2014年10月15日水曜日

「失われた20年」より深刻な韓国:輸出減少という恐怖の危機が目の前に「貿易モデル」の崩壊か?

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朝鮮日報 記事入力 : 2014/10/15 09:05
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/10/15/2014101500898.html

輸出減:公式統計2.9%増、ウォン建てでは3%減

 本紙が韓国銀行などの資料に基づき分析した結果、今年1-9月のウォン換算ベースの輸出が3%減少したことが分かった。
 韓国政府がドルベースで発表する公式統計では2.9%増だが、企業が手にするウォン建て資金は減少したことになる。

 外見上は32カ月連続で貿易黒字を計上しているが、ウォン建てで輸出が減少するのは2009年の世界的な金融危機以降初めてで、輸出主導の韓国経済にとって異常の兆候だ。
 輸出環境の悪化、主力企業の競争力低下にウォン高が重なった結果とみられる。

 こうした現象は昨年から始まった。
 昨年の公式統計で輸出は2.1%増えたが、ウォン建てでは0.7%減少した。
 ドルベースで輸出は118億ドル増えたが、年平均のウォン・ドル相場が1ドル=1095ウォンとなり、前年よりも約30ウォンのウォン高となったため、ウォン換算の輸出は4兆ウォン以上減少した。

 これは単純な為替相場の問題ではない。
 2011年まで「年平均2桁台」を記録してきた輸出の伸び率が
 公式統計上でも「2%台」まで低下
したことが根本原因だ。
 このため、為替相場が少しでもウォン高に振れると、ウォン建てでは輸出が減少してしまう格好だ。

 06年にはドル建てで輸出が14.4%伸びたため、ウォンが対ドルで950ウォンまで上昇しても、ウォン建ての輸出は6.7%増を維持した。



朝鮮日報 記事入力 : 2014/10/15 09:04
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/10/15/2014101500889.html

輸出減:自動車除けば赤字、韓国経済の構造的問題が露呈

 ロッテケミカル、Sオイルなどパラキシレン(PX)を生産する韓国の石油化学メーカーは、今年に入り非常事態を迎えた。
 中国産のパラキシレンで市場が供給過剰に陥ったからだ。

 中国企業はこれまで韓国から輸入したPXを中間財として利用し、合成繊維(ポリエステル)の原料である高純度テレフタル酸(PTA)を生産し、世界市場向けに衣料を輸出してきた。

 しかし、中国産PXが供給過剰となり、韓国産PXの輸入が減少し始めた。
 今年1-8月のPXの対中輸出は25億ドルにとどまり、前年同期を11%も下回った。

 韓国貿易協会によると、今年1-7月の対中中間財輸出は前年同期比0.6%増にとどまった。
 中国企業が自力で中間財を生産し始めたため、
 韓国が中間財や部品を中国に輸出し、
 中国企業がそれを加工して最終製品を欧米などに輸出するという「貿易モデル」は限界に
達した。
 韓国の対中輸出は今年5-8月に4カ月連続で前年実績を下回った。

■品目と地域に偏り

 表面的には今年9月まで32カ月連続の貿易黒字を計上している韓国だが、中をのぞくと不安感が高まっている。
 韓国の輸出が特定の品目や地域に偏り過ぎているという構造的な問題が露見しつつある。

 韓国の輸出は自動車と自動車部品の黒字を除くと、貿易収支は昨年時点で194億ドルの赤字となる。
 地域的にも対中貿易を除けば187億ドルの赤字だ。

 このため、主力製品と主な輸出先が揺らげば、輸出全体がぐらつく構造だ。
 韓国貿易協会のクォン・ドハ中国室長は
 「昨年の韓国の対中輸出に占める加工貿易向け輸出の割合は48%で、
 ライバルの日本(35%)、
 香港(36%)をはるかに上回り、
 米国(14.5%)に比べると3倍以上高い」
と指摘した。

 2010年に148億ドルの黒字だった対EU貿易も昨年は73億ドルの赤字に転落。
 今年1-8月も55億ドルの赤字となっている。
 対外経済政策研究院のソ・ジンギョ貿易通商室長は
 「対EU輸出には造船業が大きな役割を果たしているが、財政危機から脱却できない欧州では船舶の発注が少なく、影響を受けた」
と分析した。

■主力産業の競争力も低下

 主力産業の競争力が低下しつつあることはさらに根本的な問題だ。
 スマートフォン、自動車など主力輸出業種も中国製の低価格スマートフォンによる攻勢や現代自動車のストライキなどで、ウォン高の壁を乗り越える原動力を失っている。

 今年1-9月の無線通信機器(スマートフォンなど)の輸出はドルベースで11.2%増えたが、ウォンベースでは5%の伸びにとどまった。
 自動車はドルベースで3.5%増だったが、ウォンベースでは2%減少した。

 延世大の成太胤(ソン・テユン)教授は
 「ウォン高でドル建ての輸出が増えているように見えるが、これを見誤った政策を取ってはならない。
 競争力を強化し、対中輸出を最終消費者を狙う方向へと転換すべきだ」
と述べた。
 現代経済研究院のイ・ジュンヒョプ経済動向分析室長は
 「円安よりもスマートフォンなど主力輸出製品の競争力低下が韓国の輸出にとって重大な問題だ。
 手遅れになる前に輸出競争力を回復できる方策を探るべきだ」
と訴えた。



朝鮮日報 記事入力 : 2014/10/15 09:02
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/10/15/2014101500879.html

輸出減:4年前から異変、なぜ対策を怠ったのか

 昨年の韓国の輸出がウォン建てで減少に転じたのは、貿易環境の悪化など外部の不確定要素だけでなく、輸出業界や韓国政府が既に数年前から鳴りだしていた「警報音」に鈍感だったからだとの指摘が聞かれる。

 昨年の輸出が不振だったのは、ウォン相場が対ドルで1ドル=1000ウォンを割り込んだ上、鉄鋼、液晶パネルなどの供給過剰で輸出需要が減少したためだ。
 しかし、ウォン相場が900ウォン台まで上昇した2006-07年にも韓国の輸出は伸びを維持していたわけで、ウォン高だけを最近の輸出不振の原因と見なすことはできないとの見方がある。

 1100ウォン台を超えるウォン安水準が長期間続き、ドル建てとウォン建てで輸出統計の不一致が目立ち始めたのは2011年第3四半期(7-9月)からだ。この時期から輸出企業を中心に「為替のせいで危機的状況になった」という声が聞かれ始めた。

 しかし、異常信号は既に2010年から感知されていた。
 10年の輸出伸び率は28.3%で、2000年以降で最大だったが、
 ウォン建てでの伸び率は16.2%に低下した。
 韓国政府関係者は
 「輸出ブームによる収益が研究開発分野にちゃんと投じられず、競争力を向上できなかった面がある」
と指摘した。

 ウォン建ての輸出伸び率の低下は、01年の世界的なITバブル崩壊と世界的な金融危機直後の09年にも見られた。
 当時は世界的な景気低迷で輸出が前年比でそれぞれ12.7%、13.9%減少したが、ウォン相場が1200ウォン台後半とウォン安状態だったため、ウォン建ての輸出は01年、09年ともに0.3%減にとどまった。
 為替相場が韓国経済の安全弁の役割を果たしていた時代に慣れきってしまい、警報音に対処するのが遅れたと言える。

 当面韓国経済では、ウォン高による輸出企業の苦境が続きそうだ。
 政府関係者は
 「今からでも根本的な輸出競争力を高めなければ、今後外部の不確定要素で輸出企業の経営が大きく揺らぎかねない」
と懸念を示した。



レコードチャイナ 配信日時:2014年10月20日 18時42分
http://www.recordchina.co.jp/a96010.html

韓国で海外製品の直接購入が大幅増、
「国内生産の萎縮・雇用減少の可能性も」
―韓国中央銀行

  2014年10月20日、環球時報(電子版)によると、韓国の中央銀行は16日、税関部門の統計を紹介し、2014年上半期、韓国の海外直接購入(個人輸入)が727万6000件、7538億ウォン(約750億円)に達し、前年同期比でそれぞれ45.7%、48.5%増となったと明らかにした。

 購入品目は、靴や衣服、健康食品など、韓国国内との価格差が大きい商品が中心だった。
 海外直接購入は韓国国民全体の消費の0.2%と比重は大きくないが、近年規模が拡大しているため、今後も増加が予想される。
 海外直接購入は韓国国内で売られている商品の値下げといった面が期待できるが、国内生産の萎縮や雇用減少などのマイナスな影響も現れる可能性があると中央銀行は指摘している。



朝鮮日報 記事入力 : 2014/10/23 11:15
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/10/23/2014102301625.html

貨幣流通速度0.74、韓国で進む「カネの動脈硬化」
日本の「失われた20年」初期より深刻



 釜山市に本社を置く製造業者A社は3年前、年3.5%の金利で社債を発行した。
 社債は通常、投資財源として発行されるが、A社は300億ウォン(約30億5000万円)を当時年3.63%の定期預金に入れた。
 わずか0.13ポイントの金利差を稼ぐためだ。
 A社の社長は「景気が不透明なので、現金を持っていないと安心できない」と話した。
 A社は最近、満期を迎えた定期預金を更新した。

 A社の取引先銀行はそれを拒否しようとした。
 預金を受け入れても資金を貸し出す先が見つからないからだ。
 しかし、A社は銀行の担当者に「預金を受け入れないと、融資取引を中断する」と告げた。
 これまでは銀行が融資をえさに企業に預金を求めたが、立場が完全に逆転した格好だ。

 紙幣をいくら刷っても資金が循環しない「カネの動脈硬化」現象は韓国経済の命脈を左右しかねない状況だ。
 本紙が21日、金融監督院とLG経済研究院を通じ分析した結果、現在の状況は「失われた20年」に突入した当時の1990年代初期の日本より深刻であることが分かった。

 今年第2四半期末の韓国の貨幣流通速度は0.74で、1992年の日本(0.95)よりも低いことが分かった。
 これは過去25年間の韓国経済の平均(1.9)の半分にも満たない水準だ。
 中央銀行がいくら資金を供給しても、現金をそのまま保有していたり、すぐさま銀行口座で眠らせたりするケースが増え、カネの流れが停滞している。

 資金が循環しないことで、物価上昇率が低下している。
 第2四半期の韓国の消費者物価上昇率は1.6%で、92年の日本(1.7%)を下回った。
 日本は90年代初めに低い物価上昇を数年間経験した後、99年から物価上昇率がマイナスに転じるデフレに陥った。
 韓国は先月まで23カ月連続で物価上昇率が1%台で推移している。
 物価が上昇しないことは過去のインフレ時代とは異なり、むしろ災いだ。
 物価が上昇しなければ、消費と投資が先送りされるため、長期不況に陥りやすくなる。

 さらに深刻なのは、資金が循環しない現象が全世界的に広がっていることだ。
 米カリフォルニア大バークレー校のバリー・アイケングリーン教授は本紙に対し
 「韓国だけでなく、全世界で資金が循環していない。
 こうした危機は1930年代の世界大恐慌以来80年ぶりだ」
と指摘した。

 こうした現象を放置すれば、政府がいくら資金を供給しても、経済主体に資金をため込まれ、消費と投資が停滞する泥沼にはまりかねないと声が専門家から聞かれる。




【描けない未来:中国の苦悩】





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