2014年11月13日木曜日

「中国朝貢制度」の復活(1):韓国はその「朝貢国」第一号の大名誉を受けられるか?

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2014.11.13(木)  Financial Times
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42197

他国の首脳をかすませた「ロックスター・オバマ」
衰退する大国のレームダック大統領がまだ世界を魅了する理由
(2014年11月12日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 米国のバラク・オバマ大統領がアジア太平洋経済協力会議(APEC)・CEOサミットで檀上に立つと、聴衆の間に興奮の渦が広がり、満員の会場が光を放つスマートフォン画面の海と化した。

 国の支配下にある国家主義的な中国メディアの社説が「レームダック」大統領の「退屈な陳腐さ」や、自由民主主義と「怠惰な」米国の衰退について何を書こうと、
 オバマ氏は中国でロックスター
なのだ。

■プーチン大統領のスピーチと対照的な反応

 聴衆の反応は、オバマ氏の前に同じ会場で行われたロシアのウラジーミル・プーチン大統領のスピーチと全く対照的だった。
 プーチン氏の講演では、聴衆がはるかに少なく、誰も同氏と自撮り写真を撮ろうとしなかった。

 前日に講演した中国の習近平国家主席でさえ、
 大半が中国人の聴衆がオバマ氏に浴びせた興奮と熱心な関心には、遠く及ばなかった。
 この対比は、ビジネスイベントでの人気コンテストにとどまらない。

 言論の自由から労働者の権利、人権まで、さらにはオープンで透明性の高い政治制度から多様性の賞賛まで、
 オバマ氏は余裕のある中国人の親の大半が勉強するために子供を米国に送りたがる理由の本質をとらえた。

 一方、アルメニアも参加する可能性がある、ロシアとベラルーシ、カザフスタンの新たな合意について説明し、会場のCEOたちにロシアに来て投資するよう呼びかけた時、プーチン氏はむしろ、規模が小さく、天然資源に恵まれた、衰退しゆく大国の指導者のように聞こえた。

■朝貢制を彷彿させる中国のビジョン

 地域と世界に向けた習氏の宣伝文句は、それと同じように一面的だった。
 この数年間、攻撃的な領有権の主張で近隣諸国を脅かした後、中国政府は今、数十億ドル規模のインフラ投資計画と「新シルクロード」と「海洋シルクロード」という交易路の創設で隣国を魅了しようとしている。

 この気前のよさは、習氏が大まかに
 「中華民族の偉大な復興」として定義している「中国の夢」の一環だ。
 他の大国や小国にとって、このスローガンの意義は過去2年間で次第に明白になった。
 中国政府が国際関係のあるべき姿についての自国の見解を主張したからだ。

 多くの多様な国の外交官は、中国政府が最近やることはすべて、他国、特にアジア太平洋地域の国々を、
 古代の中国王朝の秩序と似た制度の下で
 朝貢する従属的プレーヤーの役割に就かせることを意図している
ように見えると話している。

 今週のAPEC会合は、2008年のオリンピック以降、中国が主催した最大のイベントであり、習氏が2年前に権力を握って以来、習政権が大規模な国際サミットを主催したのは今回が初めてだった。

■他国の首脳を貶め、習主席を持ち上げる演出

 習氏のことを外国の首脳から貢物を受け取る慈悲深い皇帝として描く中国国営メディアの描写
は恐らく、APEC会合から出てきた最も際立つイメージだろう。
 外国の要人の写真と動画は大抵、彼らの地位を貶めながら習氏を持ち上げるよう計算されているように見えた。

 オバマ氏が北京に到着した時、飛行機の外で両脇に列を作った中国人兵士は全員、同氏より背が高かった。
 オバマ氏の身長が1.85メートルであるにもかかわらず、だ。
 別の映像は、あたかもオバマ氏の脆さを強調するかのように、中国人高官とがっしりした警備員に囲まれ、側近を1人も携えずに歩いている姿を映していた。

■3年ぶり日中首脳会談、「関係改善へ第一歩」と安倍首相

 もう1つの例が、習氏と握手するのを待つ間、反省している生徒のようにカメラの前に立たされた日本の安倍晋三首相の儀式的な屈辱だ。

 外交官らは、中国は、かつて皇帝がやったように、
 指導者との面会を国際的な交渉の取引材料として使う数少ない国の1つだと言う。

 中国はインフラ投資計画で、中国がその中心に位置し、地域随一の大国として認められる、復活した朝貢制度のビジョンを受け入れる気のある国に誘引を与えている。

 オバマ氏はそれとは違うものを提供している。
 現代の大半の時期を通して米国のソフトパワーを支えてきた普遍的な価値観である。
 米国の衰退とオバマ氏の国内政治問題がどれだけ騒がれても、
 米国と米国の大統領は世界の大部分にとって、
 中国の指導者が夢見ることしかできない魅力を維持している
のだ。

By Jamil Anderlini in Beijing
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2014年11月12日10時15分 [ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
http://japanese.joins.com/article/j_article.php?aid=192575&servcode=100&sectcode=120

【コラム】中国が世界の中心になろうとすれば

  9月初めのことだ。
 王毅・中国外相が中国外交学院の2014~2015年度の始業式に参加して演説をした。
 彼が話した、中国が今まで到達してみたことがないという3つのケースが目を引いた。
 彼は
 「中国は、
★.今のように世界の舞台の中央に近づいてみたことがなく、
★.今のように国際事務に全面的に参加してみたことがなく、
★.また今のように世界の平和と発展を守る重要な責任を引き受けてみたことがない
と話した。
 中国がアジアの中心を超えて、今は世界の真ん中にそびえ立っているという話だ。
 そのためなのか。
 外国首脳の北京アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の出席を、一部の中華圏メディアは
 「万国来朝(各国の使節が中国を訪れる)」
と表現する。

  中国は世界の中心になっているのか。
 そうではないと話す人もいる。
 米国の著名な中国専門家デビッド・シャンボー(David Shambaugh)がそうだ。
 彼は中国の影響力は要するに誇張されているのだと主張する。
 せいぜい観光産業、ぜいたく品の販売のような一部の分野だけで国際的な影響力を行使しているだけだ。
 外交の歩みは偏狭な自国の利益追求だけに没頭する。
 だから国際的な安保問題には消極的だ。
 ソフトパワーもまた他国の模範にならない。
 中国が世界を支配することは決してないというのが、彼が著作『中国、世界に向かう』を通じて下した結論だ。

  しかし中国の台頭は誰も防げないという話があるように、
 中国の成長それ自体は否めないのが現実だ。
 中国市場を無視する国がないように、中国を無視できる国もまた今はない。
 シャンボーが、いくら中国は米国と同じような超強大国になるには行く道が遠いと展望しても、中国は王毅の話のように世界の中央に向かって一歩一歩踏み出している姿だ。

  中心になるというのは、どういう意味だろうか。
 漢字の「中」は、風にはためく旗を表わすものだ。
 昔の人は自身の部族を表わすために旗に象徴となる印を描き入れた。
 そして重大なことが起これば、広い場所に旗(中)を立てて人を呼んだ。
 あちこちから人々が集まれば、旗のささった場所が中央になる。
 「真ん中」という意味が出てきた背景だ。
 中央・中心は、どちらか一方に偏るということがないという意味を持つ。
 合わせて自らバランスを取ることができる力が必要であることをいう。
 公平無私は力と共にある。

  中国が世界の中心になるというのは、
 力を備えた中国が世界に強力な影響力を行使する
という意味とつながる。
 早くからこうした時代を展望した人がいる。
 マーティン・ジャック(Martin Jacques)は『中国が世界を支配したら』という著書で、中国が世界を支配する場合にあらわれる「17の変化」を挙げた。
 世界の首都がニューヨークから北京に遷都し、人々は時計を北京時刻に合わせることになる。
★.中国は世の中を人種と文化に土台を置いた位階秩序の観点で眺め、
 国際社会は中国を中心にした新しい形態の朝貢制度が登場
する風景を目にすることになるだろうと彼は展望した。

  中国の第5世代の指導者である習近平は「中国の夢」を叫ぶ。
 3つの内容だ。
 国家富強と民族振興、そして人民幸福。
 人類全体の繁栄には言及されていない。
 彼のチャイナドリームは、いまだ中国国内レベルにとどまっている。
  中国が王毅の話のように世界の中心に近づいているならば、中国は次のような声にさらに耳を傾けるべきではないかと思う。

  まず、隣接国との紛争処理に対する中国の基準を明瞭に整理する必要がある。
★.中国はいつも「平和に共に過ごそう(和平共処)」と話す。
★.それと共に中国の核心利益は絶対に譲歩できないと強調する。
 この2つの言葉からは調和を作り出すことはできない。
 典型的なケースが、中国が東南アジア諸国と紛争している「南中国海」問題だ。
 領有権の争いが海洋資源の争奪戦と共に行われている。
 習近平の周辺国外交政策の根幹は、
 「隣国と親しく過ごして誠実に接し、恩恵を与えて包容する」
という「親・誠・恵・容」だ。
 恩恵を与えると言うが、行動はいつも中国の利益のために戦う姿だ。
 西海(ソヘ、黄海)海を覆う中国漁船の違法操業について中国当局がどれだけ取り締まりの手を差し出しているのか疑問を感じる。

  もう1つは、人類全体の安全のために中国がさらに積極的に出なければならないという点だ。
 代表的なのが北核問題だ。中国の対北朝鮮の圧迫が以前に比べて強度が高まったのは事実だが、
 中国は北核危機を根本的に解決するには力不足だ。
 中国は内政不干渉の原則を取り上げて中国の役割の限界をいう。
 しかし裏面では北朝鮮を大きく圧迫すると中国にとって特に得することがないという現実的な利害関係に土台を置いた思考が働いているのが事実だ。

  中国が国益を追求するのは当然だ。
 しかし自国の利益追求だけで世界の中心になることはできない
 世界と世界の人の心をつかまなければならない。
 そうするためには皆の「公共善」の追求にさらに多く寄与しなければならない。
 この場合、中国の国益が多少損害をこうむるかもしれないが、これは少しの間の損害だ。
 中国は世界の人の心をつかむという、さらに大きな利益を得るためだ。
 中国がアジアでそうやって長く朝貢制度を維持できた秘訣の1つは、隣接国からの尊重を受ける代わりにいつもより多くのものを施したところにあった。


 朴大統領の生きる道は「中国傾斜」しか残されていない。
 貿易の1/4以上が中国相手となれば、それ以外の道を模索する手段はない
 経済システムがこうなっている今、已む得ないだろう。
 その根底にあるのは
 「努力しないで儲ける方法」
である。
 コツコツと企業改革をするほど韓国民族は忍耐強くない。
 激情にかられて動くというのは、いまあるもので手っ取り早く稼ぐということでもある。
 韓国は中国最初の「朝貢国」の名誉を受ける
ことになるだろう。
 もはや、それを進むしかない。
 たとへ地獄の底に導く道であっても、それしか歩む道がない。
 中国は生き残るだろうが、韓国は生き残れるだろうか。
 いまは輝ける韓国でも先はロウソク1本の明かりかもしれない。


レコードチャイナ 配信日時:2014年11月13日 12時2分
http://www.recordchina.co.jp/a684.html

韓国の大企業は中国市場頼み、ますます高まる依存―中国メディア

 2014年11月12日、新華社によると、財閥企業や最高経営責任者(CEO)、企業経営実態などを専門的に評価する韓国のサイトは11日、
 「サムスンやLG、ヒュンダイなど韓国大企業の中国市場への依存が高まっている」
と指摘する報告書を発表した。
 調査対象は韓国企業上位200社に入っている38社。

 営業所得の統計から、
 2013年の中国市場における各社の売上高は総額145兆1500億ウォン(約14兆5150億円)で、
 2011年と比べると34.6%増加した。
 また、企業の全体的な営業所得も平均19.9%増加しており、
 「中国市場がこれら企業の成長を促している」
と指摘されている。

 全体的に見ると、調査対象となった企業の売上高の17.5%が中国市場によるもので、
 2011年と比べて1.9ポイント増えた。



2014年11月13日09時44分 [ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
http://japanese.joins.com/article/j_article.php?aid=192635&servcode=100&sectcode=120

【コラム】「用中」の知恵が韓国にあるのか

  政治家が漁村を通り過ぎる時、カニを獲る姿を見た。
 ところがカニを入れておくカゴにはふたがなかった。
 理由を尋ねたところ、漁夫はそっけなく答えた。
 カニが逃げようとしてはい上がれば、下のカニが引っ張るということだった。
 ふたをしなくてもカニが脱出できない理由だった。
 突然笑い話をするのは韓中自由貿易協定(FTA)のためだ。
 果たして韓国は中国の巨大な磁場の中で生き残ることができるのだろうか、
 もしかすると中国の顔色を見ながら生きることにならないだろうか
という心配のためだ。

  誤解しないでほしい。
 決して韓中FTAに反対するのではない。
 むしろいま妥結したのが遅いと感じている。
 韓中FTAは我々の生存戦略であり、成長動力であるのは間違いない。
 中国の巨大な内需市場は、低成長に苦しむ韓国経済の突破口となる可能性がある。
 新しいビジネスチャンスの創出で新しい成長動力も生じる可能性がある。
 さらに韓中FTAは韓米FTAとともに米中の角逐の間でテコとして使うことができる。
 時には米国を活用して中国を牽制し、
 時には中国と協力して米国の圧力を防ぐことができる。

  問題はこれが我々にかかっているという点だ。
 それほどの知恵と能力が我々にあるのかという疑問だ。
 生存戦略は崩壊の道につながる危険をはらんでいる。
 中国の強力な磁場に力なくのみこまれれば、以前のように
 属国に転落する可能性
も排除できない。

  よく考えてみよう。
 中国は我々の最大貿易相手国だ。
 2004年に米国を抜いたため、11年連続だ。
 それも圧倒的1位だ。
 昨年、対中国輸出依存度は「26.1%」と、過去最高だった。
 対米国依存度(11.1%)の2倍をはるかに超える。
 貿易黒字依存度はさらに深刻だ。
 昨年の貿易黒字総額は440億ドルだった。
 しかし対中国貿易黒字は628億ドルと、これよりはるかに多い。
 中国で稼いだお金で他国との貿易赤字も埋め、経済成長もした
ということだ。
 韓中FTAはこの流れを加速させる。
 そうなれば? 
 中国が“厄介な上司”に変わるのは時間の問題だ。
 我々はすでに“厄介な上司”を経験している。
 1980-90年代の米国だ。
 当時の米国は「貿易報復」と「開放圧力」として記憶されるほどだ。
 無礼と強要が相次いだが、我々は耐えるしかなかった。
 米国に輸出して稼いだお金で暮らしていたからだ。
 それで得たものは?
  「善良な強大国」も国益のためなら暴力を辞さないという教訓だった。
 言葉の裏には強い拳が隠れている
ということも。

  中国も変わらないだろう。
 中国を動かすのは自国の国益であり、世界の利益ではない。
 まして韓国の利益など…。
 FTAが成功すれば成功するほど対中依存度は高まる。
 自然に中国は以前の米国のように変わるだろう。
 FTAの成功と厄介な上司はコインの裏表という意味だ。
 このようになれば、
 中国の無礼と強要は拒否できなくなる。
 中国がくしゃみをすれば風邪をひくしかない韓国が何をどうするというのか。
 アジアの盟主をめぐり米中の角逐が激しくなるほど、なおさらそうだ。
 「誰の側か」と二者択一を迫られる日がくる可能性がある。
 そういえばそのような動きはすでに始まっている。中国が強く推進しているアジアインフラ投資銀行(AIIB)とアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)がそうだ。
 参加しろという中国と、参加するなという米国の声が衝突し、我々は進退両難となっている。
 認めたくないが、これが我々の現実だ。

  しかし現実を認めてこそ解決策が出てくるものだ。
 瞬間的な感情で親中反米や親米反中に流れてはいけない。
 嫌中や嫌米はなおさらだ。
 目ざとくなる道しかない。
 2つの強大国の間で綱渡りがうまくなければならない。
 我々の国力が今より倍以上大きくなるまでは。
 力があれば誰も手を出さないという道理は国も同じだ。

  問題はこれが可能かどうかだ。
 我々に「用中」と「用米」の知恵があるだろうか。
 どうみてもなさそうだ。
 高難度のゲームはさておき、難易度の低いゲームさえ解けなにから心配だ。
 答えがはっきりと見える公務員年金と無償福祉の改革もできずにいるではないか。
 カニのようにお互いを引きずりおろせば、矛盾と足かせからの脱出はできないにもかかわらず。



レコードチャイナ 配信日時:2014年11月13日 8時38分
http://www.recordchina.co.jp/a97336.html

中国主導の貿易圏構想に韓国が賛意表明、米国は不快感示す―中国紙

 2014年11月12日、環球時報(電子版)によると、中国が主導して実現を目指す「アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)構想に対し、韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領がアジア太平洋経済協力会議(APEC)で賛意を表明したことについて、米国は不快感を表明した。

 韓国・聯合ニュースによると、朴大統領はAPEC首脳会議で発表した談話で、中国主導によるFTAAPのロードマップに賛意を表明。
 米国は不快感を表明した。韓国・ソウル経済は米韓首脳会談が
 「多くの苦労を乗り越えて」ようやく実現したにもかかわらず「わずか20分で終了した」
と報道。
 「韓国政府の関係部門が時間をきちんと把握していなかった」とした。

 一方、韓国外交通商部報道官は11日、記者会見での
 「韓国は中国に傾きすぎているのではないか」
との質問に対し
 「どこかの国に傾いているとの言い方は不適当だ。
 韓国は一貫して中国を戦略的パートナーととらえ、外交目標の実現に向け努力している」
と答えた。



朝鮮日報 記事入力 : 2014/11/14 08:47
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/11/14/2014111400680.html

APECは朝貢!? 
人民日報の表現に「行き過ぎ」との指摘

 「万邦来朝」―。
 全ての周辺国(万邦)が朝貢のため、中国を訪れるという意味だ。

 漢族による王朝で最も栄えた唐代によく使われた表現だ。
 しかし、中国共産党機関紙の人民日報がアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の終わった12日に「万邦来朝」という表現を使ったことから論議を呼んでいる。
 人民日報系ニュースサイト「人民網」は同日、APECの夕食会の模様を紹介し、
 「多くの人々が『万邦来朝』を感じた」
と書いた。
 APEC加盟21カ国・地域の首脳と習近平国家主席の会談が過去に朝貢に訪れた国々を連想させるというわけだ。

 人民日報系の国際ニュース紙、環球時報も同日、
 「過去東アジアには
 中国を中心とする朝貢体制
があった。
 万邦来朝は中国の歴史上、最も輝ける時代だった。
 過去の朝貢体制は東アジアに安定と繁栄をもたらした」
と評した。

 ただ、環球時報の社説は
 「西側の敵対勢力が『中国脅威論』をたきつけようと、APEC期間に『万邦来朝』という比喩を使った。
 これは中国のイメージを低下させようという術策だ」
とし、「万邦来朝」を批判するかのような形式を取った。
 しかし、内容的には万邦来朝を賛美するものだった。
 しかも、敵対するどの勢力が「万邦来朝」という表現を使ったかについて、社説で触れなかった。

 これについては、「行き過ぎ」ではないかとの指摘が一部から得ている。
 海外華人メディアの多維新聞網は13日、
 「環球時報が『万邦来朝』という表現を用いたこと自体が不必要な誤解を生むものだ」
と批判した。
 「(中華)民族主義の感情を刺激する報道だ」
とも書いた。
  唐の太宗は「天下の英雄が自分の懐に入った」と存在感を誇示する必要があったが、現在はそんな時代ではないとの指摘だ。

 一方、APEC首脳会議を終えた中国が香港の大規模デモを強制排除する準備を整えたとの分析も聞かれる。
 香港紙星島日報は、香港政府が13日以降、警察官約7000人の休暇を取り消したとし、14日にも市街地を占拠しているデモ隊を強制排除する作戦を開始するとみられると報じた。

 香港行政長官の完全な公選制を求める民主化デモは既に7週目に入っている。
 習近平主席は12日、オバマ米大統領に対し、
 「香港のデモは違法だ。香港当局の法執行を支持する」
と述べた。


朝鮮日報 記事入力 : 2014/11/16 08:44
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/11/15/2014111501830.html

【コラム】中国に幻想を抱くのはまだ早い

 昨年11月末、オーストラリアのキャンベラで行われた第3回中豪フォーラムで激論が交わされた。
 中国は米豪同盟に対し
 「冷戦の産物だ。中国の主権と核心利益を侵害する」
と集中砲火を浴びせた。
 オーストラリアもこれに対抗し
 「東シナ海や南シナ海の緊張緩和のため腹案を示せ」
と反撃した。

 中国もたじろがなかった。
 ある出席者は
 「米国は時々、同盟国を動員してわれわれに圧力を加えるが、オーストラリアはよく考えるべきだ。
 米国は相手の立場を考慮せずに瞬時に言葉を変えることがある」
と言った。
 「オーストラリアが今のように米国の犬のような役割ばかりしていたら中国とは疎遠になる。
 そればかりか飼い主の米国からも突然、捨てられるかもしれない」
という意味だ。
 「米国は戦略的同盟、中国は経済パートナーという見方そのものを変えなければならない」
 「両国関係は戦略的信頼の有無によってハッピーエンドになるか、悲劇に終わるか分からない」
と脅す中国側の人物もいた。

 このフォーラムには中国からは李肇星元外相、オーストラリアからはピーター・コステロ元財務相ら両国の元官僚・現職官僚や経済専門家など約50人が出席した。
 つまり実質的には両国政府を代表する人物が会談する場だったのだ。

 このような場で中国が露骨に攻撃に出たのには理由があった。
 中国は同フォーラムの1週間前、周辺国と紛争を抱える東シナ海に突然、防空識別圏を設定した。
 オーストラリアはこのとき「力による一方的な現状変更の試み」だとして、防空識別圏が重なる韓国や日本以上にこの措置に激しく抗議した。
 ただでさえオーストラリアの外交に不満を持っていた中国は、これをきっかけに積もり積もっていた不満を爆発させたのだ。

 オーストラリアの対中輸出は昨年の
 「輸出全体の36.1%
を占めており、中国への経済依存度が韓国よりもはるかに高い。
 韓国のように中国との自由貿易協定(FTA)締結を目前にしているため、
 当然中国の顔色を見ながら慎重にならざるを得ないと思われるが、実際は正反対だ。

 オーストラリアは2011年、南シナ海に面する北部ダーウィンの基地に米海兵隊を常駐配置させ、今年は同地の駐屯兵士を1100人から2500人に増やすことにした。
 さらに、中国と仲の悪い日本が集団的自衛権行使の方針を明らかにした際に積極的に賛成の意を表明、中国と紛争を抱えているインドとも安全保障協力を強化している。

 米国の同盟国を中心としたアジアの国際秩序は、韓国をはじめとする「4頭の竜」を育てた。
 中国もこの秩序のおかげで30年間にわたり高度成長を遂げることができた。
 オーストラリアが経済とは別に外交・安全保障分野で中国と対立しているのは、規模や数の上で優位な中国のせいでこうした秩序が揺らげば自国の国益にならないと考えているからだ。
 シンガポールが米国に
 「中国をけん制するため、アジア太平洋地域の軍備をもっと増やしてほしい」
と要求しているのも同じ考えからだ。

 北朝鮮による韓国海軍哨戒艦「天安」爆破・沈没や延坪島砲撃事件のとき(2010年)よりは改善されているが、中国の国際的な動きはまだまだ不透明だ。
 韓国に参加を要請しているアジア・インフラ投資銀行(AIIB)にしても、出資金の50%を中国が持つ構図になっている。
 こうした例はほかの国際機関にはほとんどない。
 北朝鮮問題でもそうだ。
 中国の主流は依然として北朝鮮を「戦略的資産」と考えており、北朝鮮の核やミサイルに対しぬるま湯的な対応ばかりしている。

 今は韓中関係が良好だとしても、中国に対して幻想を抱いている場合ではないのだ。




【描けない未来:中国の苦悩】






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