2014年9月30日火曜日

台湾:中国との一国二制度「受け入れられない、台湾と香港は状況が異なる」

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ANN ニュース (10/01 08:00)
http://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000035721.html

中国の習近平主席「1国2制度揺るぎない」


 香港で選挙の民主化を求める学生らによる抗議活動が続くなか、中国の習近平国家主席は建国65周年の式典で演説し、「1国2制度の方針を揺るぎなく実施する」と訴えました。

 中国・習近平国家主席:
 「中国中央政府は『1国2制度』の方針と基本法を揺るぎなく実施し、
 香港、マカオの長期的な繁栄と安定を揺るぎなく維持していく」
 習主席は、民主化を求める抗議行動が続く香港の高度な自治を認める「1国2制度」の方針を訴える一方で、「安定の維持」についても強調しました。
 式典には江沢民元国家主席も出席し、一部報道で流れていた健康悪化説を否定した形です。



サーチナニュース 2014-09-30 21:01
http://news.searchina.net/id/1544751?page=1

中国・習近平主席が一国二制度に言及
・・・台湾メディア「受け入れられない」、馬英九総統「受け入れられない」

 中国共産党の習近平総書記(国家主席)は26日、北京を訪れた台湾の「統一派」の一行と会談し、大陸側の主張である「一国二制度」による統一が「もっともよい方法」と述べた。
  中国の指導者は長期にわたり「一国二制度」を口にしなくなっていた。
 中国時報系のニュースサイトの中時電子報が「香港は香港、台湾は台湾」と習近平発言に反発。
 馬英九総統も「台湾人の受け入れるところではない」と述べた。
 台湾では香港で発生した民主化を求める大規模な抗議運動の影響もあり、対中反発が強まっている。

  中国大陸は1970年代末まで、台湾の「武力解放」を主張していた。
 しかしトウ小平の考えで「平和統一」を目指す方針に転換し、
 1982年には「一国二制度」という、「台湾の経済体制は現状維持でよい」との条件での統一を呼びかけた。
 台湾は取り合わなかった。
 「一国二制度」は、1997年に英国から返還された香港と、99年返還の澳門(マカオ)に適用されることになった。
   中国側が台湾に対する「一国二制度」を撤回したわけでないが、馬英九政権が発足したころから、「一国二制度よる統一」に言及することが少なくなり、「(台湾海峡の)両岸はひとつの家族」など、現状を変更する意志をにじませずに両岸に住む人々を「同胞」などと強調する言い方を使うようになった。
 そのため、習総書記が改めて「一国二制度」を持ち出したことで、注目が集まった

  台湾では大陸側に対する警戒が強まった。
 親中的な論調が目立つとされる中国時報系のニュースサイトの中時電子報も、習総書記の発言に反発した。
 まず、「台湾の民衆が受け入れられないのは当たり前」と指摘。
  香港では、大陸側が主張してきた「一国二制度」が、民主化要求の大きな高まりにより
 「権威、さらに人々の信頼を失う」という“試練”に直面
していると言ってよい。
 習総書記は、台湾の統一派を力づけると同時に、「一国二制度」という政治概念の「生命力」を復活させようという目的で発言したと考えられるが、中時電子報は「香港は香港、台湾は台湾」として、両地域の状況は全く異なると主張し、習近平発言に反発した。
  中時電子報はまず、香港は「都市」であり、つねに大陸と密接なつながりがあった(切り離されることはなかった)と指摘。
 さらに香港は、「植民地としての歴史を続けた後に、祖国という『大家庭』に戻ってきた」と論評。
 一方の台湾は、オランダ、明末・清始の鄭成功政権、清、日本という統治者が次々に交代する複雑な歴史を経て、いったんは異民族による統治を脱したが、海峡両岸に再び異なる政権と異なる意識形態が発生することになり
 「60年以上、冷戦対立が発生し、部分的には軍事衝突も発生した」
と指摘。

 さらに台湾については、1949年以降は中華民国の主要な領土であり、大陸側が認める認めないには関係なく
 「一貫して事故の憲法、国号、国旗、中央政府、軍、完成され独立した政治経済制度を保持してきた」、
 「民主化以降は普通選挙を通じて、それまで以上に強い共同体意識を凝縮させた」
と論じた。
  論説はさらに、香港が中国に復帰する際には、「香港特別行政区基本法」により「一国二制度」を導入することができたが、台湾では「一国二制度」の導入と、1947年以来、50年以上にわたり台湾で実施されている「中華民国憲法」とは両立不能だと述べた(解説参照)。
  馬英九総統も、「われわれは一国二制度を受け入れないと表明してきた」と指摘。
 自らの言葉として
 「よい制度なら、1国に制度は1つでよいはずだ」
と、「一国二制度」との考え方にはそもそもおかしな点があると論じた。
 馬総統は具体的には論じなかったが、
 国民党には「中国大陸はいずれ、国民党の党是である『三民主義』の社会になる」との考え方があり、
 中国はむしろ、台湾側に体制を合わせるようになるとの考えと言ってよい。

  馬総統は、「双方とも『1つの中国』の立場は堅持しつつ、
 具体的解釈はそれぞれで異なることを認める(一中各表)」ならば受け入れられる」と表明。さらに、「『一中』の『中』が民国を指すならば、台湾では『一中各表』が5割以上の支持を得ている」と主張した。
  馬総統は
 「中華民国はひとつの主権国家であり、みずから総統、国会を選出し、自らの実務を自らが管理している。
 香港とは全く状況が異なる」
との考えを示した上で
 「ただし、台湾は香港について強い関心を持っている。
 香港と台湾の関係は密接だからだ。
 香港の民主化が実現できれば、香港にとっても、大陸にとっても、台湾にとっても大きなプラスだ」
と述べた。

**********

 ◆解説◆
 中時電子報が指摘した、「一国二制度」を受け入れる場合の憲法上の問題は極めて興味深い。
 中華民国憲法は改正について
 「審議の際に全議員の4分の3以上の出席、さらに出席議員の4分の3の賛成が必要」
と定めており、「日本国憲法よりも改正のハードルが高い」などとされているからだ。
  つまり、台湾では政府が仮に「一国二制度」を承認したとしても、憲法改正が議会を通過するとはほとんど考えられない。
 中国側は「平和解放」と「一国二制度」をワンセットにして主張しているが、
 中国側の考え方を論理的に分析すれば
 「台湾の法治制度を無視している」
 あるいは「遠い将来まで実現の可能性はないと自らも分かっている」
としか解釈できないことになる。
   「一国二制度」の習近平発言のタイミングも興味深い。
 26日の発言だが、香港で2017年の行政長官選挙について、中国大陸が決定した「反中国の人物の立候補は事実上不可能」との方式に対する民主派の抗議運動が急速に拡大したのは28日だった。
  台湾では、習近平発言と香港の状況を続けて受けとめることになり、「中国不信」がさらに高まった。
 習近平発言は「きわめてまずいタイミングだった」と言わざるをえない。
 中国側は香港情勢の変化を想定していなかったとみるのが自然だ。
   頼清徳台南市長によると、台湾第2の野党である親民党の宋楚瑜主席が5月に北京を訪問して共産党の習近平総書記と会談した際、習総書記は「国民党は事実と異なるメッセージを送ってきていた」と述べたという。
 そのため大陸側は、台湾で大陸とのサービス貿易協定に対する猛烈な抗議が発生することを、予測していなかったということだ。
  大陸側は香港についても、民意の動向を正確にキャッチしたいなかった可能性が高い。



レコードチャイナ 配信日時:2014年9月30日 8時33分
https://www.youtube.com/watch?v=QQqlHviFLkI

台湾総統、
中国との一国二制度「受け入れられない、台湾と香港は状況が異なる」―米メディア

 2014年9月29日、米国営放送ボイス・オブ・アメリカ(中国語電子版)によると、台湾の馬英九(マー・インジウ)総統は
 「中国との『一国二制度』は受け入れられない。
 しかし、(台湾と中国当局の間で一つの中国問題について達成したとされる)92年コンセンサスは受け入れる」
と述べた。

 馬総統は
 「仮に良い制度であれば、それは一国一制度であるべきだ。
 台湾と香港は状況がまったく異なる。
 中華民国(台湾)は一個の主権国家であり、自らの総統、議員、自らが管理する自らの物を選ぶことができる」
と語った。

馬総統はこのほど、スコットランドの英国からの独立を問う住民投票について、中国共産党が1980年代初めに提案した一国二制度の目標は香港ではなく台湾だと表明。台湾は同制度の受け入れを拒否するとしていた。一方、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は先週、台湾を一国二制度を通じて中国に統一させると改めて強調。「中国はいかなる分裂行為も容認しない」と警告していた。



サーチナニュース 2014-09-30 11:11
http://news.searchina.net/id/1544687?page=1

台湾で香港の民主化要求支持の声高まる
・・・馬英九総統は大陸当局とデモ隊双方に「注文」

 香港では、2017年の行政長官選挙を巡り、西側諸国並みの普通選挙を求める民主派約6万人が、中心部の中環(セントラル)を占拠する事態が続いている。
  台湾では香港の民主化の動きを支持する声が高まっている。
 馬英九総統は29日、
 「中国大陸当局は香港市民の声に耳を傾けるべきだ」
と述べる一方で、市民に対しては
 「平和的かつ理性的な方法で要求を伝えるべきだ」
との考えを示し、双方に「注文」をつけた。

 台湾では戦後、長期にわたり国民党による独裁体制が続いたが、1970年代から民主化を求める動きが強まった。
 最終的には李登輝総統(当時)の決断で、台湾には民主的制度を取り入れることになった。
 さらに、台湾では今年(2014年)3月から4月にかけて大陸とのサービス貿易協定を強引に発効させようとした馬英九総統に反発し、学生らが立法院(国会)を占拠。同協定の審議をやり直させることに成功した。

  台湾では多くの人が、民主的制度を自らの手で勝ち取り、守っているとの意識を持つ
ことから、香港で進行中の事態にも大きな関心が寄せられている。
  台湾のインターネットの書き込みでは、香港の民主化運動を支持する声が圧倒的に多い。
 また、民主化要求の運動に参加する」などの目的で、香港に向かう人も出ている。
 台湾の掲示板PTTの人気投稿者の劉宇さん(アカウントは四叉猫)さんは香港到着後、
 「今日の香港は明日の台湾。私は台湾人だ。私は香港人を支援する」
とのプラカードを掲げた自らの写真を投稿した。
  香港では28日までに、運動を展開する学生ら70人余りが逮捕されたことで民主派は態度を硬化させた。
 現職の梁振英行政長官の辞任を求める声も強まった。

  香港当局は29日、占拠側の激しい抗議活動が小康状態になったとして、機動隊を後退させた。
 当局側は抗議側に対して、できる限り平和的に引き上げるよう求めているが、抗議側は民主化要求のシンボルとなった「傘」を日よけにして占拠を続けている。
 傘の下で寝そべる人もいるという。
  台湾の馬英九総統は29日、香港で行政長官の民主的選挙を求める大規模な抗議運動が発生したことについて「中国大陸当局は香港市民の声に耳を傾けるべきだ」と述べた。
 馬総統は、香港市民の普通選挙を望む声を理解し支持すると表明しり一方で経済への影響を考慮し、市民に対して「平和的かつ理性的な方法で要求を伝えるべきだ」と呼びかけた。
  香港婦女参政ネットの劉家儀主席は29日、台湾の民衆の多くが香港における「セントラル占拠」を支持していることに非常に感動したと述べると同時に、馬英九総統には「がっかりした」と表明。
 「理解する」などと言いながら、中国共産党をはっきりとは非難はしていないと指摘した。
   劉主席は馬総統を「香港人は暴力を受けても(当局と)対峙している。
 馬英九は香港生まれということで、香港人は(総統就任時に)歓迎したのに」と述べ、馬総統を、「裏では、どんなインチキをやっているか分からない」と非難した。

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 ◆解説◆
  馬英九総統は、自らが推進した大陸側とのサービス貿易協定締結に対する、抗議運動の一環として発生した立法院占拠や大規模デモに対して「力による排除」はしなかったが、学生らをはじめとする反対派市民の声に「積極的に耳を傾けた」わけではない。
  学生らが反対したのは、サービス貿易協定の内容そのものだけでなく、民主的手続き上の欠陥だった。
 台湾では、大陸側の協定について、「国と国との関係ではない」という建て前により、「条約」ではないとの扱いだった。
 条約ではないため、発効させるために議会(立法院)の批准は必要でなかった。
 国民党側が、議会のはっきりとした承認を得ずして「成立」と宣言したことで、抗議活動が本格化した。
 学生が立法院の占拠をやめたのは、同じ国民党でも、馬英九総統(党主席)と厳しく対立している王金平立法院院長が、学生らの求めに応じ「まず、大陸との協定の発効には立法院の採決を必要とするルールを作る。
 その上で、サービス貿易協定の審議をやりなおす」と約束したことが、直接のきっかけになった。
 王院長は馬総統の同意を得ず、学生に独断で約束したとされる。



サーチナニュース 2014-09-29 15:53
http://news.searchina.net/id/1544596?page=1

台湾・馬英九総統
「防空識別圏を設ける際には、通告すべきだ」、
「中国はしなかった」

 台湾の馬英九総統はこのほど、カタールの衛星テレビ、アルジャジーラの取材を受け、
 「防空識別圏を設定する際には相互に通告しあうべきだ」
と述べた。
 中国が2013年11月に東シナ海での防空識別圏を設定した際には「通告がなかった」と指摘し、通告がない場合には「戦火を招くことになりかねない」と述べた。
 中国新聞社などが報じた。

  馬総統は、中国が2013年11月23日に東シナ海における防空識別圏の設定を宣言したことについて
 「事前の通告はななった。
 台湾を含め多くの国と地域にとって想定外だった。
 その後、米国、日本、韓国、台湾も措置を取ることになった」
と説明。
  防空識別圏の設定については
 「国際法上の制限はない」
とした上で、
 「私は通告して、皆に知らせるべきだと思う」
と述べた。
 馬総統によると、防空識別圏内では、国防についての何らかの予防性措置を取ることになる。
 そのため相手側も事前に準備をしておく必要がある。
 準備をしていない場合、「戦火を招くことになりかねない」と述べた。

 馬総統は、
 「中国大陸はもともと、東シナ海の防空識別圏設定の後、南シナ海にも(防空識別圏を)設定することになっっていたが、とりやめている」
と説明。
 東シナ海における防空識別圏の設定のやり方が、各方面からの極めて強い関心を集めたからとの分析を示し
 「中国大陸側にとっては、よいことではなかった」、
 「彼らも、国際社会にはやはり一連のやり方の規範というものがあり、それらをないがしろにはできないと、少しずつ分かってきているのだろう」
と述べた。

 台湾(中華民国)は中国が東シナ海の防空識別圏設定を宣言した翌日の2013年11月24日、同宣言が釣魚台(尖閣諸島の台湾側呼称)が中華民国領土である事実に何の変更ももたらさないと主張する声明を発表した。
   同声明では、中国大陸が発表した防空識別圏が台湾側の防空識別圏と重なり合う部分があるとして、
 「わが国軍は、東シナ海平和イニシアチブを順守し、争いを平和的に解決する。
 同時に適切な処置により、わが空域の安全を確保する」
と主張した。

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◆解説◆
  「東シナ海平和イニシアチブ」は馬総統が2012年8月5日に発表した、尖閣諸島を巡る領有権争いに対する提案。
 「各国が自制し、対立をエスカレートさせない」、
 「主権についての争議は棚上げする」、
 「対話のパイプを放棄しない」、
 「国際法を巡視し、平和的方法で問題を処理する」
などを主張している。
  中国大陸は一時、尖閣諸島の問題がエスカレートしたことで台湾との「共闘」を求める声があったが、馬総統は否定的見解を示し、
 「中国大陸のように力だけで押していく方法で、問題の解決は得られない
と批判した。
 また、中国の尖閣諸島に対する領有権主張の論法は
 「釣魚島(尖閣諸島の中国側通称)は台湾の一部である。
 台湾は中国の一部である。
 ゆえに、釣魚島は中国の一部である」
なので、台湾では同問題に対する中国の取り組みは
 「台湾に自らの主権を及ぼそうとする意図がある
との警戒の声も出た。



サーチナニュース 2014-10-21 10:31
http://news.searchina.net/id/1546502?page=1

台湾軍:ハープーン・ミサイルを潜水艦から発射
・・・標的に命中、初の試みに成功

 台湾軍は18日、潜水艦からのハープーン・ミサイル試射を実施。2発発射して、いずれも水上の標的に命中させた
 台湾メディアの中央晩報は「わが国の潜水艦部隊は、水上の艦艇を遠距離から攻撃する能力を得た」と評した.


  アップルデイリー(台湾)によると、米国国防省は2008年時点で、同国連邦議会に対して台湾に対して潜水艦から発射するタイプのハープーン・ミサイル36発(うち4発は訓練用)を売却すると報告。
 台湾に売却する同ミサイルの射程は120キロメートルで、台湾が保有する魚雷の射程を大きく上回るという(さらに遠距離までのこうっげきが可能との説もある)。
  軍側は詳細を発表していないが、台湾南沖の九鵬海域で海龍級潜水艦がハープーン・ミサイル2発を試射し、いずれも水上の標的に命中させたという。
 ただし、ハープーン・ミサイルを使用しても、敵側に潜水艦の位置を捕捉され、航空機による攻撃を受けるとして、同ミサイルの導入がそのまま戦力増強にはつながらないとする台湾の元軍関係者の意見もある。
 台湾のハープーン・ミサイル試射成功は20日になり中国メディアも報じた。
 ただし、おおむね台湾における報道の引用であり、特に論評は加えていない。

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◆解説◆
  台湾ではこのところ、潜水艦戦力についての注目が集まっている。
 海龍級は1980年代にオランダから購入したズヴァールトフィス級潜水艦の改良型だ。
 当初計画では6隻を購入するはずだったが、中国が大使引上げなどオランダに強い圧力をかけたため、計画が縮小されたとされる。
   米国は台湾に潜水艦搭載型の対空ミサイルの売却はしているが、潜水艦そのものの売却には応じていない。
  そのため台湾軍部は今年(2014年)10月になり、米国の軍需産業企業関係者に、台湾が潜水艦を自主的に開発する意向を伝え、協力を要請した。
  台湾が国防の充実を図る際、「中国への対抗を想定」とは敢えて言わないなど、慎重に言葉を選ぶ場合が多いが、“仮想敵は中国大陸側”と考えていることは明らかだ。


サーチナニュース 2014-10-29 16:49
http://news.searchina.net/id/1547421?page=1

台湾「国家安全上の理由」で禁止
・・・一定地位の公務員、大陸に赴いての教育機関などでの受講

 台湾の馬英九政権は10月30日から、現職の公務員、国家安全局、国防部、調査局の職員が中国大陸に赴いて、教育機関などで受講することに制限を設ける。
 事実上の禁止令となる。
 理由は「国家安全上の問題」という。
 台湾側では聯合報、中国大陸側では中国新聞社が報じた。

  民進党の邱議栄立法委員(国会議員)が2013年末、公務員が大陸に行き、大学など教育機関で受講することには、国家安全上の疑念が持たれると、批判していた。
 台湾当局で大陸側との交渉窓口である大陸委員会の王郁琦主任委員は邱委員の批判に対しtえ
 「公務員が大陸に行き受講することは法律では禁止されていないが、政府としては支持しないし奨励しない」、
 「今後は、管理措置が次々に発表され、高級公務員が大陸に行き受講されることが禁止されるだろう」
と表明た。
 馬英九政権はその後、同問題について目立った動きを見せなかったが、最近になり「急ブレーキ」をかける形で、
 「台湾地区・公務員及び特定身分人員の大陸地区進入許可弁報道」
を修正したという。

 大学での受講については、「学位を取得できる場合」、「修了書だけを取得できる場合」などさまざまなケースがある。
 「11職」以上の高級公務員の場合には、受講が途中の状態である場合でも、継続を認めない。
 したがって、新たに学位や修了書を取得することはできないことになる。
  それ以下の地位の場合、すでに受講を始めている場合には、継続して学位や修了書を取得することを認める。
 しかし、新たな受講については、所属期間の許可が必要とし、「原則的には不許可」とする。
  馬英九政権発足後、台湾側の公務員が福建省の大学などで講義を受け、修士や博士号を取得することが増えてきた。
 台湾の安全部門の統計によると2004年から13年11月末までに公務員97人が大陸側の教育機関で講義を受けている。
 うち、91人が博士課程だったという。
  公務員の大陸に渡っての受講を禁止する理由である「国家安全上の問題」について、具体的には説明されていない。
 台湾内部の情報漏洩や、洗脳や異性を利用する、いわゆるハニートラップなどさまざまな手法による「工作員化」などが考えられる。

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◆解説◆
  中国大陸側にとって2008年に発足した馬英九政権は、「よりよい政権」だった。
 前任の陳水扁総統は、「国家指導者」としては性急な独立を主張していたわけではないが、所属する民進党は「独立」を綱領として掲げているからだ。
 大陸側は馬英九政権発足後、交流の活性化などを急ピッチで進めた。
 「経済的恩恵」を大きく与えることで支持を得るという、大陸部で成功した政治手法を改めて用いたと言ってよい。
 馬英九総統も、大陸側の動きに「乗った」。
 財界の支持を含めて、政権基盤を確固たるものにする狙いがあったと言ってよい。
  大陸側と馬英九政権は、「刺激的」な言動を行わないなど、配慮してきた。
   しかし共産党・馬英九国民党政権は、2014年になり学生らが中心となって、大陸・台湾のサービス貿易協定の即時締結を見送らざるをえない事態にして、壁に直面した。
  その後、台湾側と中国側の言動における「相互の気配り」が薄らいできた感がある。
 台湾では、軍関係者が米国の軍需企業側に、潜水艦の建造で協力を申し出た。
 それ以外にも最近になり、「国防の充実」についての動きが盛んに報じられるようになった。
 中国大陸側では習近平共産党総書記(国家主席)が9月26日、台湾問題について、一国二制度による統一が最もよい方法」と述べた。
 馬英九政権の発足以来、中国大陸側は「一国二制度による統一」という言い方を控え、「(台湾海峡の)両岸はひとつの家族」など、現状を変更する意志をにじませずに両岸に住む人々を「同胞」などと強調する言い方を使うことが多かった。
  頼清徳台南市長によると、台湾第2の野党である親民党の宋楚瑜主席が5月に北京を訪問して共産党の習近平総書記と会談した際、習総書記は「国民党は事実と異なるメッセージを送ってきていた」と述べたという。
 台湾で大陸とのサービス貿易協定に対する猛烈な抗議が発生することを予測していなかったことを認め、その原因は馬英九総統にあると主張するに等しい発言と言える。


 WEDGE Infinity 日本をもっと、考える  2014年11月21日(Fri)  前田宏子 (PHP総研 国際戦略研究センター主任研究員)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/4467?page=1

台湾の行方占う選挙
国民党・馬英九凋落で民進党にも擦り寄る中国

 11月29日、台湾で統一地方選挙(「九合一」選挙、行政院直轄市長選など9種類の選挙が行われるためこう呼ばれる)が実施される。
 2016年に行われる総統選挙、ひいては東アジア情勢の趨勢にも大きな影響を及ぼす重要な選挙である。
 無論、中国はこの選挙に注目している。

 台湾では、地域による支持政党の特徴が明確で、北部は基本的に国民党の、南部は民進党の支持基盤となっている。
 今回の統一地方選では、馬英九政権2期目に対する民衆の審判を仰ぐことになるが、与党である国民党に逆風が吹いており、野党が票を伸ばすと予測されている。
 馬英九が政権を取ってから6年が経ち、支持が下がってくるのは常のことだが、馬英九個人の支持率が低迷していることに加え、中台関係に生じている摩擦が、国民党をさらに不利な状況へ追いやっている。


●低支持率にあえぐ馬英九政権。11月29日の統一地方選でも苦戦が予想さている(REUTERS/AFLO)

 国民党の地盤であり要衝である台北市においても、国民党候補の連勝文の苦戦が予想されている。
 連戦・元副総統の長男であるため、世襲制のイメージがつきまとい、既存の政党や既得権益を嫌う層や若者から不人気である。
 連勝文側が制作したテレビ広告、
 「もしあなたが金持ちだったら、何をしますか?
 もしあなたの父親が金持ちだったら、何をしますか?
 もしあなたが連勝文だったら、何をしますか?」
というメッセージは、実際に名士の息子であり、資産家である連にとっては、むしろマイナスの宣伝となった。

 対抗馬であり、世論調査でリードしているのは、無所属・新人の柯文哲である。
 柯は台湾大学の医師で、これまで政治の世界とは関係なく過ごしてきた人物である。
 彼が支持を集めている背景には、既存政党に対する民衆の不満がある。
 つまりは、民進党も、国民党に逆風が吹いているからといって、楽観的でいられる状況にはない。

 馬英九が政権を担うようになってから、中台関係は安定し、両岸の経済・人の交流は拡大した。
 台湾の民衆の間では、中国経済に対する依存を懸念する声が存在する一方で、中国の市場なくして台湾経済は立ち行かないという見方が広がり、中台関係の安定が重視されるようになった。
 ただし、後述のように、
 人々は中国との政治的統一を望んでいるわけでは決してない。

■「ホープ」にも「実力者」にも接触する中国

 政権2期目(12年~)に入ると、馬英九政権の対中接近政策に拙速さが見られるようになり、中台関係の強化に対する人々の不安が募るようになった。
 3月に学生たちが立法院を占拠する原因となった「中台サービス貿易協定」についても、協定の内容より、馬政権の審議の進め方に対する反発が引き金となった。
 また、馬英九が協定の締結を急いだ理由について、14年APECにおいて馬−習会談を実現させるためだと憶測する見方もあり、それも政権に対する反発を煽ることになった。

 中国では、13年に習近平政権が発足すると、対台政策を管轄する国務院台湾事務弁公室主任に張志軍が就任した。
 張は、前任者の王毅(現外交部長)同様、外交官としてのキャリアを積み重ね現職に就いた。
 彼が今後出世するためには、前任者と同様か、それ以上の成果を生むことが求められる。

 胡錦濤は台湾の武力統一より、「独立させない」ことに重点を置いた対台方針をとることにより、中台関係を安定させようとした。
 「先易後難(先に易しいことを行い、後で難しいことをする)」、
つまり中台の経済関係強化から始めて、後に政治問題に手をつけるという方針の前段部分は、王毅の任期期間中にほぼ達成された。

 張志軍に残されたのは、残る難しい方、政治対話を始めることである。
 メディアなどを用いて政治対話を求める意向を喧伝すると同時に、台湾の政治家や財界人を大陸に招き、政治対話のための攻勢を仕掛けている。

 中国にとっては、言うまでもなく、16年の総統選でも、大陸との関係を重視する国民党から指導者が選出されることが望ましい。
 しかし昨今の台湾内部における馬政権に対する支持率低迷を鑑みれば、16年の総統選・立法院選で政権交代が起こる可能性は無視できない。
 中国は、以前は独立を掲げる民進党との交流を拒絶してきたが、最近では、民進党との関係構築に布石を打っている。
 人気も高く、民進党の若手ホープである頼清徳・台南市長を大陸に招いたり、また張志軍が6月に訪台した際には、大陸への反発が強い南部にも赴き、民進党の実力者である陳菊・高雄市長とも会談を行った。

 ただし、民進党が独立を目指す党綱領を掲げている限り、党対党の交流は行わないという方針は変えていない。
 民進党が政権をとった場合に備え、民進党との間でも一定の意思疎通を図るべきだという考えがある一方、民進党に対し融和策をとりすぎると「民進党が政権をとっても、中台関係にさして悪影響はない」と台湾民衆が考えるようになってしまう危険がある。
 あくまで国民党が政権をとることを望む中国にとって、民進党を無視はできないが、本格的な関係構築に乗り出すことは当面ないと予想される。

 いまや、世界のどの国も、中国と武力衝突や深刻な対立を引き起こすことは望まないようになっている。
 台湾の独立を強く訴えた陳水扁・前総統は、アメリカから「トラブルメーカー」と見なされ、馬英九はその教訓から「三不政策(中国と統一しない、独立しない、武力行使しない)」を掲げるようになり、台湾が独立する可能性は極めて小さくなった。 
そして台湾経済はますます中国に依存するようになっている。

 しかし、台湾の人々の考え方は、中国側が望むように変化していない。
 台湾の世論調査によれば、台湾の地位について、
(1).独立すべきか、
(2).中国と統一すべきか、
(3).現状維持すべきか、
という質問に対する回答は、この十年間であまり変化しておらず、
現状維持と答える人が相変わらず8割以上を占めている。

 しかし、アイデンティティに関する質問で、
(1).台湾人か、
(2).中国人か、
(3).その両方なのか、
に対する答えは、この十年で大きな変化が生じた。
 2000年代半ばには、(1)と(3)がほぼ同数でともに4割強であったのが、今では
★.台湾人と答える人が「60.4%」、
★.両方と答える人は「32.7%」、
★.中国人と答える人はわずかに「3.5%」
にすぎない。
 また、現状維持すべきという回答の中身についても、よく見ると
 「現状維持をしながらいずれ独立を目指す」
という答えが漸増している。
 中国との経済関係は深化したが、台湾人としてのアイデンティティはむしろ強化されている。

 6月頃から香港で「真の普通選挙」を求める運動が起こると、台湾の人々はその動向を注視したが、大陸で台湾政策を立案・研究する人々は、意外なほどその関連性に無頓着であった。
 香港と台湾のデモを連動させまいと、半ば意図的にそのように振る舞っている部分もあっただろうが、
 自信から生じる油断
 (ある中国知識人の言葉を借りれば「拝金主義の横行がもたらした傲慢さ、他者への理解の欠如」)
がそこには垣間見えた。

 香港の一国二制度は、中国共産党にとって台湾統一を見据えたモデルでもあり、台湾の民衆にとって、香港で起こっていることは他人事で済ませられない意味を持つ。
 多くの台湾の人々が香港のデモを支持したのは、民主主義への共鳴のみならず、自分たちの姿をそこに重ねたからである。

 9月末に香港で大規模デモ(雨傘運動)が発生すると、中国政府もその深刻さを認識せざるを得なくなり、「香港と台湾は関係ない」という振りを続けられなくなった。
 習近平は、9月26日、台湾からの訪中団に対し、一国二制度による台湾統一を強調したが、習近平自身がそのような発言をしたのは、主席就任後初めてのことであった。
 「独立しない」ことと共に、「統一しない」を宣言している馬英九政権は、批判コメントを出さざるを得ず、さらに香港のデモに対する支持を表明した。

 その直後、APECに馬英九が参加する可能性はなくなったことが公表された。
 ただ、香港のデモが起こる前から、習−馬会談の実現可能性については極めて難しいと予測されており、このこと自体は中台関係にさほど大きな影響を及ぼすわけではない。
 むしろ、習−馬会談が実現していたとしたら、中台接近に対する懸念から、台湾の人々は統一地方選で国民党を忌避する投票行動をとったかもしれない。

 11月末の統一地方選では、国民党が席を減らすことになるだろう。
 結果として民進党は有利になるだろうが、その政策が支持されているというわけではない。
 08年の総統選で、民進党候補の蔡英文氏が敗北した原因の一つは、対中政策の曖昧さにあった。
 台湾の人々は、中国との統一は望んでいないが、中国との関係をこじらせ、国際的に孤立したり経済的なダメージを受けたりすることは望んでいない。

 民進党内部には、中国との関係構築を目指すべきだという声と、あくまで独立の旗を掲げ続けるべきだという声が存在し、まだ党としての方針が決まっていない。
 民進党にとっても、執政党として政権を預けられるという信頼を民衆から得るためには、乗り越えなければならない課題は多い。





【描けない未来:中国の苦悩】



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