月20日 6時23分
http://www.recordchina.co.jp/a99347.html

<総選挙>
 安倍自民党の勝利に熱狂はなく『賞味期限』は短い?
 統一地方選や参院選が『直近の民意』として政権批判に使われる―京大教授

 2014年12月19日、日本の政治動向に詳しい待鳥聡史京都大学大学院教授は
 「衆院選後の日本―民意をどう読むか」
と題して、日本記者クラブで講演した。
 「総選挙での与党勝利に熱狂はないように見える」
と指摘した上で、
 「来年4月の統一地方選挙、再来年夏の参議院選挙で今回と違った方向での結果が出れば、それが『直近の民意』として政権批判に使われ、「(与党大勝の)賞味期限は短いかもしれない」
との見通しを明らかにした。
 発言要旨は以下の通り。

 総選挙で自民党、公明党の与党が勝利したが、消極的な支持であり、世論調査を見ても、安倍政権への支持率は低下しており、与党勝利に熱狂はないように見える。

 第三党以下の政党の議席占有率は低下し、いわゆる第三極への志向の終えんといえる現象が起きた。
 これは今回の選挙による最大の変化といえよう。
 再び2大政党制に近くなった。

 今回の勝利によって安倍政権の基盤が強まり、長期政権が既定路線になる、との予測があるが、与党は選挙前から衆院3分の2を確保しており、その状態が継続することになったに過ぎない。

 今回の総選挙の結果はすぐに「過去の民意」にされ、
 「賞味期限」は短いかもしれない。
 制度的には来年4月の統一地方選挙、再来年夏の参議院選挙で今回と違った方向での結果が出れば、それが「直近の民意」として政権批判に使われる。
 今回総選挙のように民意を確認するという理由で選挙を行うと、それに反論しにくくなる。
 日本の政治制度では衆議院選挙にどれだけ大勝しても、その効果は長続きしない。

 「賞味期限内」に統一地方選や参議院選で与党が負けないための政策が重視されることになろう。
 経済政策について、アベノミクス「第3の矢」(TPP交渉の積極的推進を含む構造的変革による成長実現)は進めにくい。
 消費税率引き上げも同様だ。
 さしあたり、現在の有権者、与党の伝統的支持基盤への配分を重視することになろう。

 野党再編については、統一地方選挙で「大阪都構想」の行く末が見えれば、民主党と維新の党が提携する上での障害は小さくなる。
 民主と維新を合算すれば、2005年の総選挙後の民主党とそれほど変わらない勢力になる。


 分かっていないようだから書いておこう。
 繰り返すが今回の総選挙に争点はない。
 アベノミクスとか消費税とか言っているが、これはお祭りを華々しくするだけの打ち上げ花火
 この総選挙は、あくまで対外的なもの。
 対中国への日本の顔を変えないための儀式にすぎない。
 いわゆる「認証式」みたいなものであると見たほうが正解。
 日本人は対外マスクをこれまでやってきた安倍さんに託して、それを承認したということである。

 国内問題は何らの争点ではない。
 アベノミクスなどはどうでもいいのである。
 やってみてうまくいけばそれにこしたことはないが、もし失敗しても「そんなもんだろう」と納得するだけのもでしかない
ということである。

 いまの日本は「中国という強圧」にさらされている。
 それにどう対処していくかが最大の問題事となっている。
 これまで安倍さんはそれに打ち勝つことはないが、そこそこうまくやってきた。
 よって、
 「あと4年間、彼にこの仕事を受け持たせてみよう」
ということである。
 それがこの選挙の意味である。
 下手に新規な顔をもってくるより、旧来の顔のほうがいい、という判断だということである。
 ということは、この2年間
 「安倍さんは対中国問題に関して、及第点を挙げた」
と日本人が思っているということでもある。
 



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